日本でも瀬戸内海や九州などで見ることができるカブトガニも、太古から長く生き続けてきた、人間よりもずっと先輩である生き物です。そんな彼らも近年は絶滅の危機にあるそうなのでしっかりと守っていきたいですね。カブトガニについてさらに気になった方はこちらをご覧ください。
ゴキブリ
『ええーー,ゴキブリー?』という声が聞こえてきそうですね。自宅に彼らが顔を出した日には反射的に退治しにかかる、または追い払うという方が圧倒的多数だと思われますが、実は彼らも立派な太古の生物の生き残り。彼らの姿に古代のロマンを感じるのは難しいかもしれませんが、あの生命力は太古から培われてきたものであるのです。
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古代生物が巨大な体を持つことができた理由
今の時代にメガネウラやティタノボアを超える大きさのトンボや蛇はいませんし、キリンと同じような大きさの鳥が飛んだりしてはいません。太古の生物たちの体は、なぜそんなにも大きく成長することができたのでしょう。
胎生を持っていないから
人間を含む哺乳類は、卵でなく子供を産みます(カモノハシという究極の例外もいますがひとまず置いておきますね)。その前には動物の体の大きさに合わせた妊娠期間があり、出産後も生まれた子をお乳で育てなくてはなりません。
妊娠〜授乳の長い間、お母さんは敵から身を守ることが難しくなります。例えば象の妊娠期間は2年にも及びますから、それ以上の巨体であると妊娠〜授乳まで果たしてどれ程の長さであるでしょう。卵で産むと妊娠期間すらないので巨大化しても大丈夫だったのではないかとする説があります。
気嚢(きのう)という器官のおかげ
現在も鳥たちが持っている気嚢は、効率よく体に酸素を巡らせるのを助けてくれ、それが骨を軽くしても大丈夫にすることにもつながっています。恐竜たちも同じ器官を持っていました。巨大な体を持っても、自らの重みに苦しむことなく生きられたのはこの気嚢のおかげではないかとも言われています。
生存競争に勝つために大きくなった
体が大きい方が一般的に力もありますし、仮に草食動物であっても体が大きければ、自分より小さな肉食の敵は反撃すれば逃げ帰ったことでしょう。現在でも巨大な体で生きている象やクジラなどはもしかするとこれに当てはまるのかもしれません。生存競争に勝つために体を大きくしたという説もあります。
赤ちゃんを産んだディノケファロサウルス
たった今お伝えした、胎生を持たないことが大きな体に繋がったとする説をもしかすると覆すことになるかもしれない生き物が、2017年に中国で発見されました。その生き物の名はディノケファロサウルス。
体長は3m程度、エラスモサウルスと似た体つきのようですが、彼らはヒレでなく、トカゲのような足と水かきの中間のような四肢を持っていました。そして何より彼らが特別なのは、彼らの化石のお腹から、大人と同じような体を持つ小さな赤ちゃんが発見されたことでした。
進化の不思議な例外?
海に住む首長竜の仲間たちはそれまで、今でも一部の魚や爬虫類などで見られる、お腹の中で「卵を孵す」卵胎生の形で子供を産んでいたと思われていました。ですがこの生き物が出てきたことで、実は彼らは皆、今のイルカなどのように胎生だったのでは?という意見も出てきました。彼らが特別であったのか、否か。真相は今後の調査が握っています。
約40億年前の生物由来化石が発見!
2017年、驚きの40億年前のものとされる生物の化石が発見されました。地球自体の歴史が46億年ほどですから、40億年というとそれに迫るほどのとてつもなく古いものになります。それほど昔に既に地球の上にミクロな命が生まれ始めていたのでしょうか。
カナダで発見!約40億年前の微生物
その生物はカナダの、かつて海底で熱水が吹き上がっていた場所から見つかりました。このような場所こそ生命の起源となり得たのではという仮定は以前から存在していたそうです。また今回発見された構造は、現在似た場所に生きている微生物が作り出すものにそっくりでした。
これらの化石の周りには、生き物を構成している重要な物質の1つであるリンも発見されており、この生き物の死後にその体が腐っていく時に発生したのではと言われています。研究チームは、この発見を生き物に由来するものだと結論づけました。
実はそんなに古いものではない可能性も…
それに対して『もしかすると地殻変動からできたものであって生命の痕跡ではないのでは』『生命の痕跡であったとして、過去のこの場所での地殻変動を考えると化石が壊れずに形を保っているとは考えにくい、27億年よりも後にできたものなのではないか』と様々な意見もあります。年代が今後特定されていくのが待ち望まれますね。
温暖化によって見つかる太古の化石
温暖化によって、氷で覆われていた地からこれまで知ることのできなかったものが姿を現すこともあります。その中には現在の生き物たちのまだ見ぬご先祖様もいるかもしれませんし、それらの発見はこれまでの通説を覆す新たな説や、これまでの説の確証など、様々なことをもたらしてくれるかもしれません。
ですがもちろん喜んでばかりは入られません。現在地球上に生きている生き物たちが過去のものになってしまわないように、私たち人間は常に、自分たち以外の生き物との共存の道を模索していく必要があると言えるでしょう。
地球最古級の動物化石発見
先ほど軟体動物たちは化石になることがとても難しいと書きました。それは化石になる前に体のやわらかい部分がバクテリアに分解され腐ってしまったり、他の生き物に食べられてしまったりすることが多いためです。地球で一番古い時代の生き物たちも、まだしっかりとした骨や殻などの硬い部分を持たず、やわらかな体をしているものが大半でした。
そうしたものの化石は体の輪郭がそこにいた形跡を示すだけのものとなっていたため、その生き物が海藻などの仲間なのか菌類なのか、それとも動物の仲間なのか、何者か判断しかねるものが多かったのです。
バイオマーカー分析
オーストラリアのイリヤ・ボブロフスキー氏と、その師であるブロック氏は、そうした正体不明の化石の調査にバイオマーカーという手法を用いるという、これまで誰もしてこなかった試みをしました。
バイオマーカーは病気の診断などに多く用いられる分析方法です。生き物の血液や体液、尿などには、ご存知の通りにたくさんの物質が含まれています。その中でも、体の状態を調べたり、病気の診断をしたりとそれぞれの調査における目印となる物質をバイオマーカーと呼びます。
最古級の化石は動物のモノであると判明!!
