マタマタってどんな亀?
マタマタというカメをご存じでしょうか?一般的にはあまり馴染みのない種類ですが、その独特な見た目から爬虫類好きには人気の高いカメです。他のカメとの違いを挙げればキリが無いほど特徴的なカメ。そんなマタマタの魅力とペットとして迎え入れる時の注意点、飼育方法をご紹介します。
マタマタの基本データ
マタマタはヘビクビガメ科マタマタ属に分類され、本種のみでマタマタ属を形成しています。エクアドル、コロンビア、ブラジルなどの南米に分布し、流れの緩やかな河川や沼地で生活しています。陸に上がることはほとんど無く、川底でじっと獲物を待ち伏せています。魚を主食とし、獲物が近づくと口を大きく開いて水ごと瞬間的に補食します。
マタマタの最大体長や成長速度
甲長は45センチ、体重は15キロほどまで成長しますが、餌の量、飼育環境によってはさらに大きくなる例もあります。成長速度は速くはなく、脱皮を繰り返しながらゆっくりと成長していきます。
大きくなりすぎて飼えなくなったり、活動的でないことから飽きてしまう方が多いようです。甲羅だけでも45センチとなると体長は倍ほどと考えてもいいでしょう。最後まで責任を持って飼育できるか、情報をしっかりと集めてから購入を検討してください。
マタマタの特徴
生物は生存競争を生き抜くために様々な進化をしてきました。そして、それぞれの生息環境に適応するため体の形状を変え現代まで種を存続させてきたのです。マタマタも過酷な環境で種の存続のために他のカメとは違った進化をしてきた種であると言えるでしょう。
マタマタは枯れ葉や岩に擬態できる能力を持っている
枯れ葉のような体に、岩に似た甲羅をもつマタマタ。この特殊な体は沼や川底にあるものに擬態するためのもの。一生のほとんどを川底で過ごすため、周囲の枯れ葉や岩に溶け込み獲物を待ち伏せします。
水中では極めてゆっくり移動します。獲物となる魚には敵が近いてきたときに、波の振動を感知するセンサーがあるのですが、マタマタはこのセンサーにも反応しない程の忍び足だといいます。周囲の背景に完璧に擬態して獲物を狙う姿はまるで忍者のようです。
マタマタの頭は大きすぎて甲羅に収まらない
カメといえば、身の危険を感じると甲羅に隠れるというイメージですが、マタマタは一枚の枯れ葉のような平たく大きな頭を持つため、頭を甲羅にしまうことができないのです。睡眠時はその大きな頭を横に曲げて眠るようです。
また首は長く、呼吸をする時にはその首を水面まで伸ばします。シュノーケルのような形状をした鼻を外に出すことで空気を取りこんでいます。獲物を確実に捕食するための口は、目の後ろまで大きく裂けていて、横から見ると笑っているような顔をしています。
大人しい性格だから癒される
マタマタは魚を主食とする肉食のカメです。肉食と聞くと危険なイメージですが、実は大人しくペットとしても飼いやすいことも人気の一つでしょう。活動的ではないので1日の大半を水の底でじっと過ごします。
野性下でもあまり動くことはなく、産卵期を迎えたメスの個体以外は移動することもほとんどないといわれています。ゴツゴツとした外見ですが、とても愛嬌のある表情をしているので眺めているだけでも癒されます。
マタマタの販売価格や寿命は?
ここまででマタマタに興味を持った方や、実際に飼育してみたいと思った方もいるのではないでしょうか?ミドリガメのようにあまり流通されている種類ではないのでイヌ、ネコなどを取り扱っている一般的なペットショップでは販売されていません。ではどこで購入できるのか、マタマタの販売場所や価格、寿命などのご紹介をします。
マタマタは爬虫類ショップに販売されている
マタマタは流通数が少なくほとんどが輸入によるワイルド個体なので、爬虫類を専門に扱っているショップを探してみるといいでしょう。専門ショップでは飼育に必要な道具も取り揃えており、専門的な知識が無くても店員さんが親身になって相談に乗ってくれるので初めての方でも安心して購入することができます。
販売価格に関しては個体のサイズや入荷状況などで幅がありますが、幼個体で15,000〜30,000円が相場のようです。成体となると100,000円を超えることもあるそうですが、ほとんどが幼個体なので比較的手に入れやすい価格ではないでしょうか?
正しく飼育できればマタマタの寿命は長い
マタマタは突然死が多く詳細な寿命ははっきりとしていませんが10年前後といわれています。長く付き合うには正しい飼育知識を持つことが大切です。原産地である南米と日本とではもちろん環境が違いますので、現地に近い環境を作ってあげることが重要となります。
水質の悪化、過食による突然死が最も多いとされています。あまり動きを見せないので体調の変化にも気付きにくいです。些細な変化も見逃さないよう日頃からよく観察することも突然死を防ぐことに繋がってきます。
その他カメの情報はこちらからご覧ください。
マタマタを飼育してみよう!①必要な設備はこれ!
