マリアナ海溝は世界一深い海!その深さは?海溝に住む不思議な生き物もご紹介!

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今回発見されたクラゲはその見た目の特徴からヒドロクラゲの仲間ではないかと推察されています。傘の中に見える赤い線は生殖腺で黄色い部分が発光器官、触手は通常のクラゲの様に捕食のために使用されているのではと考えられます。

しかしまだ種の特定には至っておらず、新種だとしても命名すらまだなされていません。

マリアナ海溝に棲む生き物④水深8145mに棲む魚を発見!

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先ほどマリアナスネイルフィッシュの新種と考えられる深海魚が発見された深海7485mよりもさらに深い8145mでも何と生き物が発見されました。そうです、「冥王の領域」とまで言われた超深海にも生命が存在していたのです!いったいどのような生き物が発見されたのでしょうか?

マリアナ海溝の深部で発見されたマリアナスネイルフィッシュ

真っ白で透き通る体をゆらゆらとくゆらせながら深海を静かに泳ぐ様はまさに衝撃的です。アバディーン大学と米ハワイ大学の共同調査が行われ、105時間もの長い時間、マリアナ海溝を撮影した中にその姿は収められていました。

マリアナスネイルフィッシュはどんな魚?

スネイルフィッシュはクサウオ科に属する魚です。今回発見された場所がマリアナ海溝であったため、マリアナスネイルフィッシュと呼ばれるようになりました。白く透明な体を持ち、内臓が透けてみます。うろこは持たず、ぬめぬめとした粘液質に覆われており、深海でも獲物や他の生物の死骸を発見できるように発達した嗅覚組織を口の周りに持ちます。

ヨコエビを捕食する姿も今回の調査で観察されたことで肉食であることも判明しました。。吸い込むようにヨコエビを捕食し、丸呑みしながら咀嚼する頑丈な器官が口にあることが見て取れました。

マリアナ海溝最深部では他にも甲殻類や端脚類を発見

映像にはマリアナスネイルフィッシュの他にも餌に群がるヨコエビの仲間と思しき甲殻類や端脚類なども同時に発見されました。8000mを超える深海にもこれだけの生物が生態系を築き上げ、そこに世界が存在していることは多くの人を驚かせると同時に深海の奥深さを改めて伝えてくれたのでした。

マリアナ海溝に棲む生き物⑤更に深い水深1万mにも生物が!

前述のマリアナフィッシュを発見した調査により、8000mを超えた地点で生存している生物がいたことでも十分に驚きでしたが、なんと同調査によってそれよりもさらに深い、マリアナ海溝最深部に近い地点・10000mでも生物が発見されました。

【マリアナ海溝】世界で2番目に深い場所にはエビが棲む!

マリアナ海溝の最深部に近いシレーナ・ディープと呼ばれる深度10545m地点で発見された生物はエビの仲間でした。私たちが見かけるエビよりも後ろの部分の脚は長く、目や頭は退化したような見た目をしています。

【マリアナ海溝】深海の生物は群れや他の種たちと暮らしている?

この調査でもう一つ大きな衝撃だったのが超深海の世界に生きる生き物たちは群れを形成し、ほかの種と共存しながら暮らしている姿が収められたことです。これまで超深海で暮らす生き物たちは単独で孤独な暗闇の中を泳ぎ暮らしていると想像されていたのです。

群れの形成を確認した発見者のジェミーソン博士は、「本当に驚きです」と興奮を隠せませんでした。

水深1万mに魚は棲めない?

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ところで、深海10000mの世界でエビの仲間は発見されましたが魚は果たして見つかるのだろうかと気になる方も多いでしょう。現在のところ、深海8400mより深い場所に魚はいないと考えられています。

世界で一番い場所に棲む魚はバッソギガス・プロフンディッシム

現在発見されている中でもっとも深い地点で発見された深海魚はバッソギガス・プロフンディッシムです。1970年大西洋・プエルトリコ海溝で捕獲されたソコボウズ属の仲間です。発見された深度は8300mで、やはり仮説として立てられている限界値・8400mに一歩届かない地点でした。

魚は8400m以上の深さでは水圧に対応できない?

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そもそも、魚はなぜ自分の体液よりも濃い塩分濃度の海で暮らすことができるのでしょうか?トリメチルアミンオキシド(TMAO)というタンパク質は魚特有のタンパク質で、そもそもは海水中の塩分と体の水分のバランスを保ち、浸透圧を一定にするために働いていると考えられています。

このタンパク質の働きによって魚が海水でも生きていくことができるのです。魚特有のあの匂いはこのTMAOの匂いです。深海魚はおそらく、このTMAOを通常の水域の魚より過剰に生産することができ、そのおかげで激しい水圧から細胞やその中に存在するDNAの保護が可能になっているのだとヤンシー博士は言います。

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ではこのTMAOをさらに過剰に生産することができる魚がいればもっと深い地点でも生存できると多くの人が考えるでしょう。しかしながらこのTMAOを作れば作るほど深く潜ることができるのかといえばどうやらそうではないようです。

TMAOがある一定量を超えると魚の体にとっては害をもたらす物質となってしまうと仮定されているからです。自身の体を守る物質がある一定量超えるとその命を脅かす存在に変わってしまうのがこのTMAOなのです。

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そのボーダーラインが8400mという地点ではないかとヤンシー博士は仮説を打ち立てました。これからの調査で8400mよりも深い地点で魚が見つかったときはまさに世紀の大発見となるでしょう。

「ない」ことを証明するのは至難の業

魚8400mよりも深い地点で生きることができないとしたこのヤンシー博士の仮説を証明するのは実は想像以上に難しいことなのです。それは「8400mよりも深い地点に魚は存在しない」ことを証明しなくてはならないからです。

存在することを証明するには「探す」という行動がとれますが、存在しないことを証明するには「見つけることができないことを証明しなくてはならないのです。

マリアナ海溝に棲む生き物⑥原油を餌にするバクテリアを発見!

