蛇ってどんな生き物?
蛇とはどういう生き物か、改めて見てみると、不思議な特徴をいろいろと持っている動物です。見た目はもちろんのこと、その体には独特の機能が備わっています。蛇の体の驚くべき構造を解説します。
長細い体が特徴的
蛇とは、生物学的に言うと爬虫類の綱有鱗(ゆうりん)目ヘビ亜目に属する動物のことを言います。手足が退化して無くなっており、長細い体をしているのが大きな特徴です。その長さは、10mに至るものから、10cm程のものもいます。骨格は、首から尻尾の先まで、たくさんの関節で分かれており、全身を柔軟に動かすことができます。
体表は鱗で覆われており、剥がれることのない油脂が潤滑油として分泌されているため、テカテカとして見えます。細長く、柔軟で、滑らかな体を駆使して、地上、木の上、地中、水中とあらゆる場所での生活に適用した生物です。
大きな獲物も飲み込む
蛇はその種類の全てが肉食性ですが、捕らえた獲物を丸呑みするという、その食べ方も特徴的です。自分の頭の何倍もある餌を呑み込むことができますが、それを可能とする秘密は骨の構造にあります。
一つは、あごの骨です。あごを外して呑み込むとも言われることが多いですが、実際には関節が外れているわけではありません。蛇のあごは関節が2つあるため、より広い角度で口を開くことができます。さらに、下あごの骨は左右に分かれているため、上下のみのらず、左右にも大きく口が広がるのです。
口に入ってもノドを通らないのでは?と思われるかもしれませんが、蛇には胸骨がなく、肋骨が広がる構造をしているため、問題ありません。これが二つ目の秘密です。
様々な感覚器官がある
蛇の持つ感覚器官にも注目してみましょう。まず目ですが、蛇の目には瞼がありません。コンタクトレンズのような一枚の透明な鱗が目を覆っており、常に開きっぱなしです。視力はあまりよくありませんが、至近距離で動くものはよく見えると言われています。聴覚に関しては、耳の穴と鼓膜を持たないため鈍いです。ただし、地面の振動には敏感です。
より鋭敏なのは、嗅覚です。ちょろちょろと出す舌で空気中の微粒子をとらえ、ヤコブソン器官と呼ばれる感覚器で匂いとして感知し、獲物や天敵を察知します。さらに一部の種類の蛇は顔にピット管という器官を持っています。この器官は赤外線を感知するもので、動物の体温を感じ取ることができるのです。
毒をもっている個体も多い
蛇と言えば、毒蛇を連想する人も多いのではないでしょうか。実際、毒を持つ爬虫類の99%は蛇です。蛇の種類は3000種に及びますが、そのうち25%が毒蛇で、人を殺すほどのものは約300種います。
毒蛇は上あごに2本の鋭い毒牙を持ち、相手に噛みついた際、そこから毒を注入するのです。中には、毒牙から毒液を噴出し、相手に浴びせかけるという攻撃をする種類もいます。毒蛇に興味のある方は、以下の記事も是非ご覧ください。
日本に生息する蛇『本土に生息する蛇』その①
3000種類に分かれる多種多様な蛇ですが、日本においても数多くの種類が生息しています。農作業やアウトドアレジャーなどの際に、よく見かける身近なものから、めったに見られない珍しいもの、また、比較的安全な種類のものもいれば、命にかかわる危険な種類もいます。
ここでは、それら日本の蛇の全種類について、特徴や生息域、毒の有無など含めて紹介していきます。まずは、日本本土に生息する種類のうち、比較的名前の知られた4種、アオダイショウ、シマヘビ、マムシ、ヤマカガシです。
アオダイショウ
沖縄を除くほぼ日本全土に生息しています。全長は100~200cm。胴の直径は5cmほどになる日本最大の蛇です。体色は主に、黄色に近い褐色からくすんだ緑色をしています。4本の縦じまがうっすらと見えるものが多いです。餌は主に小鳥やネズミ。樹上や地上で生活し、昼行性で、夜間は岩の隙間や穴の中で休んでいます。
毒はありません。性格も比較的おとなしい種類です。人の生活域に近い野山に生息しています。時として家屋に浸入することもあり、比較的人の目に留まりやすい、身近な蛇と言えます。