三毛別羆事件|ホラー映画を超える日本史上最悪の恐怖の実話【閲覧注意!】

太田家から延々と続く雪上の血のと足跡を追って150mほど進んだところでしょうか、そこで捜索隊の男たちは遂に羆と遭遇する事になります。その体長2.7m、立ち上がれば3.5mはあった事件後判明した体重380kgの巨熊の姿に村民たちは戦慄しました。

動揺もそのままに手にした銃を構えるも、響いた銃声はなんとたったの一発だけでした。しかもその一発ですらも羆に当たることはなく、万策尽きたと混乱した捜索隊は散り散りに逃げ帰ることになったのでした。

見つかった阿部マユさんは…

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翌朝に恐々捜索に出た一行は木の根元で血に染まった雪と小枝の山を発見します。をかき分けると、黒足袋とぶどう色の脚絆を履いた膝下と、頭髪の付いた頭蓋の一部のみになったマユさんの遺体が埋められていたのです。 

通夜を襲撃する羆

山から太田家に持ち帰られた、膝下だけになったマユさんの亡骸は幹雄くんと一緒に通夜があげられました。しかしそこへも熊が襲撃、叩き落された棺から死体が放り出され、途方もなく巨大な熊に人々は驚愕し、家の梁によじ登る者やら野菜入れに飛び込む者、便所に逃げ込む者と必死のあり様でした。 

三毛別羆事件⑤12月10日後編羆は手薄の明景家へ

太田家から300m離れた隣家で食事中の男衆が、物音や悲鳴に気付き駆けつけるも既に羆の姿はありませんでした。熊の再襲撃に驚愕した面々は、壁を破壊された家屋は危険と判断し、次なる避難場所にした明景家へ向かいます。  

羆の襲撃で家は暗闇に包まれた

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通夜を襲った熊はその足で、避難してきた斎藤家の妻子を含む女子供10名のいる明景家へと向かいます。この時護衛役の男衆が留守にしており、屋内にいた頼れる大人の男は要吉ただ一人でした。幼い梅吉を背負ったタケが煮炊き物をしているその時、窓を割る轟音と共に羆は襲来します。以下が当時の人数内訳けです。

  • 明景家妻ヤヨ力蔵勇次郎ヒサノ金蔵梅吉の6名
  • 斎藤家妻タケ春義の3名
  • 護衛役:要吉 

羆を追い払うもそこには地獄の光景が…

熊が去った後の屋内は目も当てられない地獄の惨状でした。一撃で撲殺されてしまった金蔵と春義は体を食い千切られ分断し、頭部の一部も噛み千切られていました。斎藤家の妻タケは、妊娠中のお腹を裂いて胎児を掻き出されたうえで、内臓を食われ絶命。血飛沫は天井まで届いていました。

室内に入った従軍経験者の男性が、敷き藁の下に隠されていた巌を発見しますが、肩と胸を齧られ左大腿部から臀部を骨だけになるほど食べらるという瀕死の状態で発見されます。保護され介抱されますが、程なく死亡しています。

生き残った者

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ヤヨと共に脱出した勇次郎と熊突入のショックで気を失っていたヒサノ、さらに雑穀俵に隠れていた力蔵の3名はなんと無傷で保護されています。ヤヨの背に担がれていた梅吉は頭部に羆の牙を受けており、傷の後遺症により2年8ヶ月後に亡くなっています。

三毛別羆事件⑥12月11日斎藤さんの慟哭

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太田家での初襲撃の後、家族を避難させた斎藤さんは一人集落を離れました。明景家での惨劇を知る由もないまま、平時でも片道半日以上かかる30km離れた苫前町の警察への道を、積雪をかき分け一人徒歩で歩き続けていました。

羆退治を行政などに要請する決議

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もはや村民だけで事態の解決は不可能であることから、当時の三毛別区の区長を務める大川与三吉をはじめ、村長と村の有志者、分教場の教師と卸料局の分担区員や駐在巡査らで話し合いが行われ、警察や行政機関に羆退治に応援要請が決議されました。  

