康晴氏が追い詰められた状況には様々な背景があり、見直されるべき多く、数々の問題が浮き彫りにされた事件です。裁判官の温情溢れた判決、静まり返る法廷に限らず涙する人が後を絶ちません。
賛否両論ある中、賛同する人の数は圧倒的に多かったことが言えます。自分が加害者の立場になったら、孤独に耐え忍んだ加害者に同情する人は多くいたのです。
行政の対応を見直すべきとの声が多く上がった
一番問題視されたのは行政のあり方かもしれません。親身になって他の打開策を見出せなかったのか、母親の食事のため康晴氏が食事の回数を極端減らしていた現実、行政はなぜ適切なアドバイスをしなかったか問われた事件です。
裁判官の言う通り、行政の取るべき姿が問われた事例と言えます。行政さえしっかりしていれば、との意見が多く、生活保護を見直すべきとの声が多く上がりました。
介護問題が大きく取り上げられるきっかけになった
この事件から多くに問題が取り糺されます。介護される側だけでなく、する側の状況も考慮しなければならないこと、その実態を行政や周りが把握する大切さを浮き彫りにしたとされます。この事件は介護問題が抱える様々な問題を、もう一度考え直さなければいけないきっかけになったのです。
加害者の社会復帰についての問題提起にもなった
認知症の母親1人では生きていけないことも明らかな事件。社会復帰を試みるも、待ち受けていたのは死と言う悲しい現実だったのです。職に就く康晴氏を待ち受けていた後の姿に、社会提起されたのでした。
京都認知症母殺害心中未遂事件の悲しきその後
法廷での言葉の通り、すぐに長男は仕事を探します。親族によると家賃2万2千円のアパートに暮らしていたのです。
康晴氏は木工会社で働いていた
他人に迷惑もかけず8年の間、康晴氏は滋賀県に引っ越し黙々と木工会社で働いていました。父親と母親の位牌を安置していたのです。
真面目に黙々と仕事をこなしていた
見ていた同僚のよると、訪ねてくる人もないまま、真面目に働いていたという話もあるほどの生活です。周囲には元気だと伝えていたとされています。
康晴氏は会社をクビになり琵琶湖で自殺
2013年2月、親族に康晴氏より、クビになった趣旨の連絡があったのです。ただその後、消息は不明になり捜索願が出されました。翌年の8月のこと、滋賀県琵琶湖で投身自殺があったのです。
康晴氏は僅かな所持金と自身と母親のへその緒、メモが残されていました。「一緒に焼いてほしい」と書いてあったのです。裁判官の「…今後あなた自身は生き抜いて、絶対に自分を殺めることのないよう母のことを祈り、母のためにも幸せに生きてください」は遠かったのです。
『そうか、あかんか。一緒やで』はネット上でも話題になった
切ない事件の背景にあるのは、近年話題にされるネットでの話題です。数少ない親子の会話の『そうか、あかんか。一緒やで』は、どのように使われたのでしょうか。やっとの思いで繰り広げられた、その会話の一部に広がること、伝えたいことを探ります。
泣けるコピペとして話題に
冒頭陳述で語られた、まさにその言葉の通りの内容の一部が取り上げられます。SNS、掲示板やまとめサイトに「泣けるコピペ」として使われるようになったのです。
アニメのファンなどが、慰めの言葉として使われましたが、目的が正しいかどうかは判断が分かれるところでしょう。悲しい事件から生まれた言葉によって、再び事件がクローズアップされたのです。
一方で煽り目的のネタとして使われる
必ずと言っていいのが使い方の注意と言えます。「東日本大震災」や「福島第一原子力発電所」など、とても大きな事故ですら使われたのです。
煽るような目的のため使用された言葉は、時と場所を選ばれません。冗談では済まされない目的のために、使われた言葉はどのような内容だったのでしょうか。
使用例
中でも使用例の一部を紹介いたします。ファンの一言では「そうか、あかんか、○○一緒やで」と言う言葉が、主に利用されるのです。最後の煽るような言葉は、その自然災害の元に合ったにすら使われます。
「そうか、あかんか、福島一緒やで」その言葉はたして切ない時に使われるセリフと言えるでしょうか。
ネタとして使うのに不快感を持つ人もいる
時と場所を選ばないそのセリフに「ネタ」として使われることは、不適切と言う意見ももちろんあります。事件で使われた言葉はねじ曲がったようになり、不快感を得る十分な要素になったのです。
忘れてはならない事件ではありますが、言葉を変えて伝えると、当事者には悲しくなることは明らかと言えます。方法によっては伝わり方が異なって、事件を振り返ることもあるのです。
介護殺人は後を絶たない
2006年の事件をきっかけに、厚生労働省による調査が本格的になったのです。「介護にまつわる親族間の事件、特に65歳以上が対象の虐待」を含めた事例があります。介護の抱える問題に、厚生労働省が動いたと言っても言い過ぎではありません。
調査開始から9年で約250件
調査の開始2006年からの例と、介護に関連する2007年からの事件を紹介します。2006年〜2015年までの9年間に、247件の事件があったことが明らかにされたのです。被害者の数は250人と数多く、2019年までには増加の一方を辿っています。
2007年〜2014年までの「介護・介護疲れ」による殺人事件や、自殺に関与した人数も増加しているのです。今尚介護にまつわる事件、特に60歳以上の割合は5割を超えているとされています。
高齢者の増加が大きな要因
現在に至って問題とされている介護の問題ですが、高齢化社会が一番の要因とされています。介護される側の人数は圧倒的に多い中、75歳以上で要介護状態になっている人数は4人に1人ともされているのです。中でも夫が妻を殺めるケースが34%弱、息子が親を手にかける事件も33%ほどと家族内の事件は後を絶ちません。
背景に厳しい介護問題がある
介護をする側の人数が、断然減少していることが問題とされているのです。周りに頼らないのではなく、頼っても断られることも多いので介護される側もする側も金銭苦になることは多いと言えるでしょう。
増え続ける要介護状態の抱える問題の問題は、老々介護が問題とされています。伴侶に認知症などの症状が現れた時、介護する側もまた高齢化しているケースが多くなっているのが現状です。
介護する側にも負担が大きい
2007年〜2012年までの、介護によって転職が難しいとされる人数も、45万人弱と介護と仕事の両立が難しいのも事実です。そこには認認介護という問題も浮き彫りにされいます。
家族内で介護をする認認介護は、金銭的だけでなく精神的にも追い詰められていくのです。介護の問題は負担も大きく社会的問題と言えるでしょう。
その他の介護殺人
2京都認知症母殺害心中未遂事件の他にも介護殺人はあります。介護問題が社会的に問題される中、改善されていないことが多いことが浮き彫りにされているのです。高齢化になるにつれ、難しい問題にどう向き合っていくべきか問われる事件を紹介します。
兵庫県加東市の事件
2016年5月、夫によって認知症の妻が、電気コードにより殺害されたのです。82歳の夫に79歳の妻が殺されたのですが、長男と3人暮らしに起こった事件はこちらになります。長男は病気を患い当日は留守にしていた中で、早朝110番通報が夫からあったのです。
ヘルパーも頼んでいたのですが、大半は夫が1人で妻の介護をする日々。逮捕された夫は「介護が大変で、精も根も尽きた」経緯と同じくメモが見つかっています。この事件の背景にも介護の問題が大きく関わってきているのです。