太古の存在!古代生物とは?
太古や古代と聞いただけで、きっととても古い時代の生き物なのだろうとなんとなくは想像することはできますが、長い地球の歴史の中で、それらは私たち人間よりもどれほど前に生きていた生き物たちだったのでしょうか。
地球の歴史は46億年もある
生まれたばかりの地球はマグマの海でした。その後2億年のうちにそれが冷え、44億年前ごろに初めて海ができました。ですが、小惑星の衝突を受けその海は何度か干上がってしまいます。宇宙の環境がやっと落ち着き、地球が安心できる状態になったのは38億年ごろで、その頃の海に初めて生命が生まれたのではないかと現在は考えられています。
初めは目にも見えないような小さな存在だった彼らが、少しずつ長い時間をかけて複雑な体へと進化し、水中だけにとどまらず陸の上を歩くようになり、空を飛ぶものも現れ、人間を含む現在の様々な生き物へとその道筋は続いてきたのです。
恐竜は古代生物ではない?
『古生物』。人間が生まれるはるか前に生きていた生物たちを、皆ひっくるめた場合にこう呼びます。また世界史的に考えると、『古代』とは有史以前のことではなく、すなわち恐竜は古代生物ではないとする考え方があります。
ですがこれだと、例とした恐竜だけでなくそれ以前・以後の全ての古生物までもが古代生物ではないことになりますからなんだかおかしなところです。地球の長い歴史と比べてまだわずかな、人間の歴史ができてから絶滅した動物のみを古代生物と呼ぶのもどうなのでしょう。
古代生物の定義はあいまい?
古生物という正式な言葉の完全なる誤りだとする古生物学者からの意見もあれば、生物学者がタイトルに古代生物と入った書籍を出版したことも。単に古生物の語感の違いとしてしまっているのか、恐竜も含めて古代生物として掲載しているニュース記事なども見かけます。謎に包まれた彼らの定義は、一般にまだまだあいまいだと言えるでしょう。
この記事内では、正しい『古生物』という言葉があるのを心に留めていただいた上で、『恐竜以外の』太古の昔に生息していた多様な生き物たちという、多少の分類をする意味であえて特別に古代生物とさせていただくことをここに明記しておきます。
まるでゲームの世界!陸に生息した古代生物
私たちがこの地球の上を歩くようになるよりはるかに昔、酸素濃度や気温や気候などは今とはかなり違った状態にありました。その時代には、その時代に合わせた体に進化した生き物たちが暮らしていました。まずは私たち人間と同じく陸上に暮らした生物たちをご紹介していきます。
歴史上最大の蛇!ティタノボア
ボアの仲間といえば大蛇として有名ですが、かつて生息していたこちらのティタノボア(タイタノボアと発音されることもあります)は現在のボアたちをはるかに上回り、全長なんと12~15mもありました。体重は1000kgを超え、胴の一番太いところでは直径1mにも達していたそうです。
大きく強いものといえばこの名を
ギリシャ神話などに登場する、巨神族であったとされているタイタン。ティタノボアも彼らに因んだ名を付けられました。あの有名なタイタニック号も、土星の衛星タイタンも、金属のチタンなども、皆この神様たちから名前をいただいたものとなっています。
鬼のような頭部を持つエステメノスクス
ラテン語で『冠をかぶったワニ』という名前を授かったエステメノスクス。ワニのような顔から四方に枝のようなものが伸びている、とても不思議な頭の形をしています。現在ではもちろんこんな姿のワニや似た生き物などは見られません。いったいどのようにしてこんな姿へ進化していったのでしょうか。
エステメノスクスは小型のE・ミラビリスと大型のE・ウラレンシスの2種類が確認されています。ミラビリス種の方が発達した角を持っていたため、驚異的という意味のミラビリスと名付けられました。
意外とぽっちゃり?