警察に事件を報告して戻ってきた斎藤さんは悲劇を知る

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苫前町の役場と警察で太田家で起きた事件の報告を済ませた斎藤さんは、翌12月11日に帰路につきます。往復60kmの旅路から三毛別川へたどり着いた斎藤さんはそこでようやく妻子が羆によって殺害された事実を知ります。彼は呆然と雪上に倒れ伏し、ただただ慟哭するほかありませんでした。  

三毛別羆事件⑦12月12日討伐が始まる

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小さな集落を襲った羆の一報は北海道庁にまで入り、北海道庁警察部の保安課から、羽幌分署長の菅貢警部へと討伐隊を組織し直ちに羆討伐に向かうべく指示が出されることになります。この討伐隊の本部は大川興三吉の家に設置されることとなります。

討伐隊の組織と検死に訪れた医師が見つけた糞

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遺体を検死する為に討伐隊より先に集落へ向かっていた医師は、道中で羆のものと思われる糞を発見します。糞を検分したところ、なんと中から毛髪、人骨の欠片、そして未消化状態の人肉を見つけ、羆が人間を食っていた動かぬ証拠に戦慄したのです。

非道な待ち伏せ作戦を受け入れる村人

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如何にして熊を討伐するか考えた末、その習性を利用したある作戦が持ち上がります。「犠牲者の死肉を餌にして熊を誘い出す」という、非人道的な計画である事を重々承知の上で、菅隊長は遺族と村民の前で作戦内容を説明しました。 

批難と罵声を覚悟の上でしたが、異議の声は上がることはなかったのです。それほどまでに事態は切迫しており、作戦は採用され直ちに実行に移されます。しかし何かを察したのか、羆は付近まで現れるものの罠にはかからず作戦は失敗に終わってしまいます。

三毛別羆事件⑧12月13日エサを探す羆

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12月11日の段階で、三毛別・六線沢15戸すべての村民が三毛別分教場(後の三渓小学校)に避難しており、集落は無人となっていました。人の気配なくなった集落にも羆は出没しており、その執念深さに恐怖するばかりです。

村人不在の村を荒らす羆

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不在の集落でも人家を荒らし、飼育していた家畜を食い殺し、保存食までも食い荒らしています。食べ物以外にも女性の衣類や枕どころか、湯たんぽ代わりに足元に入れて使う石までも齧るという奇妙な行動が見られました。女性を食べた事で、その捕まえ易さと肉の美味さを覚えてしまったが故の行動でした。

味を占めた手頃な餌が突然消えたことで、焦りと空腹から羆の行動は警戒心を欠いた大胆なものになっていきます。行動範囲は徐々に下流へと移り、昼間でも堂々と人家を荒らしに現れるようになっていきます。

氷橋防衛線の対岸に不審な切り株らしきもの

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の行動大胆になっている今が勝機とみた菅隊長は、氷橋を防衛線にしてここで羆を討ち取るものとしますそこへ、警備にあたっていた一人が対岸の違和感に気付き、菅隊長に一報が入りました。「6株の筈の切り株が一つ多い、そして動いているようである」と。 

一報を受けた菅隊長は「人か熊か!」と対岸に張り上げるも返答はなく、隊長命令で撃ち手が一斉に銃弾を放つと、切り株と思われたそれは対岸の闇へと姿を消しました。事件を起こした羆で間違いないと確信すると共に、菅隊長は羆討伐実現への手応えを感じます。

三毛別羆事件⑨12月14日前編サバサキの兄と呼ばれた男

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羆討伐に大勢が駆り出され緊張と興奮で沸き立つ中、2月10日の深夜に事件を聞きつけたとある人物が三毛別を訪れます。彼の登場でこの未曽有の事態は一気に急変する事になるのです。男は山本兵吉という猟師でした。

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