きわめて少数派とは思いますが、人は誰しも自由に生きる権利があるので、犯罪性がない以上は好きな人生を送っても良いでしょう。
ルンペンになったのは意外な理由がある人も
一番多いのは「気がついたらなっていた」というパターンです。大きなきっかけや明確な意思によるものでなく、日雇い生活からズルズルと…という理由だそう。
中には「最初は不安だったものの慣れたら快適、ずっとこのままでいい」と語る達観者もいます。また「引き取り手のない老犬と暮らすため」という切なくも優しい理由を挙げた人も。
ルンペンがつく言葉とは?
「ルンペン」は浮浪者を指す以外にも、いろいろな場所で使われてきた言葉です。ではここで、どんなものに使われてきたのか、代表的な例を挙げていきましょう。
正式名称というよりは俗語・通名で、ご年配の方であれば「そうそう、懐かしい!そういう呼び方してた!」と喜ばれる方もいるやもしれません。
ルンペンストーブ
石炭や薪を燃料とした二筒式ストーブを指して、昔はルンペンストーブと呼ぶことがありました。
筒がふたつあったのはスペア燃料としてであり、通常使用するときはひとつの筒しか燃焼していないため、「誰かが働いている一方で、働いていない者がいる」状態をルンペンに見立ててそう呼んだのです。
ルンペン帽
かつては「浮浪者や乞食はよく帽子をかぶっている」と認知されており、そのためよれよれの帽子をかぶっていると「まるでルンペンの帽子のようだ。ルンペン帽だ」とからかわれました。
やがてやわらなかつばの帽子はすべてそう呼ばれるようになります。たとえば、名探偵・金田一耕助がかぶっている個性的なあの帽子です。
ルンペン釣り
ルンペン釣りとは、釣りの技法を指すものではなく、釣りを行っている人の隣でおこぼれを期待する行為を指します。何もせず(働かず)糧を得ようとする様をルンペンと見立てたのです。
今だったら「釣り場の猫」とでも言うのでしょうか?また彼らは橋の下に住まいを持つことが多いため、橋の下で釣りを行うこともルンペン釣りと呼びました。
ルンペンをテーマにした作品
お次は、ルンペンを題材とした作品の特集です。昔は差別的な意味とは捉えられず、ごく一般的な俗語であったた、映画や歌のタイトルになることも何ら問題ではありませんでした。
現代では製作ができないであろう、当時の世相を反映した貴重な記録集でもあります。
作品①キンキンのルンペン大将
こちらはキンキンこと愛川欽也氏主演、自ら考案し監督に持ち込んだという、昭和51年公開の映画です。主人公は失業をきっかけに浮浪者となってしまった重たい設定ですが、あくまでも喜劇タッチで軽快に描かれています。
若き日の和田アキ子も出演していますよ。その後ビデオ化はされなかったものの、今でも映画ファンに評価される名作です。