この戦いのため、イシスが息子の身を清めさせた神殿が、ウアジェトの神殿だったことが名前の由来に関係しています。
ラーとウアジェトはどんな神様?
ではここで、両の目の名前になった「ラー」と「ウアジェト」について、詳しく解説していきたいと思います。どちらもエジプトにおいて知らない者がいないほど有名な神様で、現代に至っても強い影響力を誇る存在です。
両者については先に少し触れましたが、ラーは太陽をつかさどる神であり、ウアジェトは国の守護神たる女神です。
エジプト神話の太陽神・ラー
同じく頭部をハヤブサとして描かれることの多い太陽神ラーは、古代神話における創世神であり、最も古く重要な神として知られています。信仰心のない人間を滅ぼそうとする苛烈さもあって、絶大な力の象徴ともされてきました。
もとは国を統べる立場でしたが、息子に権力を与えんとしたイシスによって支配権を奪われています。
エジプトの守護神・ウアジェト
対となる神・ネクベトと共に国を守護する神ウアジェトは、コブラの姿をもつ女神です。彼女は神殿に訪れた母子を通してオシリスとつながりを持ち、王室を守護する神に転じました。
豊穣をもたらし邪悪を退ける、慈悲深くも厳格な炎の女神です。王室の装具にコブラが多用されている所以でもあります。
ホルスの目には魔術的な効果がある?
セトとの闘いで取り出された左目は、国中を旅しあらゆる知見を得た後、肉体へと戻されました。ゆえに叡智をたずさえすべてを見通す力があるとされています。この逸話からシンボルは保護や安全をもたらす、魔よけのお守りとして人々に浸透するようになりました。母が高名な魔術師ということもあり、強い加護を持つと信じられています。
ホルスの目は数学や宇宙と関係している?
このシンボルは神話や歴史だけでなく、数字として考えても様々なものと関連性が見えてきます。それは宇宙であったり、数学であったり、人間の感覚をあらわすものであったりするのです。
ただ象徴的マークというだけではない、深く広い意味を持っている神の目を、この項目では「数」に分解して解釈していきましょう。
ホルスの目は宇宙の黄金比!
黄金比は1:1.6の比率からなる、人間がもっとも美しいと感じる形です。このシンボルも正確に描くと黄金比の形になります。黄金比の比率は動植物など自然界にもよく見られ、また宇宙空間においても惑星の軌道と関係しています。
私たち地上を生きる生物と、はるか天上の宇宙の法則を結び付ける、神秘的な意味を持つ比率なのです。
ホルスの目に隠された分数の意味とは?
古代の数学ではこのシンボルは分数をあらわす記号でした。シンボル全体を「1」を表し、それをパーツごとに分解して1/2、1/4、1/8…と割り当て、主に穀物の測定をするときに利用してきました。
最終的に和は63/64となり、1/64足りないのですがその不足は月の神トートが魔法で不足分を補ってくれている、という解釈です。
ホルスの目の分数は人間の感覚を表している?
またこの分数記号は脳の構造に当てはめることができるとされています。1/2にあたる部分で嗅覚を、1/4部分で視覚を、1/8部分で触覚を…。五感、そして思考までもが当てはめられるのです。
脳科学の視点から見るとこの説は曖昧過ぎると言われていますが、古代人が脳の役割について知っていたとしたら、それだけでとんでもないことです。
ホルスの目は第三の目と関係がある?
チャクラとは、人体を循環する精神・生命のエネルギーの出入り口とされている場所です。意識的に活性化させることにより、秘められた才能が開花してエネルギーに満ちた生を得ることができると言われています。
人が誰しも持っている7つのチャクラのうち6番目、第三の目と呼ばれるチャクラは、ウアジェトの目と密接な関係があるとされています。
ホルスの右目は人間の松果体を表している
第三の目を開花させるには、脳にある松果体の活性化が欠かせないとされています。シンボルの形はまさにこの部位を表したものという説があり、上記画像でもこのように、重ねると見事に合致します。
古代エジプト人に脳科学の知識があったかは不明ですが、ミイラなどで人体解剖に精通していたため、人体造形の知識があっても不思議ではありません。