2013年4月から2017年4月までTBS系列で放送されました。司会は爆笑問題。内容は、国際結婚をして夫の国で暮らす日本人の女性の生活を取材して、日本との文化ギャップから生まれる珍妙な体験を中心にトークがくり広げられるバラエティ番組です。
ホルホル番組⑥「ホムカミ~ニッポン大好き外国人 世界の村に里帰り~」
TBS系列で、2013年10月から2014年9月まで放送されました。司会はさまぁ~ず(大竹一樹と三村マサカズ)、進行はSHELLY。日本に暮らす外国人が出身国に里帰りして、故郷のお国自慢をするバラエティ番組です。ちなみにタイトルの「ホムカミ」は「ホーム・カミング(Home Coming、里帰り)」のことです。
ホルホル番組⑦「世界の村で発見!こんなところに日本人」
テレビ朝日系列で2013年4月から2019年3月までレギュラー放送されていました。メインキャラクターは千葉兄弟(千葉ジュニア・せいじ)世界各地の小さな町や村に住む日本人を芸能人のレポーターがたずね、そこでの生活やそれまでの半生、そこに住むようになったきっかけなどを紹介するドキュメント・バラエティー番組です。
ホルホル番組⑧「Youは何しに日本へ?」
この番組は2013年1月からテレビ東京系列で放送中です。司会はバナナマン。内容は、日本の空港にたまたま居合わせた外国人(に見える人)に「Youは何しに日本へ?」と片っぱしから問いかけて、その返事の様子を放送したり、気になる人に対する密着取材をして、来日の目的を果たす様子を放送するバラエティ番組です。
Contents
日本でホルホル番組はなぜ増えたのか?
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日本のホルホル番組は、ここ数年増加傾向をたどっています。ほとんどがバラエティーショーの形式をとっています。なぜ日本人は、そんなに多くのホルホル番組を必要としているのでしょうか?ここではその理由について考えてみます。
ホルホル番組を日本人が好むため?
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まずホルホル番組が増えた最大の理由は、日本人がこの種のバラエティショーを好んでいるためです。もしかしたら「日本が最高!」という無意識の自尊心や愛国心を満たしたい人が、近ごろ増えてきているのかもしれません。
しかしそのような理由がなくても、日本文化の風変わりな側面を知ったり、世界各国の珍しい生活習慣を知って好奇心を満たそうとしている人にとって、最近はホルホル番組を見る他に選択肢がないという現実があるのかも、と考えてしまいます。
日本人としてのプライドを保つため?
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日本人はプライドの高い民族です。そして日本という国は、世界の他のすべての国と同様に、すばらしい部分もあれば劣っている部分もあります。しかしプライドの高い日本人は、その「劣っている部分」を受け入れることができません。
そのため日本人は自分のプライドを満足させるため、日本食や日本のアニメや日本の伝統文化などを自画自賛するホルホル番組をたくさん見て、日本人としてのプライドを保とうとしているのではないでしょうか。
日本の国力を維持するため?
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日本は先進国になったとはいえ、まだアメリカやヨーロッパなど、明治時代からお手本にしてきた国々に対してまだ「追いつけ、追い越せ」の感情を持ち続けています。特に現在はアジアの経済大国の座を中国にゆずり、日本の国力はかつてより確実におとろえています。
日本人はそのことを自分たちでも承知しています。そのため日本の国力を維持するため、「日本は素晴らしい」というホルホル番組を大量に国民に見せて、再び国際競争に勝ち抜くための精神エネルギーを手に入れようとしているのではないでしょうか。
反韓感情を隠すため?
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日本人は根強い反韓感情を持っています。理由ははっきりわかりません。昔植民地にしていたからという単純な事実だけではありません。日本人がアジア大陸に進出するときに、まず出会うのが韓国人であるためかもしれません。目の上のたんこぶというわけです。ネトウヨの人だけでなく、一般の日本人にもひそかに反韓感情を持つ人が多くいます。
しかし人類は皆平等の精神からいっても、あるいは単にお隣りの国の人と争いを起こさないためにも、その感情を堂々と表に出すのは正しいことではありません。この日本人の複雑な感情が、「日本はすごい」というホルホル番組を大量に生産するエネルギーになっているのかもしれません。
ホルホルに対する海外の反応
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日本でホルホル番組が多く放送されていることを知ったら、海外の人々はどのように感じるでしょうか?奇妙だとか、気味が悪いとか思わないでしょうか?あるいは自国でも自国をホルホルする番組が多く放送されているので、あまり気にしていないでしょうか?
ホルホル番組は海外にはあまり存在しない
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ホルホル番組が多いのは、どうも日本だけの現象のようです。海外では自分の国が最高と思って住んでいる人が大多数(そうでなければ他国へ移住する)なので、あえて自国の長所をテレビ番組でホルホルする必要はない、という考えのようです。
ホルホルするのはアジアだけ?
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自分で自分のことをホルホルする習慣があるのは、アジアの国に多いようです。大半の国が近代国家として発展中で、自分で自分に気合を入れるため「自分の国こそ最高」とホルホルする必要があるためでしょうか。ヨーロッパの国々は、それぞれの国が長い歴史と文化を誇っているにもかかわらず、自画自賛(ホルホル)する発想があまりないようです。
ホルホルはネトウヨ用語?