エステメノスクスの頭蓋骨はカナダのロイヤル・ティレル古生物学博物館で見ることができます。これぞまさに鬼の形相。大きな口を開け鋭い牙をむき出しにして迫力満点です。実は彼らが何を食べて生きていたのかまだはっきりとは判明していません。
もし見た目通りに肉食であったならば、生きているものを追いかけて狩るのではなく死んだものの肉を食べていただろうと言われています。強面の彼らですが意外とぽっちゃり体型だったため、そんなに速く走ることはできなかっただろうと考えられているためです。
史上最大の節足生物!アースロプレウラ
虫が苦手な人でなくても突然出会ったら卒倒してしまいそうなサイズのこちらはアースロプレウラ。史上最大級のヤスデの仲間です。その体の幅は45cm、全長は2.4mほどにまで成長したそうです。
人間から見るとだいぶ強そうな見た目をしていますが、彼らは草食であったようです。彼らの糞の化石からはシダなどの成分が見つかっており、またその歯は他の動物を噛むほどの力は持っていなかったとされています。
まるでゲームの世界!海に生息した古代生物
お次にご紹介するのは、大海原を住処としていた生物たちです。初めにお伝えしたように生命の起源は海中と言われています。現在でもまだ謎の多い海の中には、過去には超巨大なものから手のひらサイズのものまで、さらに多様な興味深い生物たちが暮らしていました。
長い首で獲物を狩るエラスモサウルス
リボンのトカゲという意味の名前をもらったこの生き物はエラスモサウルス。リボンのようだと呼ばれたのは、それだけで8mもあった長い長いその首でした。体全部の長さだと14mほどにも成長したそうです。主に魚やイカを食べていましたが、たまに近くを飛んでいる翼竜を口にすることもあったようです。
深海に生息する巨大生物!カメロケラス
なんと長く貝殻でしょう。その長さは6mとも11mとも言われています。奥まで全部体が入っているのではなく、殻の3分の2程度にはガスと特別な液体が入っており、そのために体を浮かべることができました。この構造は他にもアンモナイトや、後程ご紹介するオウムガイなどが持っています。
余談ですがファイナルファンタジー11の釣りクエストで登場したこともありました。今では見ることのできないこの巨大な生物を、現実で釣ることが出来たならどんな気持ちがするものなのでしょうね。
頭はどっち?ハルキゲニア
幻や幻覚という意味の名で呼ばれる、こちらの奇妙なトゲトゲの生き物はハルキゲニア。このとても小さな5mm〜3cmほどの生き物の正確な姿が調査によって確定したのは、ごく最近の2015年のことでした。その年、今まで尻尾側と考えられていた方向に小さな歯と目が見つかり、そちらが顔であったということがわかりました。
彼らの化石において、その個体が化石になる前にお腹が潰されてしまっており、結果的にそこが丸く頭のように見えていたために長らく前後を取り違えて考えられていたのだということが、それと同時についに判明することとなったのです。
バージェス頁岩の仲間たち
硬い殻を持つものや不思議な姿など、生物の多様性が一気に増したカンブリア期と呼ばれる時代。その時代の貴重な生物たちがたくさん見つかっているのが、カナダのバージェス頁岩(けつがん)と呼ばれる地層です。頁岩とは、岩の層をまるで本のページのようにめくることができるためにこう呼ばれています。
ハルキゲニアはこの地で発見されました。同じ地層からは5つの目を持つことで知られるオパビニアや、ディノミスクス、ウィワクシア、オドントグリフス、そして当時の海の覇者アノマロカリスなど、天然の古文書からはたくさんの個性的な生き物たちが姿を現しました。
昆虫と同じ眼を持つ三葉虫
恐竜でない化石というと、この形を思い浮かべる方もいらっしゃるのではないでしょうか。彼らの名は三葉虫。彼らの目は、現在の昆虫と同じく複眼という小さなレンズがたくさん集まってできた構造をしていました。海底に住む彼らにとってどのように世界が見えていたのかとても気になりますね。
まるでゲームの世界!空に生息した古代生物
陸の上に、海の中。生き物たちが活動していたのはそれだけではありません。現在の鳥や虫たちに先立って、そのご先祖様に当たるかもしれない太古の生き物たちは、すでに大空へと飛び立っていました。ここからいくつかご紹介していきます。
最大の虫!メガネウラ