両氏の調査は、5億5000万〜6億年前も昔の生物たちである、エディアカラ生物群の化石において実施されました。その結果、それらの生物たちは動物であると結論づけられました。同時に、これらが現状地球で一番古い動物の仲間だということがわかりました。現在の動物たちに至るまでの道筋は、これほど太古の昔から始まっていたのです。
エディアカラ生物群とは?
オーストラリア南部のエディアカラの丘には、カンブリア期よりもさらにずっと古い時代の生物たちがたくさん眠っていました。1946年に発見されたこの地は、エディアカラ生物群と呼ばれています。
これらの生物たちが生きていたのは、地球全土が氷に閉ざされていた直後のこと。先ほどのハルキゲニアを有史以前の生物とお伝えしましたが、彼らが生まれてくるよりもずっと前に、エディアカラの生き物たちは姿を消してしまっていたのです。
コレステロールが決め手!
コレステロールと聞くとマイナスのイメージを抱く方もいらっしゃるかもしれませんが、量が問題なだけで、私たち人間を含む動物が生きるためには必要不可欠なものです。私たちの体内の細胞は全て細胞膜に覆われているのですが、まさにその膜にコレステロールは含まれており、様々な物質が細胞から出入りするのを調節する働きをしています。
ボブロフスキー氏らの調査において、バイオマーカーの役割を担ったのはコレステロールでした。化石の周囲の、当時海底であった環境の中にはコレステロールはほぼ全く見られなかったのに対し、化石の生物の内部にはとても多くのコレステロールが存在していたのです。このことが、これは動物の仲間であったと結論づける決め手となりました。
古代生物の人気が高まってきている
こちらは2018年に発売された、Nintendo Switchのゲーム『Happy Birthdays』のゲーム画面です。アノマロカリスとピカイアですね。プレイヤーが海や山などを作り環境を変えていくことによって、現在に至るまでの多種多様な生命を生み出していくことができる、創造主気分を味わえるゲームとなっています。
ゲームやテレビ番組の題材になったり、博物館で展示会が催されたり、グッズが販売されたり。これまで恐竜と比べると一般にはもう少しマニアックな存在であった古代生物たちですが、近年、次々と明らかになっていくその不思議な姿や生態に、大きな注目が集まっています。
深海生物など生きた化石と呼ばれる生物が人気
シーラカンスや、ハボロティウスの登場もありこちらももしかすると生きた化石と呼ぶ日が来るかもしれないダイオウイカなど、深海で現在も暮らしている生き物たちをもっと知りたいという人々の声は大きく、国立科学博物館や水族館などで展示会が開催されると、毎回大盛況となっています。
様々なグッズも登場
食玩やガシャポンなどで、古代生物のものが作られることも増えてきているようです。不思議かわいい彼らをいつも手元に置いておきたいと感じる人たちが増えてきているのかもしれません。ここからいくつかご紹介していきます。
ハルキゲニアをいつもお手元に!
先程ご紹介したハルキゲニアがフィギュアになって登場です。桃色の体に小さくつぶらな瞳がかわいらしいですね。デスク周りやキッチンなどにいてもらっても癒されそうです。カンブリア紀の仲間たちのグッズは特に人気があり、種類も豊富に発売されています。
シーラカンスとティータイムを
鋭い歯までしっかりと再現されているこちらの商品はシーラカンスの茶こし。自分だけのゆったりティータイムのおともにはもちろん、お友達を呼んだときなどに使っても話題のタネになりそうですね。
古代生物の事も知れる面白い図鑑を紹介
古代生物を知れる面白い図鑑①
あの生き物って、今の時代にもし身の回りにいたらどのくらいの大きさだったんだろう?そんな思いを顕在化してしまったこちらの『リアルサイズ古生物図鑑』には、今回の記事でご紹介した生き物たちもたくさん登場しています。
またこちらは古生代編ですが、中生代編もありますので気になった方はぜひどうぞ。『この生き物ってアサガオの双葉に乗っちゃうくらい小さかったんだ!』『こいつのでかさはやばいっ!』などなど、驚きを誰かとシェアしたくなる、とてもおすすめの図鑑です。
古代生物を知れる面白い図鑑②
お次にご紹介するのは『古生物の飼い方』 。彼らがもし身の回りにいたらという思いからさらに一歩進んで、現実的に一緒に暮らすならと考えた本になっています。これさえ読めばハルキゲニアやカメロケラスがもしも再発見することがあってもあなたが育ててあげられるかもしれません。
古代生物を知れる面白い図鑑③
今回ご紹介する図鑑の中では一番お手頃価格ですが、精巧で親しみやすいイラストと説明で、たくさんの生物たちへの理解を深めることができる本になっています。今まで知らなかった新たな生物に出会って、表紙の通りに『おしい!ざんねん!!会いたかった!!』と口をついて出てしまうかもしれませんね。
まだまだ謎に包まれている未知の生物!それが古代生物
人は、その実態がわからないものに興味を惹きつけられます。研究者の、そして一般の私たちの探究心は尽きることがないでしょう。まだ見ぬ自分たち自身の起源をも追い求めて、太古の生物たちを知るための過去への旅は、まだまだ終わることはないのです。