ちびしかくちゃんが怖いと話題に!闇を感じるさくらももこの漫画

ちびしかくちゃんの中でも印象的なシーンのひとつに「ちびしかくちゃんがちびまる子ちゃんのアニメを見る」という箇所があるのですが、この部分がまさに、ちびしかくちゃん全体を通して表現されているものの集約的な場面とも言えます。

まる子の気楽さをお手本に

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まる子は自由奔放に振る舞い、家族にも友人にも気を遣うことなく伸び伸び発言し、それでいて愛されている。一方しか子はいつも周囲の理不尽な人物に振り回され、徹底的に自己肯定感の低い性格になってしまっています。

しか子は自分がこんな目にばかり遭うのは、自分に原因があるからだと思っているのですが、客観的に見ると明らかに周りの横暴さだったり状況のせいだったりします。

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自己肯定感が低く、生きづらさを感じている人に「卑屈にならなくても良いんだ、自分は悪くないんだ」という意味を込めて、まる子の気楽さを見習って自由に生きようというメッセージを伝えているのではないかと考えられます。

少しの勇気を持とう

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しか子は自分のウジウジした性格のせいで、周りが一方的に責め立ててくるのだと思っています。筋違いな叱責が大半なので、ここに少しだけ弁解する勇気があったなら、しか子はここまで酷い扱いを受けることはないでしょう。一方まる子は、こういったシチュエーションでは自信満々に言い返す姿がよく見られます。

これは自分の尊厳を守るためにも、少しの勇気が大切であることを暗に語っていると言えます。

しか子が濡れ衣を着せられ責められているシーンもよくありますが、こういう状況では「自分は悪くないと言い切れるときはしっかり言い返す勇気が大切」という教訓が込められていると考えられます。しか子を通して、自信を持つことの大切さと勇気の重要性を伝えているのでしょう。

性格の悪い「だまちゃん」が垣間見せた優しさ?

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作中では相当な残酷キャラとなっている友人のだまちゃんですが、奇跡的に優しさを見せているシーンも存在します。普段、暴君のようにしか子を振り回し罵倒しているだまちゃんが、何気なくしか子にジュースをあげるだけのシンプルな優しさのカットなのですが、いつもの残虐さとのギャップが激しすぎて、たったそれだけの優しさなのに泣きそうになったという人もいるほど。

この意外性溢れるシーンが物語っているのは「どんな人にも普段見えていないだけで別の一面がある」ということでしょう。自分が知っている一部分だけで人を判断していては、気付けないことがたくさん人生にはあるんだというメッセージを読み解くことができます。

作者本人も認める強烈な漫画

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ちびしかくちゃんが単行本化され記念すべき第一巻が発売となった際に、作者本人がインタビューにて「キョーレツな作品になった」とちびしかくちゃんの製作を振り返っていました。パロディを描くにあたって、ベースの漫画自体が自分の作品であるため展開させやすく、そして自身も描いていて楽しいと思える作品だったとのコメントを寄せていました。

原作のちびまる子ちゃんの方がこれだけ世間に愛されたことも、ちびしかくちゃんを誕生させられた要因のひとつであると語っており、作者本人もちびしかくちゃんが相当個性的で癖の強い作品であることを自覚しつつ楽しんで描いていたことが伺えます。

ちびしかくちゃんと追悼文

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惜しくも、2018年6月の掲載が最後となってしまったちびしかくちゃん。さくらももこさんが亡くなったことを受けて、グランドジャンプには追悼文が掲載されました。その際、追悼文掲載ページに使われていたのは遺作となったちびしかくちゃんの原稿。ちびしかくちゃんの登場キャラクターが勢揃いした、賑やかなページに仕上がっています。

さくらももこさん本人に、さくらももこと過ごした楽しい思い出をこれからも思い出してほしいという遺志があったことが記されており、作者の意図が汲み取られた楽しい雰囲気のページとなっており、読者からも悲しいけれど素敵なページだったという声があがっていました。

さくらももこさんのセルフパロディ『ちびしかくちゃん』が深イイ

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さくらももこさんのセルフパロディ作品、ちびしかくちゃんについて詳しくご紹介しましたが、これまでダークさやブラックさのイメージが先走り、ネガティブなイメージを持っていた方も少し見方が変わったのではないでしょうか。

皮肉なストーリー展開の中にも笑いや教訓があり、身につまされる言葉があり、ただ面白いだけの漫画作品とは一味違うことがお分かりいただけたことでしょう。決して暗いだけの話ではなくハートフルな描写もあり、癖になる読後感を与えてくれる奥の深い作品なのです。

ちびしかくちゃんは、刺激の欲しい人、人生に悩んでいる人など、様々な人が笑いながら学びを得られる漫画と言えるでしょう。

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