【プロビデンスの目】フリーメイソンの陰謀論とホルスの左目とラーの目の意味

フリーメーソンは、最盛期には世界で600万人の会員数を誇ったとされる、世界最大の秘密結社です。その活動内容は詳らかではありませんが、その構想として「自由・平等・博愛」の精神を持つとされており、そうした構想のもとでの人間と社会の完成を主な目標として掲げている、と考えられています。

フリーメーソンのメンバー

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フリーメーソンは非常に巨大な結社であるため、そのメンバーとされる人物の中には、世界史的にも著名な人物が多数名を連ねています。一例には、アメリカの初代大統領ジョージ・ワシントン、独立宣言の起草者ベンジャミン・フランクリン、さらには二次大戦時の大統領ルーズベルト、GHQの総司令官マッカーサー、イギリスの宰相チャーチルなど。

また、フリーメーソンの掲げる「自由・平等・博愛」の精神は、フランス革命やアメリカ独立の思想的支柱とも少なからず重なっていることから、こうした歴史的な重大事の裏側でフリーメーソンが暗躍していたのでは、という陰謀論的な説が唱えられることとなりました。

フリーメーソンの歴史①:その起源

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フリーメーソンがいつごろから存在していたのかは、未だ明らかにされていませんが、おそらく中世における石工たちのギルド(組合)が、その前身であったのではないかとされています。フリーメーソンは、直訳すれば「自由な石工」であり、もともとは中世に大きな教会や宮殿の建築を受け持った石工たちの集団でした。

しかし中世が終わり、大規模な建築の機会が減ると、こうした石工たちの組合は存続の危機にさらされました。そうした時期に、魔術師や錬金術師の集団である「薔薇十字団」による接触があり、フリーメーソンは目に見えない天上や神の建築=人間社会の完成を目指す集団として生まれ変わったのではないか、と考えられています。

フリーメーソンの歴史②:近代におけるフリーメーソン

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公式の記録において、現代につながるフリーメーソンの基礎が築かれたのは、1717年6月24日、聖ヨハネの祝日に、当時ロンドンにあったフリーメーソンの4つのロッジ(支部)が統合され、ロンドン・グランド・ロッジが設立されたことにあります。

ここにおいて、フリーメーソンは大元の性格であった石工の集団という実業的な側面から脱却し、先にも示した「自由・平等・博愛」という世界市民的な構想、ないし社会的・政治的な目標を掲げる自由人の集団として生まれ変わったのです。

フリーメーソンの歴史③:その伝説的起源

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ですが、こうした沿革とは別に、フリーメーソンの内部では、より伝説的な起源が語られています。それらによれば、フリーメイソンの開祖は、旧約聖書にも登場するソロモン王の神殿を建てた、フェニキア人の頭領ヒラム・アビフであるとされています。

またロンドン・グランド・ロッジ創設の際に憲章を起草した人物によれば、フリーメーソンの起源は「創世記」のアダムにまで遡り、アングロ・サクソン王アセルスタン(895年ごろ~939年)に初めて公認されたと伝えられています。また、古代エジプトの秘儀や中世の「テンプル騎士団」にルーツがあるともされ、まさに「神秘的」の一言です。

フリーメーソンの内部構造:さまざまな位階

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フリーメーソンにおいて、その内部にはある種のヒエラルキーがあることが知られています。初期には「徒弟」「職人」「親方」という3つの位階がありましたが、のちにはその数が増加し、現在の儀礼とされる「スコッチ儀礼」には、なんと33もの位階が存在しています。時とともに、結社の内部構造が極めて複雑化していったことをうかがわせます。

フリーメイソンの実像:単なる慈善団体?

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このようにさまざまな神秘に彩られたフリーメーソンですが、結局のところ、本当に世界を裏で牛耳っているのかどうかは定かではありません。現実的には、フリーメーソンは単なる親睦団体・慈善団体に過ぎないというのが、大方の見方であるようです。ちなみに、フリーメーソンのロッジは日本にもあり、電話帳にも載っています。

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