阿部定事件は狂愛に満ちた猟奇殺人!愛人を扼殺し陰茎切断した彼女の動機と心理

定は本来真面目な性格です。習い事も一通り習いました。14歳でレイプされたことが、どこかに残り狂気を含んだ部分を持つようになったのだと言う人がいます。またのちの精神鑑定でも、こころに狂気が表に出るスイッチがあるようだとされました。

定はスイッチがいつ入るかわからない、危うさを秘めているから、男にはその不安定な感じが可愛らしく映るのでしょうか。なぜ定は60過ぎても簡単に恋人を見つけることができるのでしょうか。定はなぜ強行に及んだのでしょうか。その理由を解説します。

犯行直後の血文字の遺書〜定吉二人〜

犯行に及ぶまえにも、ナイフを吉蔵の腹に置き、浮気したらこれで切ると、冗談とは思えない眼差しをむけるのです。犯行直後には血文字でシーツに定 吉二人きりと書きました。ここに吉蔵を失った悲壮感などあるはずもありません。

犯行の動機〜愛故の殺人〜

吉蔵が疲れたから家に帰って休みたいと言ったことに、定は信じられない思いでした。吉蔵を失うかもしれない恐怖と不安に動転します。吉蔵はこのままだと定の元からいなくなってしまう。定には我慢などできないのです。吉蔵を他の女に渡したくない、それならいっそ殺してしまえば自分だけのものになるという、身勝手な発想でした。

陰茎切断の理由〜石田とずっと一緒にいる為〜

自分は変態性欲者ではありませんと、定は言っています。定が吉蔵の陰部を切り取った理由は、誰にも触らせたくないからでした。遺体が運ばれれば、女房が吉蔵の身体を湯灌します。そんなことは絶対にさせない。絶えられません。吉蔵が自分から離れるなんて考えられない。

定は陰部を切り取り雑誌に包んで、時には懐に、時には帯の間に入れて、ずっと一緒にいました。吉蔵と一緒にいられることが嬉しくて、気持ちが弾んだと言っています。つまり、事件の真相は、吉蔵が家に帰って休みたいと言ったから、殺して帰さないようにしたのです。陰部切断の理由は吉蔵のものが欲しいと思って、1番可愛いものを貰ったのです。

阿部定事件は純愛じゃない?最新の心理分析で見える定の本性

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定を最新の心理分析にかけたら 定の本性は、強い独占欲と執着心、ふられてしまう1人にされることに極度の不安があると分析されています。破壊的な衝動も見られます。定自身は変わったのは幼い頃のレイプ事件からだと言っています。

しかし、子供時代にすでに性格の片鱗として、あったかも知れません。最新の心理分析でのパーソナリティ生涯とは、このような性格の極端な部分を指しています。昔はヒステリーとか、癇癪持ちと言われていました。

当時の時代背景は性の方向に向かいやすかった

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226事件があり、これから日本は戦争に向かうのではないかというときでした。昔から、戦争が迫ると本能として子孫を残す方向に向かうのではないかと言われています。世の中全体が性に興味を持つ方向に向かってゆきます。

阿部定には初体験のトラウマがあった?

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阿部定が14歳、数えの15歳のときに受けたレイプがトラウマになっていて首を絞めた瞬間にレイプのシーンを思い出し攻撃するスイッチが入って首を絞めてしまったのだとある記事では解説されています。

阿部定は境界性パーソナリティ障害だった

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定は境界性パーソナリティ障害の他、自己愛パーソナリティ障害があったのではないかと分析されましたが、一般的に境界性パーソナリティ障害は、感情が著しく不安定で、善、悪の判断が極端であったりします。

イライラが強く抑えきれなくなるような人は境界性人格障害に分類されます。境界とは神経症と統合失調症の境界の症状をしめします。まさに定はこれに当てはまると、最新の精神分析て指摘されています。

阿部定が遺した名言の数々

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定には予審調書が残されています。それはなぜか外に持ち出されて、手垢まみれになって戻りました。定の予審調書では定の口から語られたことが、細かく書かれています。定の名言とされている言葉も詰まっています。

定の言葉で書かれていますから小説より臨場感があります。定が語るとグロテスクな言葉や方法は根こそぎカットされていますから、むしろ予審調書の方が読みやすいかも知れません。ひと昔前のカタカナ混じりの文ですがすぐに慣れてしまいます。

これはあたしと吉さんのにおいが染みついているものだからぜったい渡さない

殺人現場から石田の下着が見つかりませんでした。捜査員も不思議に思っていましたが、逮捕されてから、定が身につけていることが発覚しました。定は吉蔵のステテコと褌、腹巻を決して脱ごうとはしませんでした。そして上記のように喚きちらしました。

あの人が生きていれば外の女にふれることになるでしょ

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あの人が生きていれば外の女にふれる事になるでしょう。殺してしまえば、外の女が指一本ふれなくなりますから、殺してしまったのです。この言葉に定の狂気が含まれています。あまりにエゴイストで、短絡的な思考回路でしょう。

ただ、定の人生のほんの短い期間に愛した吉蔵のために命日には寺に花を送り続けていましたが最後は行方不明の失踪者扱いです。1974年に滋賀県の尼寺に出家志願をしましたが、姿を消しています。その後3カ月ほど知った人の元にいたようですがその後の消息はわかりません。

阿部定をさがしているんでしょ?あたしがおさがしの阿部定ですよ

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定は目前に逮捕が迫っているのを感じ、お世話になった人々に手紙を書いていました。警察が踏み込むと落ち着いた様子で言いました。あまりの落ち着き方に踏み込んだ警察の方が動揺しました。定は目的は達成しましたから、あとは罪を償うばかりです。

定は人に大変恩義を感じるたちで、後に自分を騙して前金で売り飛ばし、搾取していた秋葉にさえ、恩義を感じ、震災の時には全力で援助します。秋葉もここからは、本当に定の親代わりになり、定を支えるようになります。定の暴露本の発行差し止めの裁判も秋葉が力になりました。

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