「蛾」の生態や「蝶」との違いについて
「白い蛾」の夢について言及するまえに、「蛾」とはどんな昆虫なのかを少しだけお話させてください。幼虫の写真は使いませんが、蛾の成虫の写真は少し使用していますので、苦手な方は読み飛ばして頂けたら幸いです。
「蛾」ってどんな虫?
一般的にいわれる「蛾」とは、学術的な分類でいうと「節足動物門・昆虫網・チョウ目」に属します。日本に3500種もいるチョウ目うち、「アゲハチョウ上科・セセリチョウ上科・シャクガモドキ上科」を除いたものを、「蛾」と称します。チョウ目のうち、「蝶」は250種類程度で、そのほかは全て「蛾」です。
「蛾」と「蝶」の違い
「蛾」と「蝶」の違いは、実はよく判っていません。英語圏では「蝶(Buterfly)」、「蛾(Moth)」と名称が異なりますが、仏語では「蝶」と一括りにされています。蛾のような姿をした蝶も居れば、逆も存在します。一般的にはどのように区別するかと言うと、「見た目」です。地味なものは「蛾」だと認識する傾向はありますよね。
また、触覚の形も判断するポイントになります。「蛾」の触覚は、クシ状になっているか、直線的になっている個体が多い一方、「蝶」の触覚は、すこし曲線を描き、先っぽが少し膨らんでいるかカギ状になっています。止まった時の羽の動きもポイントですね。「蝶」は羽を立てて止まりますが、「蛾」は羽を平たく広げます。
「白い蛾」の種類とその生態について
ここまで、蛾の生態を見てきましたが、お次は「白の蛾」について少しだけお話していきます。「白」という色をしているだけで、モンシロチョウと間違えて近づいて以来トラウマだし知りたくない…なんて方も居るかもしれませんが、白い蛾にも少しだけ興味をもってみてください。
白い蛾①害虫とされる「アメリカシロヒトリ」
「アメリカ白火取」とも書きます。学名は「Hyphantria cunea」です、分類は「チョウ目・ヤガ上科・トモエガ科」に属しています。北米が原産で、第二次世界大戦後の軍需物資に引っ付いて日本へやってきた外来種です。
幼虫はいろいろな木を喰い尽くす害虫です。サクラやヤナギ、リンゴなど、100種類以上の木を食すといいます。1970年から80年にかけて大量発生しましたが、それ以降めだった大量発生はありません。
白い蛾②毛に毒がある「モンシロドクガ」も
「紋白毒蛾」とも記します。学名は「Sphrage similis」です。「チョウ目・ドクガ科」に属します。成虫の両翅は真っ白で、前翅の縁の部分が黒褐色になっているのが特徴です。幼虫の毛には毒があり、毛が皮膚に付着すると痒みを伴う蕁麻疹が発生してしまいます。
寒地にいる幼虫はバラ科の植物を好み、黒っぽい色をしています。反対に、暖地の幼虫はクワ類を好み、黄色っぽい姿をしています。見た目はキドクガにも似ていますが、どちらも毒をもっているので、注意しましょう。
白い蛾③キアシドクガ・メスのマイマイガ
「黄脚毒蛾」と書きます。学名は「Ivela auripes」です。例によって「チョウ目・ドクガ科」です。成虫は白く半透明で、模様のない翅を持ちます。昼行性で、群れを成して飛びます。成虫には口吻がないため、数日で死んでしまいます。木や板の上を動き回る際、翅を立てて歩くため、蝶に間違えられやすいです。
幼虫は毛虫です。時折大量発生しては、公園によく植えられている「ミズキ」の木を枯れさせます。一度食い尽くされただけで木が枯れることはありませんが、何年も続くと木は枯れていくため、駆除に追われます。
メスのマイマイガ
「舞舞蛾」と書き、英語では「ジプシー・モス」とも呼ばれます。学名は「Lymantria dispar」です。こちらも「チョウ目・ドクガ科」です。オスは茶褐色の翅ですが、メスは白の翅を持ちます。成虫は産卵が終わるとすぐに死んでしまいます。オスが日中飛び回っているのに対し、メスは木の幹や葉の裏に隠れてじっとします。
幼虫は、糸をはいて宙にぶら下がっていることが多く、「ブランコ毛虫」とも呼ばれます。幼虫が食べる植物はとても広範囲で、100種類から300種類はあるようです。「森林害虫」の一種として有名になっています。