なんとこの奇妙な生物にもきちんと性別が存在して雄と雌のそれぞれの個体が存在しているのです。正確や意思はないため、雄と雌の違いは生殖器の違いということになります。そのため雄と雌での個体差はほとんどありません。
産卵により繁殖する
きちんとその数少ない器官の中に、それぞれの生殖器である卵巣や精子が存在していて、それが深海の水中に放り出され授精するのです。そして卵を産み付ける産卵により繁殖して、その種を残しています。産卵により繁殖する生態は動物的であると考えられます。
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チューブワームが生命の起源に関係?
生息地である海底火山の熱水噴出孔は、この地球上に生息している生命の起源とされています。つまりはこの生物は、今地球上に生息しているあらゆる生命の最初、すなわち起源に関係しているのではないかと言われています。分かりやすくお伝えするためにも、もう少し掘り下げて解説していきます。
生命の起源「原始のスープ」
生命の起源については様々な科学者がいろいろな研究により、複数の説があります。そのひとつに、遥か昔の地球の熱水噴出孔近くに存在する、生物でない液体に有機物が集まって、液体の中で細胞ができ始めてから生命が誕生したのではないかという説があり、その熱水噴出孔近くの液体が生物のはじまりであり「原始のスープ」と言われているのです。
海底火山の熱水循環が生命の起源
海底火山の近くでは、水温の冷たい海水が地底にある火山の噴出口近くに流れ込み、そして流れ込んだ海水が火山により熱せられ、また海水に流れ出すという一連のサイクルを熱水循環と呼びます。それが生物の命の始まりと言われているのです。
チューブワームは日本でも発見された!
その存在はあまり知られていませんが、実は日本でも過去に発見されたことがあるのです。どこで発見されたか、またどういった生態でどのような特徴があるかをこちらの見出しでご紹介します。また実際にその姿を観察することができる施設も取り上げて記述します。
ガラパゴス諸島沖で発見
1977年に東の太平洋にあるエクアドルのガラパコス諸島沖で、アルビン号が初めてその生物を発見したのです。当時なんと水深2.5キロメートルまで降下して、生物が生命を維持するのに過酷な環境ななか、この生物を発見したのです。
九州鹿児島湾にも
同じく1977年に日本でも、鹿児島湾にてはくよう号が偶然にもその一種を採取しました。この時はまだハオリムシとして認められなかったのですが、後の1993年にもう一度採集され、1997年に新種としてサツマハオリムシが正式にその存在が認められたのです。
サツマハオリムシの特徴
現地では別名「たぎり」と呼ばれています。1993年に採集された個体から実験や飼育に成功して生態について観察しました。その生態そのものはハオリムシそのものなのですが、頭から出ている触手がほかの生物に比べて短いところが特徴的です。また数ある種の中でも一番水深の浅い場所に生息しています。
サツマハオリムシに会える水族館はここ!
硫化水素を生きるための細菌である硫化水素を作り出す技術を用いて、サツマハオリムシを飼育することに成功し、展示している水族館が日本にあるのです。そこは鹿児島県にある「いおワールドかごしま水族館」というところです。もし興味のある方ぜひ足を運んでみてください。
宇宙人はチューブワーム?木星にもいる?
宇宙人はハオリムシのような形、生態に似ているのではないかという説があります。これにはれっきとした根拠があるのです。それは木星にも同じ生物が生息している可能性が高いといわれているからなのです。どういうことなのかもう少し掘り下げてお話ししていきます。
木星の衛星「エウロパ」
木星の衛星の一つに「エウロパ」があります。その衛星には氷が存在していることが確認されたのです。さらには氷の下には太陽の光が届かない深海同様の海が存在している可能性があり、その環境には地球の深海に潜む生物と同類の生物が潜んでいるのでないかと言われているのです。
すなわちエウロパには深海のように未知の生物が生きていて、もしかしたらハオリムシのような生物に知能や眼が備わっていたり、意思を持った生物に進化している可能性も考えられるということなのです。未知ということは同時に無数の可能性を考えることができ、宇宙は本当にロマンが溢れているということが分かります。
チューブワームは飼育できる?
もしかしたら中には奇妙で謎めいた深海生物に興味があり、ご自宅で飼育したいと考える方もいるのではないでしょうか?果たして私たち一般の人たちでも飼育することができるのでしょうか?その疑問についてお答えします。
一般人では飼育することができない
まず一般人が購入できるようなものではなく、流通もされていません。そしてもし手に入ったとしてもその生物の生命を維持するためには、養分となる硫化水素を与え続けなくてはならないのです。この硫化水素は硫酸とも呼ばれていて、大変猛毒であり危険なのです。このような物質を一般家庭で扱うことは非現実的であり、また犯罪なのです。
どうしてもその姿を観察したい。そういう方は是非先ほどご紹介した、九州地方鹿児島県にある、「いおワールドかごしま水族館」に足を運んでみてください。こちらの施設では、より近くでその姿や生態を観察できるような、展示法を採用しています。
チューブワームだけじゃない!まだまだ深海には不思議が!
今回は人間のように陸で生きる生物たちとは程遠い、ミステリアスなチューブワームをテーマにして記事を書いていきました。その生態や姿が異質なものであることは十分に分かっていただけたはずです。また不死身に近く寿命も人間のはるかに長いことにも驚かれたのではないでしょうか?
地球上に確かに存在する深海は、まさしく未知の領域であり、命の成り立ちやこの宇宙の謎を解明するためにも欠かせない情報源となっています。そんな深海には私たちの想像をはるかに超えた、奇妙な生物たちが数多く存在して、その大半がいまだに解明されていません。是非人間である皆さんもその謎について研究してみませんか?