廃村の魅力とは?
あらゆる事情で住人が離れたものの、かつて暮らしていた痕跡がそのまま残されている集落、それが廃村です。
近年密かな人気スポットと化し、訪問者が増加している状況ですが、無人の村落にどんな魅力があるというのでしょう?まずは全廃村、共通のポイントからレクチャーしましょう。
たどり着くまでが楽しい
住民がいないだけあって、不便な場所にあることがほとんどです。道路も未舗装か、整備が放棄された状態であり、公共交通機関どころか車両の進入すらできないこともよくあります。
ですが困難な道のりあってこそ、人里離れていく実感に胸躍りますし、たどり着いた時の感動もひとしおというものです。
かつてあった日常が自然に溶けていく風景
時が止まってしまったかのようで、けれど確実に朽ちていく建物だからこそ、人が暮らしていた形跡が色濃く浮かび上がるものです。人々はそんな静謐な非日常を求めて村を訪れます。
なぜわざわ何もない場所に出かけるの?とよく言われますが、海や山などの風景に癒しを求めるのと同じことなのです。
道中で意外と出会いも
目的の場所こそ誰も住んでいませんが、土地そのものは手放していないこともあります。
近隣に畑や小屋を残していたり、管理のために出入りすることもあるので、人に会うことは意外とあります。快くあいさつをしましょう。かつての住人のお話が聞けたら、廃村の魅力もぐっと増します。
人気の廃村①廃村八丁
京都府に80年ほど前まであった山村です。現在は老朽化が進み、村の痕跡はあまり残されていないものの、ピラミッド型の管理小屋などシンボリックな建物が存在しています。
地元だけでなく、全国的にも知名度の高い廃村です。
ハイキングコースにもなっている
周辺地域にハイキングコースがあるため目印などもしっかりしていて、時間はかかりますが比較的容易に辿りつくことができます。
けれども山道であることに変わりはなく、豪雪地帯で冬場は3m以上積雪することもあります。遭難事故も多発しているため油断は厳禁です。
廃村の所在地
かつては北桑田郡でしたが、現在は京都市右京区に変更されています。最寄りの集落からは徒歩2時間以上かかるので、しっかり装備を整えてから出向きましょう。
特に冬が近い時期はおすすめしません。先に述べたようにここは豪雪地帯で、廃村のきっかけもその雪深さであったためです。
人気の廃村②寒川集落
平成元年までは住民がいたという、宮崎県にある比較的新しい廃村です。外見上、保存状態の良い建物があるので、撮影場所としても人気が高いです。
ですが家屋内部は市の指定により床がすべてはがされていて危険です。気軽に立ち入らないようにしてください。
ドキュメンタリーも作られた元限界集落
集落の知名度を上げたのがこちらのドキュメンタリー映画です。元住民の方だけでなく、よく似た状況にある限界集落の住民にとっても、胸に迫る映画であったことでしょう。
上映会に数百人が参加するなど多くの人が関心を寄せた作品でした。
廃村の所在地
住所は現在も西都市寒川であり、ダムや発電所など目印になるような施設や、案内看板があるため道のりは分かりやすい方です。
荒れてはいるものの、現地まで車で向かうことが可能です。マウンテンバイクでサイクリングしたという方もいます。
人気の廃村③六合集落
六合は「ろくごう」ではなく、「くに」と読みます。90年代に入って廃村と化した集落であり、家屋の大半はすでに撤去済みですが、現在も数件が朽ちながらも残されています。
近隣の山は土壌豊かであり、山菜がよく取れるということでよく人に出会います。ですが私有地なので勝手に採取してはいけません。
元村人も通う集落跡
道路は未舗装ながらも人の手が入っていて、元住民の方が定期的に訪れては、お墓の手入れなどをされているとのこと。
我々にとっては観光スポットでも、所有者の方々にとっては大切な郷里ですから、騒ぎ立てないようにしましょう。
廃村の所在地
場所は北安曇郡小谷村です。googleマップでも「六合集落跡」と表示があるので、正確な住所が把握できます。
地図上の道は近隣の集落で終わっていますが、航空写真モードにすると村までの道並みが今でも残っていることがわかります。
人気の廃村④八丈小島
東京の離島として知られている伊豆諸島の中にも、廃村…というより無人島があります。
