雑食であり植物も生き物も食べるダンゴムシ。ここで少し気になってくるのはそのダンゴムシ自体は自然界の食物連鎖の中で他の生物の餌になり得るのかということです。実際にどうなのかを見ていきましょう。
爬虫類は子供のダンゴムシを食べる
ダンゴムシも、他の生き物同様に捕食者によって食べられてしまう場合があります。原っぱや茂み、森の中に住むカナヘビやヤモリ、トカゲなどの爬虫類はまだ小さなサイズである子供のダンゴムシを餌にします。
硬くて餌には不向き
ダンゴムシが暮らしている環境には爬虫類の他に鳥やネズミといった捕食者となり得る動物も多くいます。しかしダンゴムシの殻は硬く消化もしづらいため、ほとんどの場合他の生き物の餌には不向きであると言えます。
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ダンゴムシって飼育できるの?
小さく、コロンと丸まる姿が可愛らしいダンゴムシ。どこにでもいてなんとなく飼いやすそうなイメージですが、実際はどうなんだろうと思う方もいると思います。ここでダンゴムシの飼育について見ていきたいと思います。
簡単に飼育できる
ご存知の通りダンゴムシはどこにでもいます。そのため非常に見つけやすい生き物で、毒もなく噛み付いてきたり刺してきたりすることもなく、また生き餌などを用意する必要もないので小さなこどもでも簡単に飼育できる生き物と言えます。
飼育ケースになるもの
ダンゴムシの飼育ケースとしては、ガラスや陶器、プラスチックなどのツルツルとした容器が向いています。木箱やダンボール箱などはダンゴムシが登って逃げてしまい、また、水分に対する耐久性や腐食の可能性のことを考えると向いていません。
簡単に手に入るものとして、小さなものではプリンや豆腐の容器、コップ、ジャム瓶があります。複数飼うなどで大きな棲み家を用意したい場合は金魚鉢や虫かごもいいですし、ペットボトルの側面を片側のみ切り取り自作するのもおすすめです。
飼育するときの注意点
ダンゴムシを飼育するときに気をつけてほしいのが水分です。霧吹きなどで水をかけ床材となる土やおがくず、水苔が適度に水分を保った状態にしてください。ダンゴムシは乾燥に弱く、水分が足りないと弱ったり干からびて死んでしまったりする可能性があります。
また、餌もこまめに取り替えた方がよく食べてくれます。餌が古くなると腐ったりカビが生えたりして手入れをするのも大変になります。枯葉以外は大きなまま与えるのではなく小さくして与え、数日に1度は新しいものに取り替えましょう。
ダンゴムシの習性が面白い!
普段は物陰に潜み、飛ぶこともなく地面を歩き比較的のんびりと生活していそうなダンゴムシですが、少し変わった習性があります。それがどんなものであるかを、皆さんにも是非知ってほしいと思います。
右に曲がったら次は左に曲がる
ダンゴムシが歩いている時、方向転換するのにあるパターンがあります。右へ曲がったあと次に向きを変える方向は左、左に曲がれば次は右へというジグザグ歩きをします。このジグザグ歩きを交替性転向反応といい、他の生き物にもしばしば見られる習性です。
天敵対策や足の負担を同じにするため
ダンゴムシのこの習性は捕食者から逃げるのに役立っています。ずっと同じ方向へ曲がっていると同じ場所をぐるぐると回るようなかたちになってしまい、もし捕食者が現れてもそれでは逃げることができませんが、ジグザグと曲がる方向を変えながら歩くことでより遠くへと逃げることが可能になります。
この歩き方は捕食者から逃げる場合だけではなく離れたところにある新しい餌場にたどり着くためにしているという説もあります。また適度に方向転換をすることによって足への負担が一方に偏らないようにするためでもあります。
ダンゴムシによく似た生き物
ダンゴムシとよく似た生き物は実はたくさんいます。同じような環境で暮らすものもいれば、海の中で暮らすものもいます。姿はよく似ていますが違った個性を持ち、ダンゴムシかと思ったら丸くならないなんていうこともあります。どんな生き物がいるのか、少し紹介していきます。
よく見かけるワラジムシ
ダンゴムシを探している時に同じような場所で出会えるこのワラジムシワラジムシは、見た目や住む場所だけではなく食べるものもダンゴムシと似ており、甲殻類の仲間でもあります。ダンゴムシと見分けるのは簡単で、彼らは体の形状がダンゴムシと比べて平たく、また触れるなどしても体を丸めない生き物です。
深海にいるダイオウグソクムシ
すこし前に話題になり今は水族館などでも会うことのできるダイオウグソクムシも、ダンゴムシによく似た生き物です。住む場所は陸地と深海でダンゴムシとはずいぶんと違う環境を生きているダイオウグソクムシですが、生物学上も等脚目の甲殻類と見た目だけではなく案外似ている生き物です。
実は意外とカラフルなダンゴムシ
黒色や灰色など地味な色合いばかり見かけるダンゴムシですが、実は種類や個体によっては体に模様が入っていたり赤みを帯びた茶色などよく見るものとは異なった姿のものも存在し、意外とカラフルな生き物です。
ダンゴムシの模様
ダンゴムシには斑点のあるものや、縁取りのあるもの縞模様のあるものがいます。欧州原産の黒い体に白いシマが入ったゼブラダンゴムシなどはダンゴムシを飼っている人の間では人気がある種類のようです。日本にいるダンゴムシにも模様があり、オスは無地でメスには黄色い点が入っています。
青いダンゴムシもいる!
世界には一見作り物のように見える青いダンゴムシが存在し、その色は宝石のように鮮やかでとてもハッキリとした青色です。これは品種などの関係ではなくイリドウイルスというウイルスの一つに感染した場合に見られる色となっています。
ダンゴムシやワラジムシがこのウイルスに感染すると徐々に青い色へと変わっていきとても綺麗ですが、明るい場所を好むようになり色も目立つため捕食者に狙われやすくなってしまいます。これは日本のダンゴムシにも見られる現象です。他には白いダンゴムシもいますが、こちらはアルビノで遺伝子疾患により色素がないものです。
青色に輝く虫に興味がある人はこちらをどうぞ。
ダンゴムシはこどもにも大人にも人気
私たちの周りに存在し触れ合う機会の多いダンゴムシは日本海外問わず、こどもにも大人にも人気です。絵本やおもちゃになるほど人気のダンゴムシ、一体どんな商品があるのかお伝えしたいと思います。
だんごむしわくわくめいろハウス
楽しく学習するのに役立つ付録と雑誌でおなじみ科学と学習の学研からはこんなキットが販売されています。本を読みながらキットを使ってダンゴムシを観察することができ、先に紹介した方向転換の習性なども見ることができるものとなっています。
カプセルトイのフィギュア
この商品はカプセルトイ、いわゆるガチャガチャのフィギュアです。従来のカプセルトイと違いカプセルに入っておらずダンゴムシが丸まった姿で出てきます。500円と少々値段が張るものの、SNSなどで話題となりあっという間に在庫がなくなってしまうほどの人気商品です。
何でも餌にするダンゴムシの観察をしてみましょう!
雑食性であり、身近な場所に生息しているダンゴムシ。それ故捕まえやすくとても飼いやすい彼らは可愛らしい小さなペットとして、夏休みの自由研究の題材として、飼育してお子さんと一緒にその食事風景や生活する姿を観察するにはとてもおすすめの生き物です。
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