このように、時代が移り変わってもなお、根強い人気を誇る「七生報国」という言葉。帝国七生会のように、右翼団体が「七生報国」を大々的に掲げていたため、右翼の言葉のような印象がありますが、実際はどうなのでしょうか?
右翼団体がよく使う「七生報国」

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右翼団体が「七生報国」を頻繁に使用している印象は、歴史を鑑みても明らかです。根強い人気があったことはたしかですが、右翼だけが使用したわけでは、決してありません。国を愛し、国に報いようとする志のある人が、好んで使うべき言葉です。
「七生報国グッズ」がある

今では「七生報国」と書かれたTシャツや、ステッカーも売られています。かっこいい「漢字」であることから、外国人にも人気のようです。興味のある方はひとつ、購入してみてはいかがでしょうか。
ここまで「七生報国」の使われた歴史をたどっていますが、実際に過去に戻ってその瞬間を見てみたい!と思うことってありますよね。過去に戻る方法があるって知ったら、どうしますか…?次の記事もご覧になってみてください。
「七生報国」に似た意味の言葉

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「七生報国」と似たような言葉は存在するのでしょうか?ここでは一度、「七生報国」に関する歴史から離れて、国語のお時間です。「七生報国」と似た意味を持つ四字熟語を紹介し、解説していきます。
「七生報国」の類語①「一死報国」

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まずは「一死報国(いっしほうこく)」です。「一死」とは「命を棄てる」こと、ひいては「自分の命を顧みない」行動を起こすことを指します。「報国」とは国に尽くすことでしたね。つまり、「命をかける覚悟をして、国家に尽くすこと」という意味を持っています。
英語では「Dying for one’s country」と表されます。ただしこの四字熟語は、旧日本軍が、戦争意欲を高めるために使った標語であったため、今現在に至るまで、日常的な場面で使うことは避けられています。
「七生報国」の類語②「尽忠報国」

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次に「尽忠報国」をご紹介します。「尽忠」とは「忠義を尽くす」という意味で、四字熟語の意味としては「忠義を尽くして、国もしくは君主の恩に報いること」を示すものです。英語では「Loyalty and patriotism」です。
中国で「救国の英雄」と讃えられる「岳飛(がくひ)」は、幼い頃から父に「尽忠報国」の教えを説かれます。父亡き後、母によってその教えは背中の入れ墨となって刻み込まれた、という逸話は有名ですね。
「七生報国」とペアでよく使われた言葉「八紘一宇」

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最期に、太平洋戦争中「七生報国」と合わせて使われた、「八紘一宇(はっこういちう)」について説明します。まずどのような意味かというと、「八紘」とは「地の果て」を指す言葉です。「宇」は家を示し、「一宇」とは「一軒の家」のことです。直接的には「世界を一つの家にする」という意味になります。
世界を統一すれば、穏やかな世界になるのではないか?という考えの下で、太平洋戦争中の標語として用いられたのです。1945(昭和20)年12月22日、GHQにより、「八紘一宇」は「大東亜戦争」の文言とともに「国家神道や軍国主義」などの思想から切り離すことができないという理由で、公文書での使用が禁止されました。
「七生報国」は使わない方が良い?

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こういった記事を読むまで、「七生報国」なんて言葉自体があることを知らなかった!という方も中には居るでしょう。「七生報国」は強く禁止をされなかったものの、「使わないようにしよう」という動きが強かったことはたしかにあったように見えます。
軍国主義や右翼を思い起こす「七生報国」

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実際、右翼団体からの推しもあり、戦争のスローガンとして掲げられてきた過去を考えれば、かつての「軍国主義」を思い出して嫌気がさすという方もいるでしょう。「軍国主義」とは、「戦争こそ最大の外交の手段」という思想です。
太平洋戦争のころの日本は、さまざまな資源欲しさに、複数の国を制圧していたのも事実です。しかし、その時代に使われていたからといって、「七生報国」の言葉を気に入っている人に対し、安易に「軍国主義者だ」、「右翼だ」という言葉を浴びせて良いものではありません。
小学校の運動会で「七生報国」の類語「一死報国」が問題に!

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2016(平成28)年9月17日、長野県大野市にある「市立大町東小学校」の運動会である騒動が起こりました。四字熟語が大きく書かれた10本のカラフルな旗のうち、一本のピンクの旗に、「一死報国」と書かれていたのです。運動会に参加していた一部の父母が、「不適切だ」とし、学校に抗議したのでした。
旗を作成したのは、小学校6年生の児童4人でした。教員は彼らの自主性に任せ、最終チェックを怠ったとし、学校側が後日謝罪をしています。児童らに当然悪気はなく、「辞書で見つけた」ため「一死報国を」採用したと話しています。
児童らの解釈

