惜しくも翌年が妹の成人式でした。妹想いの優しいお姉さんだったようです。妹のために自分は大学進学をあきらめ夜の街で働いていました。妹も優しい姉を慕っていました。
ターゲットを見定めていたかのように、色々な女性を凝視している姿が目撃されている他、姉妹の部屋の電気が2回も停電のような現象が起きています。
後に彼がマンション内にある配電スイッチを操っていたと発覚します。ターゲットの部屋を確認するための行動だったのでしょうか。
騒動が起こる前日のことでしたので、何かのメッセージだったのかと思えてなりません。山地は女性が帰宅するのを待ち伏せしており、姉が部屋の鍵を開けた途端、一緒に入りこみます。
胸を一突きし強姦に及んだのです。10分後に妹も帰宅しますが同じ手口で殺めました。その後、堂々とベランダに出てタバコを一服しています。
2人の亡骸をどうしようか考えているかのような時間ともとれますが、素直に自首など頭にはなく逃げ切ることを企んだのです。
証拠隠滅のために放火して逃走するも逮捕
部屋の中にあった現金5000円といくらかの小銭を盗み、火をつけて逃げたのです。自分ではアリバイをつけずに完璧な犯罪だと思ったでしょうが、日本の警察の目は鋭く光っており、逃れられませんでした。
背負っていたリュックサックには姉妹の貯めていた貯金箱や、火をつけたであろうライターが入っていたようです。
山地悠紀夫死刑囚に下った判決内容とは?
出来事は少年院を出て1年半という短期間での再犯に、世間は注目を集めます。同時に母親を金属バットで殺めた少年だと分かると、メディアの標的となりました。
2006年に法の裁きを受けるため裁判がスタートします。判決と刑が執行されるまでの経緯、彼の異常ともとれる言動についてご紹介します。
死刑を求める署名が殺到
何も罪もなく、ただ一緒の集合住宅だっただけに目をつけられ、閉ざされてしまった若い女性たちの無念さを考えると、人々はいたたまれない気持ちだったことでしょう。
世間は彼を生かして罪を償うより死して刑を受けることを強く望みました。遺族の深い悲しみは決して癒えることがなかったことでしょう。
検察官が署名運動のことを彼に告げて何か思うことはないかと問いただしても、無反応で自分が生きていることさえ興味がない様子だったといいます。
精神鑑定を行うも責任能力ありとの判定
逮捕され留置所へ搬送される映像には、顔を隠さず薄ら笑いを浮かべた不気味な表情がテレビに映ります。取調べでは、人を刺すたびに性的な興奮が出ると驚きの供述をしています。
命を奪うことは物を壊すことと同等だとも述べており、精神をしっかりと調べる必要がありました。結果は、異常が見られず刑を受ける身と確定します。
山地悠紀夫は自らも死刑を望んでいた?
蝉が生まれたあとの抜け殻のように、姿あるものの心と合致しない部分がありました。それは少年院に入っていたときから見られた状態ではありました。
自分でも「生まれてこなければ良かったのかも」と言葉に出しています。幼いころから家にも学校にも居場所が見つからず、劣悪な環境から自分が生きている価値のない人間だと思ってしまったのでしょう。
生きることに執着のなかった彼は、もっと人が苦しんで息絶えていく方法を探りたいと後に発見されたノートには記されています。
25歳という若さで死刑執行
大阪にある拘置所内で、2007年ゴールデンウィークの最中である5月31日、刑が執行され死をもって罪を償いました。20代の若い死刑囚は珍しく30年ぶりに記録更新されたのです。
自分から望んだとされる死刑ではありますが、最期まで反省の姿は見られなかったとされます。殺された姉妹は還ってくるわけではなく遺族の悲しさは晴れることがなかったことでしょう。
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山地悠紀夫死刑囚の垣間見える異常性とは
彼の思考はどこで道を反れてしまったでしょうか?壮絶な家庭環境ではありましたが、彼自身がどこかで生きがいを持ち、価値を見出すことができていれば未来は違ったことでしょう。
人間の心というものは姿形ないもので目には見えないものであります。それ故に発見できず成長していったまでに罪のない命までを奪い人々を悲しませてしまったのです。
到底理解しがたい心理をご紹介していくと共に、彼の心の闇について考察します。
刺すことに性的興奮を感じる
明らかとなったのは、母親を殺めた際に血で汚れた体を洗うため、シャワーで流していたときでした。殺めたことに対して、肉体的に興奮を覚え、絶頂をむかえたことに気付いたと語っています。
異常な心理は、この時から生まれ出たものか幼少期からの家庭環境で徐々に形成されていったものなのか定かではありませんが、世の中には貧困層と呼ばれる家庭はたくさんいます。
全員が異常者かといったら違います。神様が今世に彼を出したとき、異常な心理状態も一緒に持たせたのでしょうか?もともと生を受けたときから兼ね備えたものだったのかと考えられます。