マリアナ海溝という特殊な深海の世界で暮らす生き物は魚や甲殻類たちだけではありません。私たちの目には見えない小さな微生物の世界も広がっているのです。ここではマリアナ海溝で発見された興味深いバクテリアについてご紹介します。

マリアナ海溝で炭化水素を分解するバクテリア

マリアナ海溝で発見されたバクテリアはなんと原油や天然ガス中に含まれる炭化水素を分解しエネルギーに変えていることがわかりました。海底からはメタンガスなどの炭化水素が豊富な湧き水が存在する冷水湧出帯と呼ばれる地点が数多く存在しています。こうした特殊な環境下において生存するバクテリアはやはり通常のものとは違う生態をしています。

炭化水素を分解するバクテリアの発見は他にもありますがマリアナ海溝のような深い水深で強い水圧にさらされている中でのこのようなバクテリアが見つかったことははじめての発見でした。

生き物はその環境に応じて進化する

現在、私たちは当たり前の様に呼吸し、酸素を取り込みエネルギー変換しています。逆に言えば酸素がなければ生きていけない体ともいえるでしょう。しかし、はるかはるか昔の地球で暮らす生き物たちにとって酸素は「毒」であったと言われています。

私たちの祖先が進化の過程でこの毒である酸素を自分たちのエネルギーに変える代謝経路を獲得したからこそ、地球にこれだけの生命が存在しているともいえるのです。超深海においても同じことが言えるでしょう。とんどもない水圧と炭化水素が豊富な環境でいく伸びるために独自の進化を遂げたバクテリアが生まれたのです。

マリアナ海溝のバクテリアの分解は流出した原油の処理に役立つ!

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炭化水素を分解する力を持つバクテリアをもし増殖させ、人が扱えるようになればタンカー事故などで海へ流出してしまった原油の処理などに有効利用できると考えられています。原油流出による海洋汚染の悪影響は計り知れないものがあります。多くの生き物を小さなバクテリアが救う可能性も十分に考えられるのです。

マリアナ海溝の海底奥の地中にも生物がいる可能性が?

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マリアナ海溝に息づくこのバクテリアは、逆に言えばどこから炭化水素を獲得しエネルギーに変えているのでしょうか?当初はメキシコ湾で起きた原油流出による汚染がマリアナ海溝まで広がり、その炭化水素を得ていると考えられていました。

しかし、マリアナ海溝に降り積もっている堆積物を解析するとこの流出事故による炭化水素だけではなく生物的に合成された炭化水素も存在することが明らかになりました。つまり、マリアナ海溝には自分で炭化水素を合成することができる驚くべき新種のバクテリアがまだいるかもしれないのです。

他にもおもしろいバクテリアを発見!

とんでもない水圧がかかるマリアナ海溝最深部ではその環境に見事に適応したバクテリアが存在しています。そのバクテリアの学名はMoritella yayanosii 。なんと50MPa「以下」の圧力では増殖することができないという生態を持ちます。

私たちが暮らす1気圧の世界では逆に増殖できないのです。こういったバクテリアを絶対好圧性細菌と呼びます。

日本海溝にも無限の可能性

冒頭でご紹介したように、東日本沖・太平洋に存在する日本海溝の水深も非常に深く、8000mを超えます。マリアナ海溝ほど深くないにしても世界有数の海溝であるには違いありません。

様々な生物たちがマリアナ海溝で見つかったように、日本海溝でも未知の生物が発見されることはまったくもって不思議ではないのです。

マリアナ海溝の伝説?海底探査員が見た幻の生き物とは

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バクテリアの次はマリアナ海溝で目撃された幻の生き物についてご紹介します。深度11000mに滞在した時間はわずか20分でしたがそれは誰も到達したことのない地へ人間が足を踏み入れた歴史に残る瞬間であったことでしょう。その人類初のマリアナ海溝における有人潜航で起こった不思議なできごとをご紹介します。

マリアナ海溝の1960年の探査で目撃

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1960年、スイス人研究者のジャック・ピカール氏が海底探査船トリエステ号を使ってマリアナ海溝の深さを確かめる研究に乗り出しました。人類初の超深海域到達を目指した命を懸けた調査は見事成功し、彼ら2人はついにマリアナ海溝最深部11000m地点であるチャレンジャー海溝に到達したのでした。

不思議な出来事はこの歴史的な調査が行われ何年もしてから、ジャック・ピカール氏が機密事項として書き記していたものから明らかにされました。

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