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ホルホルは、日韓のネットユーザーが自画自賛するときに使う罪のない言葉ではありません。韓国(当時の朝鮮)は1910(明治43)年から1945(昭和20)年まで日本の植民地でした。そのためかなりの日本人、特に戦前の日本を理想と考えているネトウヨの人たちは、韓国や北朝鮮の人たちを見下す傾向があります。
そのため日本人がホルホルという表現を韓国人に使う場合、日本人の韓国の人に対する差別意識がまともに出てくる場合があります。特にネトウヨの人はホルホルを意識的に差別用語として使うことが多いです。
まとめサイト「ホルホル通信~ネトウヨの集まり~」
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ここで「ホルホル通信〜ネトウヨの反応〜」というサイトを紹介します。いろいろなニュースをネトウヨ流に解説し直したサイトで、韓国人や北朝鮮人を見下した解釈であふれています。「自分こそ真のネトウヨである」と自負する人の他は、たとえ日本人であっても、見ていて気分が良いサイトではありません。
そもそも「ネトウヨ」とはどのような人のことでしょうか?本物の右翼と「ネトウヨ」の間にはどんな違いがあるのでしょうか?右翼のスローガンである「七生報国」について調べましょう。また「ネトウヨ」の反対語?としての「パヨク」についても確認しておきましょう。
ホルホルに類似した韓国差別用語
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「ホルホル」は韓国や北朝鮮の人に対する差別語にもなり得るのです。同じような差別用語に「チョン(朝鮮人)」「マンセー(万歳、めでたいとき北朝鮮のアナウンサーがマンセーと叫ぶことから、何かに熱狂することをからかう際に使う)」などがあります。本来は差別用語でない「在日」でさえも、ネトウヨの手にかかると差別用語に変わります。
ここで紹介した言葉は「ホルホル」とは異なって、韓国や北朝鮮の人への明確な差別意識を込めた言葉です。ネトウヨの人が韓国の人とけんかをするために、差別用語を使うのは勝手ですが、そうでない人は絶対に使わないでください。
ホルホル大国アメリカ?
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ただしアメリカ合衆国は別格です。多種多様な民族によって構成される広く複雑な国をひとつにまとめる必要があるためか、この大国はいつも「アメリカ合衆国は偉大だ」と自画自賛(ホルホル)しています。
トランプ大統領のスローガン
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2016年の大統領選挙で、共和党のトランプ候補(現大統領)は「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン(アメリカを再び偉大に)」をスローガンに選挙戦を戦いました。再選を目指す次の選挙では「キープ・アメリカ・グレイト(アメリカを偉大なままに)」をスローガンにするそうです。
このふたつのスローガンは、いずれも典型的な自画自賛(ホルホル)だといわなくてはならないでしょう。そうしてそのようなトランプ氏を熱狂的に支持するアメリカの民衆も、このような自画自賛(ホルホル)のスローガンに酔っているのです。
ホルホルと差別の闇
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「ホルホル」はネトウヨ御用達の用語で、使い方によっては差別的な要素を含んだ言葉にもなり得ます。そもそも「日本は素晴らしい」といったホルホル状態の裏側には、「日本の他の国はたいしたことがない」という見下した感情も含まれているわけで、差別と完全に無縁なホルホル状態は存在しない、と言い切ってかまわないかもしれません。
民族差別について
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民族差別とは、その人が所属する民族によって差別を行うことです。日本では、韓国・朝鮮人や中国人に対する差別が民族差別にあたります。相手を軽べつするために、特定の民族名で(特に差別語を使って)呼ぶ場合もそうです。その人が日本人とは異なる民族であることで、就職や結婚を断られたり、家を借りるのを断られたりすることも差別です。
差別は古くて新しい問題
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韓国や朝鮮の人への差別の問題は、たくさんの人々の地道な活動で不当なものであることが次第に理解され、その結果をマスメディアが社会に伝えたり、学校でさまざまな形で教えたりして、1990年代には一応解決したと考えられてきました。しかし現在、つまり2010年代になって、それらががまた復活する気配があるのです。
「ホルホル」のようなボーダーラインにある言葉だけでなく、もっとあからさまな差別語もネットで見つけることができるのが今の時代です。ネトウヨの人たちは、SNSなどインターネットを通じた発言の匿名性を利用して、1990年代には社会から消えつつあった差別的発言を、インターネット上であっけらかんと行い、再び広めようとしています。
日本にはホルホル本もある!
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近ごろ「日本はすごい!」とか「世界は日本人を尊敬している」といった内容の、日本を自画自賛した本を書店でよく見かけます。現代の日本は「ホルホル番組」だけでなく「ホルホル本」であふれ返っているのです。
戦前からホルホル本はあった!
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ホルホル本は今の日本にだけ存在するのではありません。第二次世界大戦前の1930年代のころにも、やはり日本にはホルホル本やホルホル雑誌が出版されていました。現在の日本の雰囲気が、その頃とどこか似ている、という人もいます。
本でもやはり「日本はすごい」がテーマ
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そのころのホルホル本の内容も、すべて「日本の偉大さはここだ」といったたぐいの話題でいっぱいでした。戦争を前にして言論の統制が進んでいた時代です。庶民はホルホル本のことを「あほらしい」とは口が裂けても言えなかったでしょう。現在はホルホル本の並ぶ本屋の棚を、良く思わない日本人も多いです。
ホルホルの使い方には注意が必要!
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「ホルホル」は自画自賛を表現する言葉です。それだけでなく場合によっては差別用語にもなります。マイナスイメージの強い言葉ですが「ホルホル番組」「ホルホル本」など、ものごとの核心をずばりと突くのに利用できます。
「ホルホル」は絶対に使ってはいけない言葉ではありませんが、使い方を間違えると相手にとても不快な思いをさせることにならないとも限りません。どうしても使いたいときは、ホルホルという言葉が与える効果を十分に理解して、適切かつ慎重な使い方をするようにしましょう。