牛鬼も自分の姿の恐ろしさがわかっているからこそ、こういう策謀で餌を手に入れようとするのです。
防ぐには手袋を使う
怪異たちの策略から逃れるすべはただひとつ。「石が手から離れないのなら、直に手で触れないようにする」ことです。対策としてまず手袋があげられます。
手袋をつけて赤ちゃんを受け取り、逃げ出す時には手袋ごと投げ捨ててしまえばいいということです。また、そもそも海辺で泣いてる母から子供を受け取らない(無視する)という手もありますね。
牛鬼と濡れ女が同じ声だった
また、別のお話では牛鬼自身が女性(つまり濡れ女)に化けるパターンも存在します。このお話では赤ちゃんを抱かせられ、牛鬼が現れるところまでは同じですが、人間はどうにか逃げ出しています。
その時に、獲物を取り逃した無念から、牛鬼が女性の声で「残念だ」と言ったといいます。よほど悔しかったのか、化けの皮を脱ぎ忘れたようです。
濡れ女が産女とする説もある
水に濡れた女性の姿をして、赤ちゃんを渡してくる。こういった共通点から、濡れ女は産女(うぶめ)と同一視されることもあります。
こちらは産褥で亡くなった女性の怪異で、蛇とは関わりのないものの、抱かされた赤ちゃんが実は石であったなどよく似た伝承が残されています。
実際に濡れ女に出会ってしまった恐怖体験も
これは濡れ女に遭遇したという人のお話です。報告者が小学生だったころ、担任の先生が人気者の話上手で、生徒たちにいろいろなお話をきかせて楽しませていたそうです。
そんなある日、先生が話してくれたのは濡れ女の怪談話でした。小学生向けのお話なのでたいして怖くはなかったそうですが、報告者は不思議と強く惹きつけられたといいます。
授業で濡れ女の話を聞く
先生によると、濡れ女はみんなの家の近くに出没して、捕まえられたら魂を取られるというお話でした。
他のクラスメイトは本気で信じていないようで、報告者も震え上がっていたわけではありませんでした。自宅近くに妖怪が出るという、怪談としての身近さが気に入ったのだといいます。
帰宅途中で雨が降り出し不登校の姉に出会う
その日の下校中、自宅まであと少しというところで急に強い雨が降り始めます。あわてて駆け出す中、報告者は突然呼び止められました。顔を上げると大雨の中、傘を持った姉が立っていたのです。
普通に考えると弟を迎えに来てくれたのでしょうが、この頃姉は引きこもりで、家から出ることはめったになかったので「おかしいな?」と感じたそうです。
姉に化けた濡れ女に襲われる
傘に入れてあげるというのを報告者が断ると、姉は「濡れ女って知ってる?」と言って報告者につかみかかりました。
驚いて顔を上げると、傘を上げた姉の姿は、見たこともないほど大きな蛇に代わっていました。鱗には濡れた髪がはりついています。報告者はあまりのおそろしさに悲鳴も上げられませんでした。