スナネズミとは
ご覧ください。手のひらにすっぽり収まってしまうほど、あまりに小さく、そこがなんともかわいらしい生き物です。これが今回の主役であるスナネズミ、英名でジャービルとも呼ばれています。
ハムスターとはまた違う魅力に溢れた、ペットとしても近年人気の高いミニマムアニマルです。まずはこの子たちの基本的なプロフィールを学びましょう。
「動物のお医者さん」でも話題になった可愛いネズミ
体長は最小で9.5センチ、体重はたったの50グラムという極小サイズ!それまではハムスターのほうが目立った存在で、スナネズミはよほどの動物好きもなければ知られていない存在でした。
ですが大ヒット獣医漫画「動物のお医者さん」に登場したことにより、飛躍的にその知名度が向上したのです。
実験用として繁殖
もとはペットとして繁殖されてきたわけではなく、100年近く前から実験動物として利用されてきました。現在もてんかん、アルツハイマーなどの治療のために役立てられています。
また意外にも、性質に適正があるとして宇宙開発分野でも活用されているというから驚きです。いつか人類とスナネズミが一緒に宇宙で暮らす日が来るかもしれませんね。
スナネズミの生態
次に、彼らがどこからやって来て、どういう暮らしをしてきた生き物かという点に注目します。
…名前を見ればおおまかなこと、少なくとも海を泳いだり、森の木々の上で暮らしているわけでないという察しはつきますね。そう、彼らはたくさんの砂があるところから海を渡って日本にやって来たのでした。
砂地環境原産
分布地帯は中国、ロシア、そしてモンゴルなどアジア域になります。あまりイメージが湧かないかもしれませんが、これらの国は広い砂漠地帯を有していて、スナネズミはそこに生息していました。
厳密にいえば砂地と草原地帯の中間エリア、まばらに草の生えた土地です。
スナネズミは気温の変化に敏感
真夏と真冬の極端な時期を除けば、スナネズミの暮らす土地は20℃~26℃の間と温暖な気候です。
これが彼らの身体機能にとっての最適範囲であり、たった数度でも気温が高まると死んでしまうことすらある、とても敏感な体質の持ち主です。砂漠の生き物だからといって暑いのが得意というわけではありません。
スナネズミの性格
ところで気になるのはその性格です。やはり気になるのは、人間に慣れるのか?撫でたり、名前を覚えたり、コミュニケーションを取りあうことができるのだろうか?という点です。
いざペットとして飼ってみて、威嚇されてばかりだと悲しいし…。と不安に思う方もいるでしょうが、ご心配なく。次からは彼らの一般的な気質を解説していきます。
スナネズミは人間にもなついて手乗りにもできる
個体差はもちろんありますが、スナネズミは基本的に人に慣れやすい友好的な動物です。前記にあるように天敵の少ない環境で暮らしてきたためか、警戒心があまりなく、比較的簡単になついてくれます。
上手に仕込めば手乗りを覚えることもあるので、ペットとして扱いやすい気質であると言えます。
スナネズミは臆病で気絶しやすい
怖いもの知らずであるものの、臆病で驚きやすいという面も持っています。大きな音や動きで驚かせてしまうと、あまりに驚いて気絶、いわゆる仮死状態になってしまうほどです。
人間から見ればちょっと滑稽にも感じますが、スナネズミの寿命を縮める危険性があるので、おもしろがって驚かせるような真似は絶対にやめましょう。
スナネズミはストレスを感じやすい
環境の変化に敏感な体質と、衝撃に敏感な性質もあって、小動物の大半がそうであるようにスナネズミもストレスに弱い動物です。
適正でない環境に置くと異常行動や病気が頻発するため、扱う際には細心の注意を払ってあげましょう。私たち人間という大型動物より、彼らはずっとデリケートでか弱いのです。
スナネズミの飼育方法①必要な道具
ここからは、実際にスナネズミをペットにする際、どのような準備が必要なのかお教えします。
見た目も似てるし、同じネズミだし、ハムスターと同じでいいんじゃないの?とつい考えがちですが、そこは彼らがどういう生き物かを思い出して、ふさわしい環境を整えてから迎え入れてあげましょう。
ケージまたは水槽
極力底が深く、頑丈なケージが最適とされています。豪快に散らかすため巣材や砂がそこら中に飛び散って大変だからです。
中にはクリアタイプの水槽のように、側面に隙間のないケースを選択している飼い主もいます。ただ薄手のプラスチック製にしてしまうと、いずれかじり開けられてしまう危険性もあります。
藁
