女郎蜘蛛は黄色と黒の大きな蜘蛛
蜘蛛の巣は、古来より日本の景色に欠かせない存在です。気付かずに顔に絡まったときは驚いてしまいますが、朝露で覆われたクモの巣はとても美しく日本の景色を彩ります。
今回は、日本を代表する蜘蛛の一匹である女郎蜘蛛の、魅力や特徴を御解説!儚くも美しい女郎蜘蛛の魅力を知ることで、蜘蛛という存在を一度見つめ直してみませんか?
女郎蜘蛛の派手な見た目
女郎蜘蛛の一番の特徴は何よりもその体色でしょう。黄色と黒のツートーンで彩られた長い手足は、見慣れていないと悲鳴を上げてしまいかねません。
派手な見た目なのは体だけでなく、糸や網に関しても同様です。女郎蜘蛛の糸は黄色い色を含んでおり、光に照らされると、金色に輝いているように見えます。さらに完成した蜘蛛の巣は、日本の蜘蛛の巣としては大きいものになり、直径1m位に及ぶものもあります。
黄金蜘蛛との違い
よく女郎蜘蛛と混同される黄金蜘蛛ですが、二匹の違いとはなんなのでしょうか。それは、どちらも黄色い縞模様が特徴ですが、黄金蜘蛛は女郎蜘蛛よりも太い体格をしていて、手足が太いのです。それ以外にも、女郎蜘蛛ほど大きな巣を張らないという違いもあります。
女郎蜘蛛にはお腹の裏に、赤い紋が入っているのが一番の特徴なので、これを目印に二匹を区別するのも良いでしょう。
女郎蜘蛛の名前の由来
女郎蜘蛛の名前「女郎」とは、読んで字の如く女郎から、あるいは大奥の最高位である上臈にちなんで名付けられていると言われています。また、それ以外にも,その繁殖の模様が名前の由来となった、という話があります。
由来となるほどの女郎蜘蛛の繁殖形態とは一体どんなものなのでしょうか?それを次から解説いたします。
名前の由来にもなった女郎蜘蛛の悲しい繁殖
女郎蜘蛛の由来とも言われる、繁殖形態とは一体どんなものなのでしょうか。ここでは女郎蜘蛛達の、一風変わった生態のご紹介です。
女郎蜘蛛のメスは目が悪い
女郎蜘蛛は、巣に侵入した虫を捕食して生活しています。しかし、目が悪いので巣に入ってきたものが女郎蜘蛛の雄だったとしても、間違えて食べてしまうこともあるのです。
オスの命を懸けた繁殖行動
女郎蜘蛛の雄は、雌よりも体格が小さく、一見すると別の蜘蛛のようです。ですので、雌に襲われるとひとたまりもありません。なので雄たちはあの手この手を使ってなんとしても交尾をしようとします。
女郎蜘蛛の巣の中には、他の蜘蛛が同居していることがあります。これは、雌が餌を捕食している隙に近づいて交尾をしようと、様子を伺っているのです。それ以外にも、雌が脱皮を行っている時などに、交尾のタイミングを狙っています。
雄と雌の相違点
雄と雌で体格が違うのは、蜘蛛にとっては珍しいことではありません。女郎蜘蛛も前述の通り、並べてみると一見すると別の蜘蛛と思えるほどに性別差があります。これを性的二形が大きいと言います。この雄と雌の違いをご紹介いたします。
雌の女郎蜘蛛
雌の女郎蜘蛛は、女郎蜘蛛の一般的なイメージにのっとった形をしています。成体になると17~30mmほどの体長になり、黄色と黒のツートーンカラーに彩られた個性的な脚部と腹部をしています。
雄の女郎蜘蛛
雄の女郎蜘蛛は、成体で6~14mmと雌の半分以下の大きさしかありません。それだけでなく、全体的に褐色がかった体色をしています。腹部にも、雌のような鮮やかな縞模様ではなく、複雑な模様が描かれています。
画像から見て取れるように、雄と雌の違いはあまりにも大きいです。故に巣を覗いた時の判別も簡単でしょう。
女郎蜘蛛は益虫だけど毒がある!でも人間には無害
実は女郎蜘蛛には毒が有ることが分かっています。女郎蜘蛛はどんな毒を持っているのか?どれくらいの毒なのか?知って頂けますと幸いです。
JSTX-3という毒をもつ
女郎蜘蛛はJSTX-3という毒を持っています。これは興奮性神経の伝達物質である、グルタミン酸を阻害する性質があります。
人間が噛まれても無害
しかし、一匹が持つ毒の量はとても微量なものです。我々人間が噛まれたとしても問題が起こることはほとんどありません。
女郎蜘蛛は害虫や小虫を捕食する益虫
その不気味な見た目では敬遠しがちですが、女郎蜘蛛は害虫を捕食し、人間を助けてくれる嬉しい存在なんです。女郎蜘蛛の益虫としての魅力をここでは伝えていきます。
害虫や小虫が家の中へ侵入するのを防ぐ
女郎蜘蛛は、巣を張ることで害虫が家の中へ侵入するのを防いでくれています。女郎蜘蛛の巣を見かけたら、頑なに巣を撤去するのではなく、女郎蜘蛛と生活を共にしてみるのはいかがでしょうか。
どうしても気になる場合は別の場所へ移してあげる
たとえ益虫であっても、玄関の軒先など、綺麗にしておきたい場所に巣を張ってしまうとどうしても気になってしまいますよね。そういった時は、巣を撤去して別の場所に移動をして頂きましょう。
益虫の仲間たちをご紹介!
益虫であるならば殺すのではなく、なるべくならば他の場所に移ってもらうように誘導したいですよね。ここで他の益虫の仲間達も知っておきましょう。
アダンソンハエトリ(ハエトリグモ)
ハエトリグモは10mm程度の小さな徘徊性の蜘蛛です。巣は張らずに、餌を求めて飛び跳ねて生活しています。非常に目がよく、その視覚を生かして小バエなどを捕食します。大きくてつぶらな瞳が特徴で、砂糖水などで歓待してあげると、必死に砂糖水を吸って大変かわいらしいです。
アシダカグモ
アシダカグモは手足を広げた状態では10cm~13cmほどにもなる大きな蜘蛛で、その長い手足は悲鳴を上げてしまいそうなほどです。しかし彼らはとても臆病で、大きな音に驚いて逃げ出すほどです。人間に近づいてくることはありませんので安心してください。
彼らの主な捕食先は、なんとゴキブリ。夜行性の気が強く、人間が寝静まっているころに、家の中にいるゴキブリを片っ端から捕食してくれるその生活形態は、頼もしいこと限りなしです。強力に家を守ってくれる存在なので、是非とも共生関係を築いていきたいものです。
女郎蜘蛛の巣の撤去法をご紹介
どうしても巣を移動しなければいけなくなった時の為に、今回のページでは巣の撤去法をご紹介いたします。女郎蜘蛛だけでなく、巣を張る蜘蛛に遭遇した時に共通して役に立つ知識ですので是非ともご確認ください。
使い捨てできる棒で巻き取る
通販では蜘蛛の巣を撤去するためのアイテムなども販売していますが、それらのグッズや箒などで撤去しようとすると、女郎蜘蛛の巣は頑丈ですので、それらから巣を剥がすのに苦労してしまいます。