人形は棺に入れ忘れてしまったため、骨壺と一緒に仏壇に置いていました。しかし、おかっぱ頭だったはずの髪が、次第に肩まで伸びてきました。鈴木家は、樺太への転居に伴い、人形を萬念寺に預けました。戦後、再び供養のため人形のもとを訪れると、さらに長髪になっていました。
菊子の魂が宿ったと考えた家族は、その人形の永代供養を願い入れ、現在に至ります。話の内容が異なるのは、当時取材が殺到したため、個人の特定を避けるための配慮だったとも言われています。子どもの霊といえば、「座敷わらし」も有名ですね。興味のある方はご参照ください。
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髪が伸びる仕組み?お菊人形の真実
人の顔のついたお人形には、だいたい髪の毛が生えていますね。でも、その髪の毛が伸びてしまうというのは、なんとも不可解です。どういうメカニズムなのでしょうか?髪の毛の謎に迫り、解説します。
髪の毛は人毛
お菊人形の髪は、人の髪の毛であったことが、北海道大学医学部の分析により解明されています。しかし、人毛だからといって「伸びる」わけではありません。生きているのは毛根部分だけで、抜けた髪の毛が成長することは無いのです。
お菊人形の髪の毛の構造
髪の毛は、どのように埋め込んでいるのか?実は外に出てる長さの、二倍ほどの髪の毛がU字型…つまり二つ折りの状態で収まっているのです。その中の毛が、少しずつ外にひっぱられる形で出てきたため、「髪が伸びた」のではないかと言われています。
また、作製の際に手抜きをした人形の髪も、同様の原理で伸びるといいます。もう一つ当時よく言われていた説があります。「ニワカ」と称される「接着剤」の栄養分を吸収して、髪が伸びたのではないかという話に関しては、現在否定されています。
顔は木製
頭部が木製のため、湿気によって膨張し、隙間ができるために髪の毛が表へ出てくることも考えられます。口の開閉についても、湿度によって変化があるのではないかと言われています。市松人形をはじめとする日本人形は、見る角度によって表情を変えるのが特徴なので、人形が表情を変えていると断定はできません。
お菊人形以外で髪が伸びる人形は?
どんな理由で髪が伸びたにせよ、「髪が伸びる人形」というのは特殊です。ほかにも髪が伸びる人形って居るんでしょうか?たくさんの人形がいれば、そのうちの一体くらいは伸びるのでは…?多くの人形が供養されている淡嶋神社についてご紹介します。
和歌山県淡嶋神社
人形がたくさん並べられていることで有名…といえばピンとくる方もいるのではないでしょうか。和歌山県和歌山市加太にある淡嶋神社は、人形の供養で有名です。祀られている神は、「少彦名命(すくなひこなのみこと)」で、初めて裁縫の道を伝えた神であるといわれます。また、医薬の神でもあります。
供養のために持ち込まれたたくさんの人形
連日、人形を供養してもらうために並ぶ人々で、神社は賑わっています。人形の受付は持ち込みのみで、郵送はNGです。また、すべての仏滅の日も受付外です。ぬいぐるみやマネキンの供養は受け付けていないそうです。
髪が伸びる人形もいる!
怨念が強い人形は、奥の部屋で厳重に管理される、という噂も囁かれますが…そこに、お菊人形同様、髪が伸びた人形が保管されているらしいんです。その人形が淡嶋神社に辿りつくまでの経緯も気になるところです。
なぜ人形が怖いのか?
どうして人形は怖がられてしまうのでしょうか?人形によっては、少し不気味に感じてしまうお顔立ちの子も居るのはたしかですが、そういう顔の人形が好みな方も居ますよね。それとは別に、どうしても人形が「ダメ」な人は存在します。
「人形恐怖症」
ペディフォビア(pediphobia)という恐怖症をご存知でしょうか。日本語で「人形恐怖症」といいます。人形を見るなり、ひとりでに動き出し、襲ってくるのではないか…という恐怖に怯えてしまう状態を指します。ペディフォビアの人間は、たくさんの人形が居る部屋には入れないことが特徴です。
治療法はあるの?
治療法は、「人形と向き合うこと」しかありません。こちらが何かしても、目を離しても、「人形が動くことは無い」と何度も確認し、馴れるほかありません。でも虫がキライな人がいるように、人形がイヤな人だっていて当然ですから、無理して克服することもありません。もしあなたの周りに居るなら、無理をさせないで下さい
人形は「怖がるもの」ではなく「かわいがるもの」
人形は、可愛がってもらうために生まれてきたものです。幼い子の着せ替え遊びを見ても、まるで自分の子どもか妹かのように声を掛け、お世話をしてあげていますよね。命が宿っても不思議ではありません。
受ける感情が愛情か恐怖かで違う
「日本人形=ホラー」のイメージは、すっかり定着してしまいました。日本人形と対面する前から、「恐怖」だとか「呪い」のイメージが付きまとってきます。日本人形も、愛でられるために生まれてきたものです。「怖い」ではなく、「かわいい」という言葉をかけてあげれば、表情も柔らかくなるかもしれません。
逆にすごい!
人形に魂が宿るのは、むしろすごいことです。ホラーの印象が強いため、宿った魂は悪い霊だというイメージがなんとなくありませんか?でも実際に「宿る」といわれる人形は、「愛されている」もしくは「大切にされてる」人形の方だとも言われます。「お菊人形」も、菊子ちゃんに愛されていたからこそ、命が宿ったのでしょう。
形ある限り愛しませんか?
個人の人形への思い入れにもよりますが、大切に扱っていれば、自分が死ぬまで、その人形と共に過ごすことだってあるでしょう。お菊人形にかぎらず、朽ちてしまうまで、人形に愛情を注いであげましょう。
オカルト界のスーパースターに会いに行こう!
オカルトブームにより脚光を浴びた「お菊人形」、「呪いの人形」とも言われていますが、お菊人形自体が呪うだとか、お菊人形に呪われた…なんて話は存在しません。「お菊人形」は、ただ髪の毛が長くなっただけで、「呪い」だと騒がれた被害者でもあります。
もともとお菊人形に興味があったり、興味が湧いた方は、ぜひ、お菊人形を目標に北海道へ旅行してみてください。往年のスーパースター・お菊人形に会って、「会いたかったよ!」「かわいいね!」なんて、声をかけてあげてください。
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