およそ2億9千万年前の、アースロプレウラが這っていたような森では、飛ぶ虫も今よりもずっと巨大な姿をしていました。羽を広げた長さが65㎝から75㎝ほどもあったこのトンボはメガネウラといいます。メガネウラについてもっと詳しく知りたいという方はこちらをご覧ください。
すべての足に羽を持つミクロラプトル
ミクロラプトルはヴェロキラプトルなどと同じ恐竜の仲間ですが、あまりに不思議な羽を持っていましたのでご紹介しておきます。彼らは脚にも立派な羽を持っていました。全長80㎝弱、羽を広げても1mほどの小柄な彼らは、4つの羽を使いすばやく旋回ができた狩りの名手でした。
すごく便利そうなこの4つの羽でしたが、現在の空を飛ぶ生き物たちは誰もこの羽を受け継ぐことはありませんでした。太古の地球ではこうした進化の新たな試みがたくさんなされていたのかもしれません。
空飛ぶキリン?ケツァルコアトルス
次にご紹介するのは、こちらも神の名を冠する翼竜、ケツァルコアトルス。アステカ神話に登場する、文化と農耕の翼を持つ蛇神様『ケツァルコアトル』から名付けられました。身長180cmの人とケツァルコアトルスとの比較図がこちらですが、彼らが大きいのではなく人間が逆に小さくなってしまったんではないかと錯覚してしまう巨大さですね。
巨大な翼を広げたら
ケツァルコアトルスが翼を広げると端から端まで12mほどもあったとされており、これはキリンの身長の2倍にも相当します。最初の方の比較写真のように翼をたたんで地面に降りている状態だとキリンと同じくらいの身長であったようです。この生き物が今も生きていたならば、旅客機との衝突が危ぶまれるのではないでしょうか。
日本で発見された生物たち
太古の生物たちは、私たちが住む日本の地層からもいくつか発見されています。それはいったいどのような生き物だったのでしょう。日本ができるはるか前、この地にはどのような生き物が息づいていたのでしょうか。
ニッポニテス
奇妙な貝を持つこの生き物は、日本で発見されたアンモナイトの仲間です。私たちが知るアンモナイトのイメージとはかけ離れた姿をしていますね。発見された当初は、ひとつしか化石がなかったこともあり、この異様な姿は奇形と思われていました。
ですが、後に同じ形の化石が他にも見つかったことから、実はこの形にも規則性があったのだと判明し、1926年に正式に一つの種類として認められることになります。この種類は、『日本の石』という意味のニッポニテスと呼ばれることとなりました。この種は現在ではさらに細かく、ミラビリスとバッカスの2種類が知られています。
ハボロテウティス・ポセイドン
2015年、北海道の白亜紀後期の時代の地層から巨大なイカのあごの化石が見つかりました。そのあごの大きさから、全長は10〜12mであったろうとされたこのダイオウイカの仲間は、恐竜と同じ時代を生きていたのです。彼らは発見された町の羽幌町と海の神ポセイドンから、ハボロティウス・ポセイドンと名付けられました。
軟体動物たちは化石になることがとても難しいようですので、発見されて間もないハボロティウス・ポセイドンの調査はまだ始まったばかりだと言えるでしょう。現在のダイオウイカと果たして同じ姿をしていたのか、どのような違いがあったのかなど、今後の調査の進展が気になるところですね。
古代生物の生き残り?現代でも見ることができるものも
はるか昔から、幾度の環境変化にも負けず、完成したその姿をほとんど変えることなく現在まで生き抜いている生き物たちがいます。それはどのような生き物たちなのでしょう。ここからご紹介していきます。
シーラカンス
ダイバーの隣でゆったりと泳ぐシーラカンス。デボン紀(およそ4億1600万年前から始まった年代)から生きていると言われている彼らは、生きた化石の代表選手です。白亜紀を最後に一度は消えてしまったように見えたこの種族は、1938年にアフリカで生きた姿が確認されて世界中を仰天させました。現在でも深い海の底で暮らしています。
オウムガイ
オウムガイも、シーラカンスと並んで生きた化石の代表と言えます。丸い貝殻から出ているたくさんの足はイカやタコに似ているように見えますが、彼らはスミを吐いたり速く泳いだりはできません。彼らの貝殻はとてもゆっくり成長するので、彼ら自身の一生もとてもゆっくり。その寿命は20年近くとも言われています。
オウムガイとは共通のご先祖様を持ち、先ほどご紹介したカメロケラスは直接のご先祖様は違いますが遠い親戚に当たります。速く泳いだりもできない彼らが現在まで力強く生き残っているのは自然の神秘だと言えるでしょう。