マタマタをペットとして迎え入れるにあたって、まずは飼育環境を作るところからスタートします。最終的には大掛かりな設備が必要となりますので、段階的な買い換えなども考慮して準備をしましょう。
南米では日本のように四季はなく乾季と雨季に分けられます。1年を通して温暖な気候なので、冬場でも暖かい環境を保たなければいけません。ここでは生息地と同じ環境を作るための設備をご紹介します。
水槽
専門ショップに行くと鑑賞魚用から大型魚用まで様々なサイズのものがあります。最近では見た目にこだわった水槽などもありますが、基本的な用途に差はありません。どれを買ったらいいかわからない!という方は参考にしてみてください。
大型種であることを忘れずに
ショップでは幼個体の販売がほとんどなので最初は30センチ程のものでも問題ありませんが、狭すぎて動きが制限されるとストレスの原因となります。体の大きさの倍のサイズを目安に選ぶといいでしょう。
最大甲長45センチほどにもなる大型種なので最終的には120センチ以上の水槽が必要となります。急激に大きくなるということはないので、成長を見ながら買い替えを検討するとして、最初は60〜90センチの中型クラスの水槽から始めることをおすすめします。
活餌の管理用に
マタマタをペットとして飼うには活餌も同時に管理しなければいけません。冷凍してストックする方法もありますが、自然に近い環境での飼育を考えると活餌を与える方が望ましいです。餌を与える頻度は少ないので、小魚やエビを飼育できる程度の小さな水槽でも問題はありません。
フィルター
一生の大半を水中で生活するカメなので水質の悪化による突然死が1番多い原因とされています。皮膚や甲羅から毎日のように皮が剥がれますので、清潔な環境を保つのは難しいです。こまめに掃除をして見た目がきれいでも、水質は毎日落ちていきますので、水質管理には必須アイテムといえます。
フィルターと一言で言っても大きく分けると8種類ほどありますが、用途、水槽のサイズによって選び方が変わります。マタマタの飼育には外部式フィルター、上部式フィルター、オーバーフロー式の3種類が適しているでしょう。この3種類のフィルターごとの特徴をご説明します。
外部式フィルター
本体上部に水を循環させるモーターとホースが付いており、下部のタンクにろ材が数種類入っています。値段は他のものと比べると高めで、メンテナンスが少し手間ですが、ろ過性能が高く動作音もほとんどしないので、水槽管理をしている方はほとんどこのタイプを使用しています。
上部式フィルター
水槽とセットで販売されていることが多いです。名前の通り水槽上部に設置し、汲み上げた水を上部の濾過部を経由して水槽内へ戻すという仕組みです。酸素を取り込みやすく、二酸化炭素を逃しやすい造りとなっているので生体への酸欠の心配はあまりありません。
水槽上部の半分は占有されますので見栄えが悪く、濾過性能も外部式と比べると若干劣ります。安価で購入できますが、モーター音と落水音はどうしても出てしまいますので、見栄えや音が気にならない方は検討してみてもいいかもしれません。
オーバーフロー式
フィルターの中では最も濾過能力の高いものです。水槽から濾過槽へ水を落とし、濾過された水をポンプで汲み上げ水槽内へと戻します。他の物に比べるとコストは跳ね上がりますが、見栄えが良く、使用水量も多いので水質は安定しやすいでしょう。
その圧倒的な濾過能力から大型魚の飼育や海水水槽に使用されることが多いです。ただ、専門的な知識が必要となってきますので初心者には不向きかもしれません。もし濾過能力に不安のある方はフィルターを組み合わせることで改善できますので、そちらも検討してみてください。
おすすめは外部式
値段、性能、見栄えなどトータルで見ると外部式フィルターをおすすめします。耐久性にも優れており、故障しても部品ごとに販売されているのでコストパフォーマンスが高く、初心者にも扱いやすいフィルターです。
水中ヒーター
水温は26℃〜28℃を保つようにしましょう。水温が20度を下回ると弱体化します。さらに下回ると仮死状態(冬眠した状態)となりますので、温度管理はしっかりと行ってください。特に冬場は水温のチェック、ヒーターが正常に作動しているかなどの確認も習慣づけておくといいでしょう。
カバーもセットで
ヒーターの表面は高温になります。ヤケド防止のために別売りのカバーも一緒に購入しておきましょう。水中で使用するものなので故障することもあります、万が一の故障に備えて一本予備があると安心です。
サーモスタット付きのものがおすすめ
サーモスタットとは設定した温度によって、ヒーターの電源をオン、オフしてくれるものです。これによって水温の上がりすぎ、下がりすぎを防ぐことができます。紹介したヒーターとサーモスタットは別売りですが、一体型のものも販売されています。ヒーターの表面は高温となるのでヤケド防止のためのカバーも忘れずに。
ライト
カメといえば日光浴をしている姿を思い浮かべる方もいるでしょう。カメに限らず爬虫類は体温を一定に保つことができず、日光浴によって成長に必要な栄養を作り出しているので欠かすことができません。飼育下では専用のライトを使うことで、日光を再現することができます。
紫外線ライト