カラチャイ湖はソ連が隠蔽した世界一汚染された湖!ウラル核惨事の真実も

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強風によって運ばれた放射性物質は、2700平方キロメートルの広範囲にわたり数千人の命を危険にさらしました。東京都の面積が2100平方キロメートルなので、いかに広大な土地が汚染されたことが分かります。政府が放射能汚染を発表するまでの間に放出された放射能は、なんとチェルノブイリ事故の20倍にもなります。

ようやく封印されたカラチャイ湖

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カラチャイ湖の放射能レベルが危険水域を超えたため、政府も対策に出始めます。大勢の作業員によってカラチャイ湖をすべて埋めたてようと、大量の岩を運び入れました。現在はすべてセメントで埋められ、魚や哺乳類などの生物は存在しません。

カラチャイ湖コンクリートで封印

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事故が起こったチェルノブイリ原子力発電所も、コンクリートによる「石棺」で覆われているように、大量の放射線物質を封じ込めるためにはセメントで完全に覆うしか方法がありません。現在のカラチャイ湖は上空からの地図で確認すると、完全にコンクリートの状態となっています。

カラチャイ湖埋め立て作業時間40数年

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ウラル核惨事以前から核廃棄物による汚染が始まっていたカラチャイ湖。事故後はチェルノブイリ事故で放出された放射性物質の総量を超えました。1970年ごろから始まったカラチャイ湖の埋め立ては、完了までになんと40年以上もかかりました。

1回の作業時間12分!

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埋め立ての為、大量の岩や資材をトラックで運んだ運転手たちは、たったの12分で作業を終えなければいけませんでした。なぜなら湖畔の放射線レベルが危険なほど高かったからです。岩を投げ入れて湖畔から離れるまでの間、運転手たちは車がエンストしないかと、恐怖を感じていました。

死の作業工程

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作業員が湖畔にもっとも近づき、岩を降ろす作業に3分以上はかけられませんでした。岩を投げ入れ、すぐにその場を去らなければ、致死量の放射能を全身に浴びてしまうからです。多くの労働者は、死と隣り合わせの作業を繰り返しさせられました。

2015年11月26日カラチャイ湖埋め立て完了

カラチャイ湖を埋め立てすることに決定した日から、40年以上も経た2015年11月26日に作業は完了しました。今からたった4年前に、カラチャイ湖はコンクリートで封印されたのです。つい最近まで、カラチャイ湖で作業が続けられていました。

カラチャイ湖の現在

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40年以上の歳月をかけてようやく埋め立て作業が終了したカラチャイ湖。ソ連の最重要国家機密である核施設並びに、秘密都市の重要な土地として以前から立ち入り禁止であった湖は、現在も当局によって人々の干渉を拒み続けています。

カラチャイ湖周辺は依然として立ち入り禁止

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埋め立て工事は完了しましたが、この危険な湖を維持管理できる技術や経験はどの国も持っていません。あまりにも人間にとって有害なこの湖は、厳しい監視によって立ち入り禁止区域に指定されています。

放射性物質がなくなるまで数千年

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カラチャイ湖に蓄積された放射性物質が安全なレベルにまで消滅するまで、数千年物もの時間がかかると言われています。国内外の専門の研究者達は、放射性物質を移動させるよりも、そのままこの湖に留めておいた方が安全だと述べています。

マヤーク核技術施設は稼働中

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何度も事故が起こり、深刻な放射能汚染を引き起こしたマヤーク核技術施設は、驚くことに今現在も使用済み核燃料の再処理施設が稼働しています。新しく施設を建設することが困難である上に、ロシアで一つしかない再処理施設でもあることから今後も稼働し続けることが確実とされています。

放射性廃棄物は人工湖へ

カラチャイ湖が完全に埋め立てられた後も、核施設の稼働は止まらず放射性廃棄物は溜まり続けます。その廃棄物はマヤーク敷地内の、新たに作られた人工湖に廃棄され続けています。数か所作られていると言われる人工湖は、いずれも高濃度の放射性廃液で満杯となっています。

人工湖から北極海へ注がれる放射性廃棄物

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増え続ける放射性廃棄物を投棄するための湖を作りますが、この湖はカラチャイ湖よりも汚染度は低いものの、地下水の汚染が進んでいます。人口湖から流れ出した地下水は近くのケチャ川を汚染し、オビ川を通ってシベリアを経由し、最終的に北極海にまで到達しているという深刻な事実が判明しています。

カラチャイ湖の絶景画像

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元々は自然豊かなウラル山脈の中にあったカラチャイ湖。周辺では172もの川が流れ、130もの美しい湖がある土地で温泉も多く、大理石、金なども発掘することができました。近隣に住む村の住民は、豊かな自然の中で動物を育て畑を耕し、飲料用の水も川や湖からとっていました。

美しかったカラチャイ湖

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自然豊かで住民に恩恵を与えていたカラチャイ湖は、核関連施設とその増え続ける放射能廃棄物によって、世界一汚染された湖と呼ばれるようになりました。そして今もなお、放射能廃棄物はカラチャイ湖付近に人工的に作られた湖に廃棄され続けています。

死の湖となったカラチャイ湖

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誰も近づくことができなくなったカラチャイ湖は、「世界最悪の放射能汚染湖」と呼ばれ始めます。コンクリートで覆われたため、表面からの放射能汚染は食い止められますが、地下水の汚染は止めようがありません。核施設で作られる汚染された作業着や器具などの廃棄物も、マヤーク敷地内の200か所以上に埋め立てられています。

カラチャイ湖へ観光にいける?