透明度の高い青く美しい海に囲まれているため、ダイビングポイントや釣りの名所として有名です。昭和44年に無人島化しましたが、島民全員が離島した初の事例として記録に残っています。
釣り人にはお馴染みの廃村
周辺海域はたいへん豊かで、磯釣りを目的に八丈島から船で渡る人も多いのですが、夜間の事故など緊急事態に対応する手段がないため、島内に宿泊することは禁じられています。
学校跡地は風情があって廃墟好きに人気のポイントです。
廃村の所在地
八丈島の隣、西に7.5kmという近距離なので、一方の島からお互いを臨むこともできます。記載の通り小島であるため、渡るには船舶以外の手段はありません。
立ち入り禁止ではありませんが、一部が保護区域になっているため上陸には注意を払ってください。
人気の廃村⑤湯ヶ滝集落
水源に満ちた山腹にあり、今は道もほとんど消え、辿り着くのも困難な廃集落です。90年代には修行僧が滞在していたというぐらい、深い山奥にあります。
昔は橋を渡していましたが現在は通行止め、地道に道を見つけて歩くしかありません。川や水場が多いため、防水装備は必須です。
生活の痕跡が多数残る廃村
老朽化はそう酷くないものの、木々が家屋そのものを覆いかくしてかなり不気味な雰囲気です。
住民は移住したのでしょうが、それにしても日用品や生活用品がそのまま放置されているので、引っ越したというより人間が忽然と消えてしまったかのような錯覚を覚えます。
廃村の所在地
千葉県君津市にあり、近隣にオートキャンプ場もありますが、川を越える必要があるのでルートの難易度は一番高いかもしれません。
他のルートを選択しても簡単に辿り着くことはまずないので、登山に挑むぐらいの覚悟と装備を準備していきましょう。
廃村の怖い話①
これまでご紹介した廃村の魅力は、いわばノスタルジーを味わうという視点でしたが、無人の村・廃墟・深い山奥ときて連想するのはやはり怪談話です。
青森県にはホラーマニアでなくとも知っている、メディアで何度も特集されるほど知名度の高い廃村伝説が存在します。
杉沢村
それは「狂人となった村人が、たった1人で村人を皆殺しにした」という猟奇事件伝説です。人気番組で特集されたことで全国に知れ渡り、場所を特定しようとマニアやメディアが躍起になりましたが、未だ判明しておらず、現在では都市伝説の一種とされています。
杉沢村に関する詳しい情報はこちらからどうぞ。
廃村の怖い話②
現実ではない、ただの眠りの中のできごとなのに、なぜかすごくリアリティがあって…。
そんな夢を、誰しも1度は見たことがあるのではないでしょうか?お次はくりかえしある集落の夢を見るようになった「僕」のお話です。
廃村の夢
舞台は古めかしい集落で、夢の中で村人は口々に「神社に行け」と促します。後に調べてみるとそこは廃村ながらも実在していて、神社も本当にあるようでした。
夢を繰り返すうちに「僕」は神社に着いていまい、そこで皆と一緒に浮かぶ船に乗るよう指示されます。恐ろしくなって拒否すると目が覚めて、二度と同じ夢は見なくなったということでした。
廃村の怖い話③
廃墟マニア人口は思っているよりずっと多く、もはや一般的な趣味とも言ってもいいほどになってきました。ですが廃村はそれに比べてまだ割合が少ないものです。
だからこそ、探索中に同じ趣味の人を見つけたと思えばつい嬉しくなってしまいますが…。これは石川県に実在する廃村で起きたというお話です。
廃村マニアの体験談
ある廃村マニアがある村を訪れたところ、若い女性と出会いました。彼女を伴って祖父母の家だという廃屋に入ると、だんだんと女性の様子がおかしくなり、やがてゲラゲラ笑いながら男性に襲い掛かってきました。
男性は慌てて廃屋を飛び出し、なんとか逃げ切ったものの、あまりの恐怖に廃墟の探索はぱったりとやめてしまった、といいます。
廃村の怖い話④
廃村の中で出会う存在は、何もおそろしいものばかりではありません。時に私たちと交わり、優しく語りかけてくれることもあります。
次は怖いと言うよりも不思議で、どこか寂しいような、せつない気持ちにさせられるお話です。
あの時のおじいさんは…
ある男性がドライブ中道に迷い、困り果てて山中の民家の戸を叩きました。家主の老人が道を教えてくれたおかげで男性は無事帰りつくことができました。