小学生が妊娠するってありえるの?
事例もありますし、当然小学生でも妊娠します。この事例に対して疑問や驚きを抱いてしまうことこそ、日本における「性」に対する認識の浅さに原因があるといえます。ここで今一度確認しておきましょう。
小学生でも妊娠できる
小学生でも、初潮を迎えた段階で、生殖器の機能的には、妊娠が可能になります。可能にはなりますが、全体的な身体の成長が伴っていないことが多く、妊娠をしても自然分娩できるケースはほとんどありません。
10歳前後で始まる排卵
卵子が排出されることを「排卵」といい、初めての排卵のことを「初潮」と言います。初潮の開始は人それぞれですが、10歳から13歳の間に迎える人が多いようですが、当然その期間より早い人も遅い人も居ます。初潮を迎えたこの段階で、きちんとした性教育が行われていなければ、性への認識はどんどん歪んでいきます。
また、男の子の精通も同時期に起きるものです。初潮を迎えた女の子と、精通を迎えた男の子とが性交渉に及ぶと、生殖機能的には大人となんら変わりないのですから、妊娠する可能性は当然あるのです。
ネット大炎上!「14歳未満の出産児童生徒内訳」
この資料は衝撃的なものだったので、その資料の信憑性が議論される前に、ネットで瞬く間に拡散されてしまいました。今でも画像検索をかければ閲覧が可能です。なぜここまで波紋を呼んだかと言えば、「小学生で性交渉に及んでいる」という事実が目に見える形で提示されてしまったからです。どのような資料だったのかを解説します。
ある産婦人科のデータが流出
データはある産婦人科のものだとされますが、真偽のほどは不明です。資料には、19人の14歳以下の女児の情報が匿名で載っています。項目は「年齢」と「学年」、「妊娠した経緯(相手についての情報)」、「出産の方法」が表となり、一覧で出されています。
最年少出産は小4!
このデータによると、最年少は10歳で、小学4年生でした。しかも相手が「13歳の兄」と記載されていることで、波紋を呼びました。小学生の妊娠は4年生こそ一人ですが、5年生は2人、6年生では6人がそれぞれデータにあがっています。
小学生の妊娠の背景には衝撃的な理由があることも
さきほど、小学4年生の女児の相手が兄であったことをお話しましたが、ほかにも「9歳の弟」が相手という衝撃的なものもあります。また、このデータ上には、小学5年生が父親からの性的虐待により妊娠・出産してしまったケースも記されています。こういったお話は、とても心の痛いものです。
小学生妊娠の現実
小学生の妊娠は、もうフィクションの世界の話ではありません。われわれが考えている以上に身近に迫る問題です。ここでは厚生省のデータと、それをもとに日本産婦人科医会が作成した表を参考に、お話していきます。この現実について考えてみましょう。
小学生・中学生の出産率
2014年の厚生省のデータによれば、19歳以下の出生数は13,011人であり、うち「43人」が14歳以下です。確率にして0.3%です。中絶ではありません、「出産」です。子をお腹に宿し、出産を選択する小中学生の数は予想以上に多いのです。
14歳未満の出産数が5倍以上に!
ここでは「日本産婦人科医会」が厚生省のデータをもとに作成した表をもとに、1975年と2013年の出産数を比較し、お話しします。1975年の小中学生の出産数は、「9人」でした。それに対し2013年は「51人」と、約40年の間で出産数は5倍以上も増えてることが判ります。
15歳未満の中絶率は8割以上
2013年に絞って見ていくと、15歳未満の中絶数は318件、15歳未満で懐妊したうちの86%が、中絶を選択している現状です。最初に小中学生の出産事例について紹介しましたが、第一に体への負担という観点から、医師も中絶を勧める事が多いので、10代の中絶率は必然的に多くなります。
遅れる性教育~小学生妊娠の現状~
みなさんも小学生の頃、保健体育の授業の中で「性教育」の時間があったのではないでしょうか。学校によっては、初潮や精通についてのお話のみという場合もあるようですね。いまや小学生もスマホを持つ時代、正しく性教育が行われなければ、軽率な行動が増えるのは目に見えています。今一度、「性教育」について考えましょう。
「性交」がNGワード?信じられない性教育
2018年3月に、中学生に対する性教育が不適切だ、ということで都内のとある中学校が指導されました。その授業は「思いがけない妊娠」をテーマに生徒みんなで考えるもので、「避妊」の大切さを説くものだったといいます。なんら問題がないように思えるのですが…なんと、この授業の中で使われた「ある単語」が「不適切」だとされたのです。
その単語というのが、まず「性交」。そして「避妊」、さらには「人工中絶」…これらの言葉が、中学生への教育上、不適切だとされたのです。逆に問いたいのですが、これらの言葉を用いずに、どうやって性教育ができるというのでしょう?そう思われた方も少なくはないはずです。
性教育が低年齢の性行為を助長する!?