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事故から40年たった現在も当局によって監視、保全されているカラチャイ湖ですが、元の安全な土地に戻るまで何千年もかかるといわれています。今なお、放射性廃棄物が捨てられ続けているので、観光で行く場所でないのは明白です。周辺に住む被害を受けた住民に対して、補償もなく時間だけが過ぎていることからも、観光はお勧めできません。

マヤーク近くの村に住む人々

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マヤーク核施設から北東に約50km離れた場所に存在するカラボルカ村。この村に住む住民が、事故による放射能汚染の被害を知ったのはソ連崩壊後の92年になってからでした。カラボルカ村以外の周りの町や村の住民が、強制移住されていたことすら知らされていませんでした。今もなお村人の多くは、がんや慢性病に侵されています。

カラチャイ湖の放射線汚染から見捨てられた少数民族

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マヤークから北東に約50km離れた場所に、カルボラカ村があります。タタール系の住民が暮らすこの村でも深刻な放射能汚染がありましたが、一部の農場が説明もなく使用禁止になっただけで、周りの村人が避難をしていることも知らされていませんでした。

ソ連崩壊後に知った放射能汚染の真実

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周りの住民が次々と避難していく中、残されたカルボラカ村の住民はいつも通りの生活を送っていました。家庭菜園で採れた野菜、牛から搾ったミルク、川や湖から魚を採って暮らしましたが、すべて高濃度の放射能に汚染されていました。

放射能で次々亡くなる住民

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住民に村の放射能汚染が知らされたのは1992年ごろでした。それまでの間、大勢の村民はがんで亡くなったり慢性の病気にかかっていました。村人からは、放射能汚染による人体実験の為にわざと避難させなかったのではないか、など怒りの声が上がっています。

低すぎる補償金

汚染地域に住み続ける住民は、今も汚染された食べ物を摂取し続けています。政府に対して、カラボルカ村を汚染地域に認定して村人に十分な補償金を出すように要求していますが、返答はありません。同じように取り残されたムスリュモヴォ村の住民は、村から避難すれば保証金が貰えますが、その額が僅かなために村を出ることができません。

毎年行われている住民の健康調査

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長年放射能を含んだ食べ物や飲み物を摂取し続けてる村の住民達に対して、毎年保健機関が放射能レベルや病気などの調査を行っています。調査によって、放射能汚染によるがんの発生率の上昇が明確に分かっています。ですが住民には健康調査の結果は知らされることはありません。

ロシア政府への不信感

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現在、マヤーク周辺では毎時1150マイクロレントゲンが計測されており、遠く北極海までその影響が及んでいます。ですが政府は住民からの質問に、「危険ではない、安全に暮らせる」と返答しています。実際は住民は汚染された土地による外部被ばく、食物による内部被ばくを受け続けています。

 

カラチャイ湖以外の放射能汚染地域

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世界で一番放射能に汚染された死の湖と言われるカラチャイ湖ですが、この地以外にも放射能で汚染が広がっている地域はたくさん存在します。軍事的な核利用はもちろん、平和目的の核利用でも、環境やその土地に住む様々な命に対して、悪影響を及ぼす恐れがあるのです。

チェルノブイリ

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1986年4月26日におこったその事故は、人類史上最悪の原発事故となりました。高レベルな放射能により、遠隔操作の機会が破壊されてしまったこと、放射能の危険を知らされていない作業員が無防備に炉内に入ったことから、最も多くの人的被害を出した原発事故と言われています。

キルギス メイリュー・シュー

アジアで最も放射能に汚染されていると言われるキルギスの「メイリュー・シュー」。中央アジアのキルギス共和国に存在するこの町を囲むように、低品位ウランの廃棄場が存在しています。この国ではレアメタル、金の他に原子力発電に必要不可欠なウランが採掘されていました。ウラン発掘後の産業廃棄物が大気や地下水、人間を汚染しています。

福島

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東日本大震災によって引き起こされた福島第一原子力発電事故は、津波によってすべての電源が消失し、メルトダウン(炉心融解)となるレベル7の深刻な事故となりました。東電による長年にわたる「原発安全神話」は完全に崩れ去り、今もなお自宅に近寄ることもできない住民が多く存在します。

他の放射線に関する事故はこちらもご覧ください。

カラチャイ湖は未だ汚染が続く世界一危険な場所

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人間により生み出された死の湖は、いまなお汚染が続いています。大量の放射能によって人々や土地、水が汚染され今なお有効な解決方法は見出されていません。それでもまだ、核兵器開発を続け放射性廃棄物を生み出し続けることに何の意義があるのでしょうか。

 

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