桃娘って実在したの?中国都市伝説で語られる彼女達の生涯とその歴史とは?

中国秦の時代から伝わる都市伝説には、桃と水だけを与えられて育てられる少女の「桃娘」というものがあります。この記事では、どんな都市伝説なのか詳しく解説しています。桃娘の扱われ方や寿命、そして実在したのかについても解説しています。

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桃娘とは?

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桃娘、中国語でタオニャン(トウニャン)と呼ばれるその少女は、古くは紀元前700年前以上前から中国に伝わる、伝説上の存在ですです。

甘い香しさが立ち上るような素敵な名前ですが、その実態は「桃」のイメージからは程遠い、おそろしい言い伝えが元になっていました。

桃娘は中国の都市伝説

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正確な文献は残されていませんが、その存在は数千年後までまことしやかに伝えられています。

あくまで都市伝説の範疇を出ないとされているものの、一説には、現在の中国でも密かに存在し続けているという噂もあります。人々がそうささやくのは納得できるだけの理由があるからなのです。

桃と水だけを与えられて育てられる

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そもそもなぜ桃の娘と呼ばれているかというと、その少女たちが食べることを許されているのは、桃と水だけなのです。他の物を口にすることは一切ないまま育てられます。

一体どうして、何が目的でそのような特殊な扱いを受けなければならなかったのでしょうか?次から順を追って説明していきましょう。

桃娘はどんな扱いを受けたのか?

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少女たちは食事内容以外にも様々な制限と、現代の感覚からすると信じがたい扱いを受けていました。

まだ人道や人権という概念が確立していなかった時代において、彼女たちは権力者のあらゆる欲望を満たすため、材料としての一生を送らなければなりませんでした。

性の対象として扱われた

桃娘を求めたのは主に富裕層でした。まだ乳離もれしていない幼い乳児を買い取って、離乳後は桃と水しか与えないように育てるのです。

いずれ育った頃には性交渉が求められますが、それは本筋の目的ではありません。むしろぎりぎりまで手を付けず、純潔を保つこと、神聖に近いことに意味がありました。

汗や尿を飲み、肉は食べられたと言われる

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少女らを買い取った者らの目的は、汗や尿などの体液です。桃しか食べずに育った子供は、分泌するものも果実のように甘やかな香りを放つと言われていました。

その体液と、そして身体そのものこそが、不老長寿の妙薬として大変に重宝されたのです。

桃娘は短命だった?その最期とは?

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桃娘の名前には二つの意味があります。ひとつは先に説明したように「桃」だけを食べて育つ娘であることから。

そしてもうひとつは…彼女たちは常に「娘」と呼ばれる年頃の少女しか存在しないからです。その理由は無残でおぞましい末路が由来になっていました。

桃と水のみで栄養不足で虚弱体質だった

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簡単に想像できることですが、人間が果物と水しか摂取しなかったらどうなるでしょうか?答えは簡単、偏食による栄養不足と、糖分過多からくる発病です。

そのため少女たちは常に虚弱状態であり、みな10代の若さで糖尿病を発症していました。この不健康さで長生きなどできるはずがありません。

激しい性行為で死亡することも

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桃娘になってしばらく過ぎた頃に、やがて性行為を求められるようになります。彼女たちと肉体で交わることも滋養の秘訣とされていたからです。

ですが病弱である娘たちは性交渉の激しさに耐えきれず、死んでしまうこともあったといいます。病死するか、性交渉で事故死するか、いずれにせよ桃娘たちの扱いは「使い捨て」に等しいものでした。

一定の年齢になると食べられてしまう

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運よく生き残った少女がいたとしても、いずれは必ず殺されることが決まっていました。なぜなら肉体そのものも重要な秘薬であり、不老長寿には欠かせない素材だったからです。

その生涯から血肉まで完全に搾取される少女たちは、対等の人間などではなく家畜と同じ扱いでした。

中国では桃は特別なものだった

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古くは孔子の書物にも登場する桃の実は、古来から中国では特別な価値を持っていました。