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児童らは「一死報国」について、「チームのために全力で力を注ぐ」という解釈をしたと語ります。国を「チーム」と置き換えられる発想力は、とても柔軟で素晴らしいと思います。しかしこの考え方は、戦時中の大人たちにもあったもので、戦争を正当化するための一面も持った、危険なものでした。
小学生で、その四字熟語の成立の背景を調べようとする子は、ほとんどいないでしょう。先の騒動を未然に防ぐためには、やはり教員のチェックは必要でしたし、この四字熟語がなぜ相応しくないのかを教えてあげるべきでした。
「七生報国」の解釈に問題点

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「七生報国」の祖ともいえる楠木正成ですが、彼は「朱子学」を信奉していたことで知られています。「朱子学」とは南宋の朱熹によってまとめられた、儒学説をさします。その教えとは、『人間の本性は「理」であり「善」である』ため、敬意を忘れずに自分の意志で行動すれば、自ずと外界の理も見えるはずだ、というものです。
正成は、朱子学の教えに基づき、「七生報国」の言葉を使用しました。国に強要され命を差し出すわけではなく、自らの意思で、「国のため、君主のために、何度でも生き返って戦おう」という意気込みで使用したのです。今ではどこか過激な愛国者のような雰囲気の漂う言葉になり、毛嫌いされてしまったのは、残念です。
「右翼」と「左翼」とは?

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この記事の中でもさんざん出てきた、「右翼」と「左翼」の言葉。今ではネトウヨ、ネトサヨなんて言葉も出てきました。普段何気なく聞いているけど、実のところ、定義はよくわかっていない…。そんな方のために、少しだけ解説していきたいと思います。
「右翼」とは?

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一般的に、「右翼」とは「保守的」な勢力を指します。国家主義です。「日本」という国を愛し、日本の文化を大切に想い、天皇への敬意はつねに忘れません。日本の伝統を重んじる…というと、少しお堅く聴こえてしまいますが、ありのままの日本をこよなく愛する人たちです。
「右翼といえば街宣車」というイメージも強いかもしれませんが、彼らは「街宣右翼」と区別されます。警察からは「行動右翼」と称され、右翼団体とは分けて考えられます。ちなみに街宣車が黒いのは、「ほかの何色にも染まらない」ためだそうです。
「左翼」とは?

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一方の「左翼」は、日本にあまり固執した考えを持たない、国際主義的な側面をもちます。「革新派」と称されます。日本をよりよくするために、他国の革新的な思想や制度を摂り込んでいこう!と訴えかける勢力です。
「左翼」の源流は、明治期の「自由民権運動」にあります。「左翼」と正式に称されるようになったのは、大正期だと言われます。「右翼」の街宣車での訴えに対し、「左翼」は「デモ行進」で意志を表明します。
「ネトウヨ」・「ネトサヨ」とは?

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SNSが盛んな現代では、インターネットのあらゆる掲示板に辿りつくことも多いはずです。そんなときに、「ネトウヨ」とか「パヨク」なんて言葉を目にして、何だろう?と思ったことはありませんか?
「ネトウヨ(ネット右翼)」とは

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「ネトウヨ」とは、日本人であることを誇りに思い、ネットで日夜「愛国活動」をしている人のことを指します。日本批判の書き込みを見つけると、自分のことかのように烈火のごとく怒るのが特徴とも揶揄されます。また、意見が異なる人を「反日」「パヨク(左翼の蔑称)」と攻撃する側面もみられます。
しかしそのような人ばかりではなく、穏やかに日本を愛し、日本のすばらしさを説く「ネトウヨ」も存在していることは、決して忘れてはなりません。そのような「ネトウヨ」は、理性的な議論を好みますが、ほとんど意見に噛みつくことはしません。
「ネトサヨ(ネット左翼)」とは

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「ネトサヨ」という言葉はあまり聞きなれないと思います。先の左翼の蔑称である「パヨク」の方がよく耳にするかと思います。「ネトサヨ」を自称する人はあまりいません。「ネトサヨ」と言われる人の特徴として、自分自身が日本において社会的弱者だと強く訴える傾向があります。
ネットにおいて、日本の政治に対し何かと悪態をつく、他国と比較しては、日本を陥れようとする…また、自分の生活が良くならないのは日本のせいだ!というような言葉を声高に言う…などといった「反国家活動」をしていると「ネトサヨ」だと認識されてしまいます。
レッテル貼りに過ぎない
ただしこれらはレッテル貼りに過ぎないので、自称するのは構いませんが、他人に対し「ネトウヨだ」「ネトサヨだ」などと認定するのはやめましょう。
新左翼とされる集団がおこした内ゲバに関する記事はこちら
「七生報国」は楠木正成の名言だった!

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湊川神社に祀られた際、楠木正成には「大楠公(だいなんこう)」という尊称が与えられました。今でも地元の人々からは、「楠公さん」と親しみを込めて呼ばれています。国と君主に最期まで尽くした、いわば英雄です。
国のために七度生き返り、敵を討ちたいという意味の込められた「七生報国」は、正成のような忠臣であったからこそ、後世にまで影響を与えた言葉です。「七生報国」は思想の偏った言葉だと最初から決めつけず、その時代背景に目を向けることの大切さが伝われば幸いです。
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