「性教育」を行うことによって、児童および生徒が「性」へ関心を持つと、セックスの低年齢化が進む…そういった批判は、今も根強くあります。これは歪んだ意見でしかありません。性教育は、どのように自分が産まれてきたのかという謎を紐解くと同時に、生命の神秘に触れる機会でもあるというのに、なぜ興味を持ってはいけないのでしょうか。
間違った認識と日本の性教育の現状
日本は世界的にみて、圧倒的に「性教育後進国」です。「性」をタブー視しすぎるあまり、教育にまで影響を及ぼし、正しい性の知識を得る機会が奪われている現状です。もう少し性に対する意識を柔軟に、寛容にしていかなければ、「思いがけない妊娠」を防ぐことはできません。
思春期は性のめざめの時期であることは教えるのに、「性」に関するすべての知識を制限し、触れないのは、不自然です。知識を与えてないからといって、「性」への興味が無くなることはありません。性教育に制限をかけることはあってはなりません。
「コウノトリ」はもう通用しない!
昔から、「赤ちゃん」について子どもに聞かれたとき、常套句としてよく使われるのは、「コウノトリ」ですね。コウノトリが運んできてくれた…よくそんな突拍子のないことを言えたものです。そこで子供に隠す必要ってあるのでしょうか?考えていきましょう。
「親」から「子」への性教育
親から子へと性教育をできる環境が、一番好ましいです。教育の現場で制限されてしまっているのですから、尚更です。「いずれわかることだから」と放置している家庭が多いことでしょう。しかし、男女交際をするような年頃になって、無知なまま妊娠する、もしくはさせてしまう事態になって後悔するのでは遅いのです。
なぜセックスをするのか、どうして妊娠するのか…それらをきちんと、ごまかさずに教えることが重要です。日本においては家族での会話においても、性的な話というのはなぜか口にすること自体が躊躇われていますが、その認識はもう改めなければなりません。
性教育YouTuber「シオリーヌ」
2019年2月から、シオリーヌさんという助産師の方が、YouTubeで活動をされており、性教育系の動画を公開されています。「性の話を、もっと気軽にオープンに」をテーマに、避妊器具や生理などなど、とてもわかりやすく解説されています。自分では子どもに解説できない…と思われている親御さんも、ぜひご覧になってみてください。
滋賀に「コンドームの伝道師」がいる!
2019年の3月中旬に、滋賀県大津市にある大津商業高校で、同校一年生280名を対象に、性の授業が行われました。教師の名は清水美春さんといい、「コンドームの伝道師」という異名ももちます。どのような授業であったのか、ご紹介します。
「習うより 触って慣れよう コンドーム」
この授業で掲げられたスローガンは、「習うより 触って慣れよう コンドーム」という強いインパクトのあるものでした。掲げられた目標のとおり、生徒ひとりひとりにコンドームが手渡され、どのような形状をしているものなのか、実際に「触れてみる」という経験をさせています。
妊娠だけじゃない性感染症のリスク
この授業で強調されたのは、コンドームは「避妊」としてではなく、「性感染症予防」としての側面が強い、ということです。清水さんはケニアでのコンドーム普及活動の経験から、エイズの恐ろしさについても言及しています。コンドームを付けずに性行為をする、ということは、妊娠のリスクだけでなく、性感染症に罹るリスクも同様に高まります。
「びわこんどーむ君」と学ぶコンドームの大切さ
清水さんは、「琵琶湖の主」とも呼ばれる「ビワコオオナマズ」をモチーフにした、「びわこんどーむ君」というキャラクターも作成しています。一見普通のナマズですが、よく見るとコンドームの形をしています。リンク先でぜひその姿をご覧になってみてください。ビワコオオナマズに興味を持った方は、こちらの記事もご覧ください。
小学生妊娠のリスク
小学生の妊娠は身体的にも危ないと言われますが、具体的にはどのようなリスクが伴うのでしょうか。具体的な症状を挙げながら、小学生だけに絞らず、15歳以下の妊娠がどのように危険であるのかお伝えします。
小学生妊娠のリスク①妊娠中毒症
「妊娠中毒症」は、2005年に呼び方が改められ、現在は「妊娠高血圧症候群」と呼ばれます。妊娠して20週目以降に高血圧になり、出産後12週までに正常の値に戻る症状を指します。妊婦さん全体の5%が罹るといわれています。高齢出産の場合そのリスクは高まるといわれていますが、15歳以下も次いでリスクが高いのです。
小学生妊娠のリスク②未発達の体で心配される難産
身体がまだ成長段階にある中での「妊娠」および「出産」であるため、難産になることが予測されます。また、15歳以下の妊娠は「ハイリスク妊娠」に分類されるため、慎重な経過観察が求められます。
小学生妊娠のリスク③出産しても高い死産の可能性
妊婦さんの50人に1人の割合で、死産は起こるといわれています。先ほどもお話したとおり、15歳以下であると身体的に未発達な部分も多く、お腹の中の胎児にきちんと栄養が行き渡らず、成長が滞る場合もあり、死産のリスクも高まります。