そのかぐわしさから、「西遊記」作中にも登場する仙人になれる木の実、仙女・西王母伝説にある、桃源郷に生えている不老不死の果実とされ、生命や子孫繁栄の象徴とされてきたのです。

昔から邪気を祓い不老長寿の植物とされた

この画像は中国の蟠桃(ばんとう)という品種です。ドーナツピーチという英名の通り独特の形をしています。桃は邪気は病魔を払う力があり、鬼の嫌う香気を放つので、縁起の良いものとして中国で重宝されつづけてきたのです。

下記の記事にもあるように、古代中国には不老不死にまつわる伝説が多く、彼らの現世に対する強い執着がうかがえます。

祝い事では桃の形の饅頭を食べることもある

現代中国でもめでたい行事において桃はとても重宝されています。桃寿(ショウタオ)という、桃の形に形成したおまんじゅうを用意するのが伝統であり、桃の水煮、オイル、時には桃そのものを持ち寄ることもあります。

また偶数の方が縁起が良いとされているので数多く持ち寄るのが一般的です。

桃娘は実在した?本当の話?

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中国における桃の価値を考えると、桃娘の存在も真実味を帯びてきますが、ここでいったん考えてみましょう。このような非道が行われていたという、確かな証拠はあるのでしょうか?

次からは史実と照らし合わせて、伝承の実態を順に検証していきましょう。

桃娘が記された文献が確認できない

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先にも記しましたが、桃娘にまつわるお話はすべてが口伝であり、いわゆるフォークロア、都市伝説の域を出ていないのが実情です。

その人道を外れた性質上、あえて秘匿されてきたという考えもできますが、現代にしっかり言い伝えられながら、ひとつも記録が見つからないのはやはり不自然といえます。

桃が年中取れるものではなかった

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そもそも栽培や冷凍技術が発達した現代と違い、舞台は数千年前の中国です。子供とはいえ人間一人分、一年間の食事をまかなえるほどの桃を、夏のほんの一時期で収穫・確保することはできません。

桃だけを食べさせて育て上げるなどということは、実質的に不可能でした。

創作の可能性が高いと言われている

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実は桃娘のまつわるお話は、ごく近代に発案された創作の説が濃厚です。

ある小説の中の逸話として登場し、中国人にとってよほど現実味があったのか、徐々に現実に浸食し、ついには事実として広まり始めたのでしょう。都市伝説として実に正当な生い立ちといえます。

桃と水だけ!桃娘の食事で生きていける?

人間は雑食であり、基本様々な食品の栄養素を必要とする生き物です。「桃しか食べることが許されないなんて、栄養不足以前にそもそも生きていけないのでは?」と思いますよね。

では現実的に、そのようなことが可能なのか確認していきましょう。

桃と水だけでは栄養が不足してしまう

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人間に必要な栄養素は大きく分けて、糖質・脂質・タンパク質の3種類に分類されます。

桃には果糖が多く含まれ、またビタミンやカリウム・食物繊維など健康によい成分が豊富ですが、これだけで生きていくには不足も多いのが実態です。栄養補助的な立ち位置であれば優秀な食品でしょう。

フルーツだけを食べている人は存在する

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バラエティ番組「マツコの知らない世界」に、フルーツだけを食べて生きているという中野瑞樹さんという方が登場しました。

もう6年以上もこの食生活を続けているそうですが、数値的には医師も驚愕するほどの超健康体とのこと。食べるタイミングなどいくつかコツはあるようです。

桃娘はなぜここまで広がったのか

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このお話が都市伝説と化した理由はいくつか存在します。まず、桃娘自体が創作であれ、彼女を作り上げた各々のエピソードは実在する場合もあるからです。

また創作作品の影響や、近年はネット掲示板にSNSというツールもあって、過激な内容ほど猛烈な速度で拡散されるようになったからです。

人身売買や人を食べた文献は残っている

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