「底なし沼」の仕組みとは?抜け出せなくなるのは一体なぜ
沼に一度はまってしまうと、生死の境をさまようかもしれない恐ろしい体験をする可能性が高まります。しかし、底なし沼には1m程度の浅い沼もあります。それでいてなぜ脱出が困難であるのか。その理由を紹介します。
泥に圧力がかかると粒子の間の水が押し出される
地中にあるにある水と砂がミックスされ、あのドロドロとした沼になります。沼に人間の体重など外部からの圧がかかると、砂の粒子の間にある水分が一気に押し出されるのです。そうなると、保たれていた水と砂のバランスが崩壊します。
「底なし沼」の泥が固体状になり抜け出せなくなる
人間が底なし沼に入り、泥に圧力がかかると砂の粒子の間にある水分が一気に押し出されますが、そうなると、泥と人間の身体が密着したような状態になります。こうなると、大量の泥が固体のように硬くなり、人間の体と泥がまるで接着剤でくっついているようになるのです。
足の裏に全体重がかかっていることも原因
沼に転落すると、人間の体重は、足の裏という極めて小さな面積の箇所に集中します。その状態でじたばたともがくと、体重が下へ下へと下がっていき、体がじわじわと沼に沈んでいきます。水からの脱出のようにはできないため、事故での死亡率も高くなってしまっています。
「底なし沼」の危険性について紹介!実際にあった死亡事故
ここからは、底なし沼の危険性について実際の事故の事例も踏まえながら紹介します。沼は、普通の地面の色と同化しているケースも多々あり、普通に歩いていてもはまってしまうという事故も起きています。そして、沼の深さが浅ければ安全という認識は事故のもとになります。
深さは関係ない!浅くても「底なし沼」は危険
多くの沼は深さ5m未満で、浅いものでは1m程度の沼もあります。1mであれば、大人なら余裕で顔が出せる深さですよね。しかしそうした油断が沼地で想像もしない大事故を引き起こしてしまうリスクを高めてしまうのです。
たとえ1m程度だとしても、固体のように硬くなった泥に囲まれて、自分の体のバランスをとれる自信がありますか?沼に落ちてしまった際にバランスを崩して顔が泥についてしまったら、そこから起き上がるのは至難の業です。そうなると必然的に呼吸が困難となり、窒息死の危険が出てきます。こう考えると、たとえ1m程度でも侮ってはいけません。
「底なし沼」から抜け出せずに亡くなる人も多数
世界中で沼から脱出できずに命を落とす事故は起きています。年齢関係なく、体力に自信のある大人でも沼から抜け出せずに亡くなっているのです。そしてそうした事故は、特殊な場所ではなく、釣り場やキャンプ場といったごく一般的に人間が訪れる場所で起こっています。
2016年に宮城県大衡村にある八志沼で起こった事故
底なし沼での事故は、最近でも起きています。2016年に宮城県の大衡村にある八志沼で発生した事故です。宮城県内に住む家族4人が八志沼で釣りを楽しんでいました。この沼は、農業用ため池としても使用されており、釣り場としてもポピュラーな場所でした。