なんと生方はカウに出資させ改築を終わらせたら旅館を売りに出す腹積もりでした。それに気付いたカウは生方の殺害を決心、実行します。しかし相次ぐ不審な生方夫妻の失踪は周辺で噂となりあえなく事件は発覚。2人は逮捕される運びとなりました。
1966年、裁判で死刑が確定
逮捕後の取り調べにより元旦那の殺害や旅館にかけられた保険金を得、ついでに共犯者・大貫を殺害しようとした旅館放火計画が明るみになり死刑が確定しました。こちらでも夕張保険金殺人事件と同じように保険金を目当てに火を付けようと計画しているのを見ると、犯罪がばれにくく大金が手に入る手段と認識されやすいのかもしれません。
カウの事件は日本を震撼させた事件として有名で、こちらに単独での記事もございます。さらに深く彼女やその事件について知りたい方は是非こちらもご覧になってみてください。ここ以上の情報量でここでは語りきれなかったことも書かれています。
世界にも存在する保険金殺人をする女性
女性が保険金を狙って罪を犯すことは世界的に見ても珍しい事ではありません。ここでは保険金というあぶく銭の美味さに魅了されてしまい道を踏み外してしまった女性犯罪者を取り上げていこうと思います。
ベル・ガネス
最初に紹介する女性の名前はベル・ガネスです。ベルはアメリカ史に残るシリアルキラーとしても名を残しており、2名の自身の旦那となった男性の他、事件発覚のきっかけとなった男性を除くとその被害の全容が見えないほど巧妙に数多くの犠牲者を出しその数なんと100以上ともいわれています。
そんなベルの出身はノルウェーで、旅芸人の父と家族で旅回りをしながら暮らしていたといいます。しかしそれをやめ、田舎の農家として暮らすようになり退屈に耐えられなくなったベルは故郷を結婚相手と共に飛び出してアメリカの地に移り住みました。
旦那の急死
しかし新天地へと渡ってきたはいいものの、やっていることは故郷にいたころとさほど変わりませんでした。子育てと農業に追われ刺激のない日々にいい加減鬱屈していた時、ベルに人生最大の分岐点が現れます。
一緒に故郷を出てきた旦那、マックスが急に亡くなってしまったのです。その時の死因は定かではなく、さらにベルが手にかけたのか、病気か事故での不慮の死かも定かではありません。しかし、マックスが亡くなったことで彼女の手元には多額の保険金と旦那がいないという自由が残ることとなりました。
相次ぐ不幸
その後ベルは慣れ親しんだ土地を離れ、2人の娘と共にシカゴへと渡ります。そして彼女はそこで保険金を資金にして下宿屋を始めます。しかし長くは続きませんでした。開業して間もなく下宿屋は火事になり全焼。ベルはこの建物にかけていた保険金を手にすることとなります。
しかし彼女は諦めませんでした。今度はその資金を元手にパン屋を開業します。が、またしても店は火に包まれ跡形もなくなってしまいます。ベルがやったという証言や証拠は上がってはいないこの2件の火事ですが、まず間違いなく彼女の仕業でしょう。夕張のものとは違い犠牲者が出なかったのが不幸中の幸いといえるでしょう。
再婚するもまた急死
ベルの店で相次ぐ火事に、保険会社も流石に不振に思いベルとは保険契約を結ばないという言葉を突き付けられてしまうベル。火事による保険金奪取はもう望めないと見切りをつけたベルはターゲットを人に移します。広い農場を持つ男性、ピーターと再婚し、彼との子供をもうけ幸せな家庭を築く一方虎視眈々とベルはチャンスを伺っていました。
ベルが考えた最強のビジネス
そろそろ殺人で怪しまれるのも時間の問題だと察したベルは新たなビジネスを思いつきます。ベルは手始めに雑誌や新聞に「資産と教養のある男性と結婚を前提に付き合いたい」という旨の広告を載せます。ベル側のステータスは「若いく見た目も良い未亡人・広大な土地持ち」。これをみた男性たちは我こそはと名乗りを上げベルに殺到します。
ロンリー・ハート・キラー
後にこの手口はこのように呼ばれるようになります。訪れた男性は殺害され、5000ドルはもちろん身ぐるみをはがされて農場のどこかへと葬り去られました。身寄りがない男性をあえて選別していたため事件の発覚にはなかなか至れなかったといいます。
しかし、その状況も終わりを告げます。アンドルーという名の犠牲者がその契機を作りました。彼はベルのお眼鏡にかないたい一心で弟がいるにも関わらず身寄りがないと嘘をつきます。そしてその弟にこれから結婚予定の女性にあいに行くと意気揚々と告げていました。
発覚
しかし女性にあいに行ったきり連絡がない兄を心配した弟はその女性、ベルに連絡を取ります。行方不明だという事を告げると弟は急いでそちらに向かうとベルに告げました。しかし、弟がベルにあうことはありませんでした。
謎・犯人の懺悔
ちなみにこの火事はというと、ベルの愛人兼協力者のレイという男性が起こしたものでした。レイは当然逮捕され、21年の懲役刑を受けます。彼はその懲役のさなか、非常に重要な言葉を漏らしていました。それは牧師への懺悔であったといいます。
内容はというと、なんと「あそこで亡くなっていたのはベルではない」というものでした。適当な浮浪者の首を切り落として遺体を偽装しベルに見せかけたというのです。もしこれが本当ならベルはあの後どうしたのでしょうか。謎の残る後味の悪い事件です。また、彼女に関してこちらの記事にも記載があるので是非ご覧になってみてください。
夕張保険金殺人事件は金に囚われた夫婦が起こした凄惨な事件
ここでご紹介させていただいたどの記事にも言えることですが、保険金という特に何をせずとも手に入る突然の大金というのは本当に人の感覚を狂わせます。悪銭身に付かずとはよく言ったものだとこれらの事件を見ていると痛感いたします。
もし自分自身が保険金を受け取るような事態になってしまったとしても、しっかり後先を考え、計画的に、この大金の魔力に惑わされこのような悪事に手を染めてしまうことがないよう運用していきたいものです。
小林カウについての記事はこちら
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