鈴蘭毒は青酸カリよりも強い!?身近に潜む恐ろしい毒草と本当に合った死亡事故

山菜取りで起こった鈴蘭毒事故

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春、鈴蘭が咲くこの季節は山菜の旬でもあります。数年前、山菜採りに行った方が目当てのものと間違えて鈴蘭を持ち帰り調理、食べてしまった結果亡くなってしまうという事故が起きました。このようなケースは珍しいものではなくニュースでも度々報じられています。

似ている行者ニンニク

事故に遭ってしまった人々が採りに行っていたのは行者ニンニクという山菜で、地域によってはアイヌネギなどとも呼ばれるものです。鈴蘭の葉と様子がとても似ており、その為間違えて採ってしまうという方が多いのです。行者ニンニクは北海道や東北などに多く自生しています。

時々道の駅などで苗を売っていることもあり、また季節になると栽培されたものがスーパーに並び行者ニンニクを食べる文化のある地域ではとてもメジャーな植物です。ニンニクのような香りで風味が良く、山菜らしく酢味噌なども合いますが炒め物など様々な料理に適しておりとても人気の山菜です。

行者ニンニクと鈴蘭の見分け方

この2つの植物を見分けるのは少々難しいと思いますが、鈴蘭と行者ニンニクとではどちらも単子葉類であるものの葉に走る葉脈が違っています。鈴蘭の葉脈は葉の根元から先端に向かい平行に走っており、一方行者ニンニクの葉脈は真ん中を走る葉脈から脇へ伸びるように他の葉脈が出て先端に向かい平行に走っています。

他に死亡事故を起こしてしまう似た植物にイヌサフランというものがありますが、こちらにも見分ける方法はあります。イヌサフランは行者ニンニクと比較すると葉の枚数も多く大ぶりで重なるように生えています。また、行者ニンニクは名前通りの香りがし、これは鈴蘭やイヌサフランからはしないものです。

鈴蘭毒のほかにもある!日本に自生する有毒野草

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人体に危険を及ぼす植物は鈴蘭のみならず、まだまだたくさんあります。私たちの身のまわりに植えられていたり自生している植物には他にどんな気をつけた方がいいものがあるのかを皆さんにも見ていただきたいと思います。

トリカブト

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トリカブトはキンポウゲ科の植物であり、その毒はドラマや小説、そして実際の事件でも使用されるほど毒を持つことが有名です。野山に自生しており、若芽がニリンソウなどの食べられる野草と似ている為こちらも誤食してしまうことがあります。

種類により生成される毒の成分は異なりますが、中にはあまりの即効性から食べて数十秒で死亡してしまうものも存在します。他の野草と間違えた際の誤食を防ぐ方法として少し噛んで味を確かめるという手段があり、その場合すぐに吐き出せば問題ないそうです。トリカブトの毒は精製し漢方に用いられることもあります。

キョウチクトウ

キョウチクトウはリンドウ目キョウチクトウ科の植物です。毒となる成分は植物全体だけではなく土壌にも存在し、枝などを切り離された場合も長い間その毒は効果を持ち続けます。こどもやペットが口にしていないか気をつける他、近くでの野菜の栽培も避けることが望ましいです。

クサノオウ

クサノオウはケシ科の植物で、可愛らしい黄色の花を咲かせ、葉を切ると同じような色をした乳液が分泌されます。この植物には約20種類ほどアルカロイドが含まれその過半数が人体に有毒とされていますが、水虫や擦り傷などの薬として扱われたこともあります。

神経に対し抑制系の働きを持ち、誤食してしまうと昏睡状態や感覚の麻痺などを引き起こす可能性があります。またケシ科の植物であることから治療においてモルヒネの代用品として用いられたりアヘンの代わりに喫煙された過去もありますが、効果よりも毒性が強く危険で現在は使用されることもないようです。

水仙

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水仙はヒガンバナ科でユリの仲間ともされる植物です。小学校や花壇でもよく見かけるラッパのような姿が面白いこの花ですが、この水仙にも危険な毒が存在しています。植物全体に毒を保有し、特にその根に多く含まれています。

庭でニラと水仙を育てている方が間違えて水仙の葉を食べ中毒を引き起こす事故もしばしば見受けられますが、中毒症状の嘔吐のおかげでほとんど胃に残ることもなく大事に至ることは少ないです。しかし、根を野蒜などと誤認し食べ死亡してしまうといった事故例も存在します。

ドクゼリ

セリ科であるドクゼリは全国に分布しており、食べることができ春の七草として親しまれているセリとは親戚ですが、セリのような香りがないことや地下茎を持つというセリとは異なる点から区別することが可能です。

ドクゼリは2種類の毒を全草に持ち誤って口にしてしまうと痙攣や嘔吐、意識障害といった中毒症状が現れ、大量に食べてしまうと死亡してしまうこともあります。中毒症状が出た場合には呼吸困難の対処をし、病院で血液透析などの処置を受ける必要があります。

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