桃娘になってしばらく過ぎた頃に、やがて性行為を求められるようになります。彼女たちと肉体で交わることも滋養の秘訣とされていたからです。
ですが病弱である娘たちは性交渉の激しさに耐えきれず、死んでしまうこともあったといいます。病死するか、性交渉で事故死するか、いずれにせよ桃娘たちの扱いは「使い捨て」に等しいものでした。
一定の年齢になると食べられてしまう
運よく生き残った少女がいたとしても、いずれは必ず殺されることが決まっていました。なぜなら肉体そのものも重要な秘薬であり、不老長寿には欠かせない素材だったからです。
その生涯から血肉まで完全に搾取される少女たちは、対等の人間などではなく家畜と同じ扱いでした。
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中国では桃は特別なものだった
古くは孔子の書物にも登場する桃の実は、古来から中国では特別な価値を持っていました。
そのかぐわしさから、「西遊記」作中にも登場する仙人になれる木の実、仙女・西王母伝説にある、桃源郷に生えている不老不死の果実とされ、生命や子孫繁栄の象徴とされてきたのです。
昔から邪気を祓い不老長寿の植物とされた
この画像は中国の蟠桃(ばんとう)という品種です。ドーナツピーチという英名の通り独特の形をしています。桃は邪気は病魔を払う力があり、鬼の嫌う香気を放つので、縁起の良いものとして中国で重宝されつづけてきたのです。
下記の記事にもあるように、古代中国には不老不死にまつわる伝説が多く、彼らの現世に対する強い執着がうかがえます。
祝い事では桃の形の饅頭を食べることもある
現代中国でもめでたい行事において桃はとても重宝されています。桃寿(ショウタオ)という、桃の形に形成したおまんじゅうを用意するのが伝統であり、桃の水煮、オイル、時には桃そのものを持ち寄ることもあります。
また偶数の方が縁起が良いとされているので数多く持ち寄るのが一般的です。
桃娘は実在した?本当の話?
中国における桃の価値を考えると、桃娘の存在も真実味を帯びてきますが、ここでいったん考えてみましょう。このような非道が行われていたという、確かな証拠はあるのでしょうか?
次からは史実と照らし合わせて、伝承の実態を順に検証していきましょう。
桃娘が記された文献が確認できない
先にも記しましたが、桃娘にまつわるお話はすべてが口伝であり、いわゆるフォークロア、都市伝説の域を出ていないのが実情です。
その人道を外れた性質上、あえて秘匿されてきたという考えもできますが、現代にしっかり言い伝えられながら、ひとつも記録が見つからないのはやはり不自然といえます。
桃が年中取れるものではなかった
そもそも栽培や冷凍技術が発達した現代と違い、舞台は数千年前の中国です。子供とはいえ人間一人分、一年間の食事をまかなえるほどの桃を、夏のほんの一時期で収穫・確保することはできません。
桃だけを食べさせて育て上げるなどということは、実質的に不可能でした。