スナネズミは大変な巣作り名人です。藁やおがくずなど柔らかい素材を敷き詰めてあげれば、いそいそと制作に勤しみます。完成した巣穴は彼らにとって最も落ち着く場所なので、ストレスを溜めないためにも自由に作らせてあげてください。
掃除の際には壊さなくてはならないので少々罪悪感がありますが、定期的に交換して衛生状態を保ちましょう。
砂浴び用の砂
砂漠にいた頃の習性で、スナネズミにとっては砂浴びが入浴の役割を果たしています。とにかくサラサラの砂が大好き!この動画のようにとにかく大はしゃぎするので大いに散らかります。
上蓋つきの専用ケースを用意するか、底の深い瓶などを利用しないと、ケージの中は蹴りだされた砂で大変なことになってしまいます。
回し車
ハムスターが使うような滑車ですが、好む子もいれば見向きもしない子もいる…と個体差が激しいアイテムです。
必須ではありませんがやはり運動状態も心配なもの、駄目でもともとで用意してあげたほうが良いでしょう。使わなかったら撤去すればいいだけです。ちなみに回転音はなかなかの騒音なのでご注意ください。
かじる用の木
ネズミの仲間であるため歯の手入れをしてあげないと病気や怪我の原因になります。噛みごたえのよい素材を与えてください。
りんごの枝などが販売されています。わりばしやかまぼこ板など加工品は素材が向かない可能性もあるので避けてください。また硬めのペレットには歯を削る効果があるため、与えている場合齧るものは不要です。
スナネズミの飼育方法②餌
さて、暮らしのことはわかりましたので、次は何を食べるかという話です。ペットの食事内容はとても重要で、私たち人間よりずっと健康と寿命に直結しています。
最後まで快適に過ごしてもらうためには、飼い主である我々が十分に考慮してあげなくてはなりません。いくらかわいくても、自分が食べてるおやつなんかあげてはいけませんよ。
ペレット
専用フードが見つからなくても、ウサギやハムスターなどの餌で代用することができます。乾麺など人間の食べ物も好みますが、ジャンクフード的な扱いになります。
ハムスターより太りやすいのでヒマワリの種なども要注意です。健康面を考えるならペット専用フードと、水分を含んだ葉物野菜にするのが一番です。
水
砂漠の生き物であるという性質上、スナネズミはほとんど水分を必要としません。生野菜など水分の多い餌を食べていればまったく飲まない個体もいるほどです。
ですが念のため少量でかまわないので新鮮なお水を用意しておいてください。飲みたくないのと、飲めないのでは、似ているようでもまるで違う環境なのです。
スナネズミの飼育方法③注意点
また、飼育の上で絶対にやるべきでないことも明記しておきましょう。飼い主に悪気がなかったとしても、ちょっとした不注意が彼らの暮らしを脅かすのです。
どんなに小さくても大切な命であり、壊れて平気なおもちゃではないのですから、いたわりを忘れずに接してあげるべきです。
大きな物音を出さない
先ほども記したように、スナネズミは大きな音などで驚かされると気絶し、仮死状態に陥ってしまいます。
これはかなり身体に負荷のかかる状態です。ケージを置く場合はドアのそばや人のよく通る場所は避け、静かで落ち着いた、刺激の少ない空間を選んであげてください。
犬や猫と一緒に飼育しない
なつきやすいといっても、スナネズミは自分たち以外の種族、特に大きな動物がそばにいることに慣れていません。
犬や猫などが近くにいるとストレスを感じてしまうため、すでに先住のペットがいる場合、スナネズミのいる部屋には立ち入らせないよう注意を払ってください。
雄と雌で飼育するとすぐに繁殖する
ネズミ算とはよく言ったように、スナネズミも例外ではありません。オスとメスを一緒のケージで飼育しているとあっというまに大繁殖してしまうので、性別で分類するか、個別に飼育する以外手段はありません。
「動物のお医者さん」作中でも、主人公がうっかりスナネズミを繁殖させてしまい貰い先に苦労する話があります。
ケージや水槽を開ける際に飛び出して脱走することも
臆病でか弱い反面、好奇心旺盛で活動的でもあるスナネズミは、ケージからの脱走名人でもあります。
掃除や給餌などちょっとした隙を狙ってするすると出て行ってしまい、あっというまに狭い家具の裏などに入り込んでしまうので、捕まえるのは一苦労です。逃げ出してしまった際はまずは窓や扉を閉めて事態の悪化を防ぎましょう。
温度管理も重要
スナネズミは温度変化が極端に苦手であることはもう学びましたね。日本で飼育していく以上、空調設備は必須環境といえます。
今はスマートフォンアプリと連動して24時間管理することも可能なので、積極的に活用していきましょう。