白鳥由栄4度の脱獄歴!「昭和の脱獄王と呼ばれた男の驚きの能力と方法とは?

尾道刑務支所有井作業所

昭和43年に有井作業所開設。刑期が10年に満たない者で、犯罪傾向が進んでいない者と進んでいる者、60歳以上の高齢者者の男性が主な収容者です。作業はサンダルや、すのこ、屏風張りなどを行なっています。

木工、洋裁、金属加工など様々です。開設50年を過ぎましたが、この施設では脱走は起きていません。開放型施設で、部屋には窓があり、鉄格子はありません。この施設はほとんどメディアにさらされることがないため、全貌は知らされていませんが、学校のような造りです。

松山刑務所大井造船作業所

大井造船所に行くのには審査があります。体力作りの訓練も受けます。大井造船作業は寮で生活です。鍵のない出入り自由な暮らしです。大西工場で一般の作業員と一緒に作業します。再犯率が少ないことで知られていますが、軍隊以上の厳しさです。

2018年までに、脱走事件が17件20人おきています。2018年4月の27歳の脱走は全国的に報道されました。刑期が終わるまで、あと半年を残すのみでした。メモに刑務官によるいじめが原因とありました。厳しいことで有名な施設ですが、厚生させるための指導です。行き過ぎはないですよね。

市原刑務所

交通刑務所です。交通刑務所は加古川刑務所と市川刑務所の2カ所しかありません。市原刑務所は交通違反者のみを受け入れているのに対して、加古川刑務所は犯罪性がある者や刑期が短い受刑者が入ります。

白鳥をモチーフにした作品

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白鳥由栄をモデルにした小説や映画が多く作られました。彼の脱獄の美学と、運の悪さが人々を惹きつけたのです。運が悪いというのは、生い立ちであっり、特に厳しく当たる看守が担当についたり、白鳥だから生き延びたのです。

吉村昭氏の小説

破獄 (新潮文庫)

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36回読売文学賞授賞。1983年11月24日初版発行。1985、2017年にテレビドラマ化されています。原作が重厚な作品なので、ドラマも重いかと思いきや、人間を描いたドラマでした。小説は時代の中で人間があがく様子を落ちついた目で観察しています。読み応えがあります。

あらすじ

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小説破獄は、白鳥の人生そのもの、4度に渡る脱獄の背景と、脱獄の方法を細部まで書き込んでいますから、たちまち引き込まれてゆきます。おそらく、白鳥が書いた私小説ではないかと、思えるほどです。人物に奥行きがあります。

だからドラマ化された時のキャスティングが的確でした。白鳥のような男が凶悪とレッテルを貼られ、酷い仕打を受ける世の中に救いなどないと、読みすすむうちに息がつまりそうになりますが、ちゃんと逃げ道は作られていますから、引き込まれるままに読みすすめても大丈夫です。

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かつて、人間の条件という映画をみてしばらく立ち直れなくなった苦い経験がありますから、人間を書いた小説は注意して読みます。白鳥の人物の大きさと、執着が面白い面を出しますから、逃げ道がある小説です。

2度ドラマ化している

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これだけ人物も背景も揃っていれば、多くの人に観てもらいたいと思うのが普通です。でもよくドラマにしてくれたと感謝します。どちらのドラマも映画以上の見応えです、一瞬たりとも目が離せません。

緒形拳主演のNHK版

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主演に緒方拳、看守に津川雅彦なら、白鳥役の佐久間と看守の人としての葛藤に迫るドラマになるのは当然です。映画を思わせるセットの作り込みです。ただドラマである限り、著しい悲惨な監獄の様子は手加減して作られています。佐久間と看守の美化された心の世界を実際の事件を使って作ったドラマと言っておきます。見応えがあります。

ビートたけし主演のテレビ東京版

原作から大幅に外している作品です。主演のビートたけしは看守の役ですが、原作の中ではほんの少しのページに登場した人物です。二回目の脱獄が成功したところからドラマははじまります。小菅刑務所の看守は原作ではほとんど登場しない人物ですが、白鳥の心には深く刻まれた人物です。

彼の人を巻き込むことも傷つけることもない一貫した脱走の美学はこの看守なくしては成立していないのです。小説でも通りすぎた人物にスポットを当てて、その役がビートたけしさんでは、素晴らしいドラマだと、観ないうちから期待が高まります。原作からは外れて居ますが、脱獄の手口と背景はリアルに書き込まれています。

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もしかしたら創作だと思って観ているかもしれません。主人公佐久間は白鳥ですが、最後の方で、府中刑務所の所長が働きかけ、出所が早まる結果になりました。それに恩義を感じ、毎年正月に年始参りに行きます。ドラマでこれだけの鬼気迫る作品になったのは白鳥の生涯がドラマを超えていたのだと感じました。

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