楳図かずおの家「まことちゃんハウス」とは?外壁を巡る騒動の概要と現在

ホラー漫画家の楳図かずおの家、通称「まことちゃんハウス」は、外壁が赤と白のボーダーでかなり目立ちます。過去にこの外壁を巡り、近隣住民から訴訟も起こされています。この記事では、楳図かずおの家「まことちゃんハウス」騒動の概要と現在についてご紹介します。

この記事をかいた人

1986年生まれ。2児の母。
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楳図かずおの家「まことちゃんハウス」とは?

「まことちゃんハウス」とよばれている家をご存知でしょうか。

「まことちゃんハウス」とは、ホラー漫画家の楳図かずお先生が建てた家です。楳図かずお先生が普段から着ている赤と白のストライプのシャツに合わせて、家の外装も赤と白で彩られていてとても奇抜です。

また、内装も部屋によって色が変わっていたりと、こだわりが強い家であることが分かります。

「まことちゃんハウス」を設計した楳図かずおとは?

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楳図かずおとはどんな人物なのか、紹介していきたいと思います。小学校五年生の時に手塚治虫先生の漫画を読み漫画家になることを決意し、中学高校生になってもずっと漫画を描いていました。

時には授業中にも描き続けていたとか。1955年にトモブック社でプロデビューを果たし念願の漫画家になります。

楳図かずおはホラー漫画家の第一人者

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楳図かずお先生の作品はSF、時代劇、ギャグなど幅広いですが、特に有名なのはホラー漫画です。

1966年に「週刊少女フレンド」で掲載されたホラー漫画「ねこ目の少女」や「へび少女」が大反響を得て、漫画家楳図かずおの名が日本全国に広がりました。

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『まことちゃん』というホラー漫画を描いた

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『まことちゃん』とは、楳図かずお先生の代表作です。

ホラー漫画かと思いきや、ギャグストーリーもあります。幼稚園児であるまことちゃんとその家族が引き起こす、不条理な日常を描いた作品です。1980年には映画化もされるなど、当時の人気は大変なものでした。

和歌山県高野町で産まれた楳図かずお先生は、引っ越しを繰り返し奈良県五條市にて27歳まで過ごしました。五條市に隣接する橋本市から、「まことちゃん像」の設置を希望され、先生が快諾したことによって像が建てられました。

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楳図かずおの「まことちゃんハウス」訴訟問題の概要

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日本全国でホラー漫画家として有名になった楳図かずお先生ですが、2007年にいきなりワイドショーで話題になります。

事の発端は、ご近所トラブルでした。楳図かずお先生が東京都武蔵野市の閑静な住宅地にあった一軒家を改築したことで、近隣の住民に訴えられてしまったのです。

まことちゃんハウス訴訟①2007年に自宅を改築

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2007年に東京都武蔵野市吉祥寺に建てられた「まことちゃんハウス」。赤と白の派手な外壁や、顔を模した物見塔があったり、美登地色の玄関ホールなど、楳図かずお先生のこだわり満載の家です。

まことちゃんハウス訴訟②「景観を損ねる」と近隣住民からの訴え

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奇抜なデザインの「まことちゃんハウス」は、建築途中から近隣の住民による非難の声があがりました。「景観の破壊」「不愉快な建物」と不快感を示され、ワイドショーで毎日報道されるようになりました。

まことちゃんハウス訴訟③建設差し止め仮処分申請へ

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住民は楳図かずお先生に対して建設差し止め仮処分申請を行います。仮処分とは、裁判所による暫定的処置であり現状の維持を命じる決定です。

裁判では時間がかかり、その間に建築が完成してしまうのでそういった手法に出たのですね。

楳図かずお「まことちゃんハウス」裁判と判決

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近隣住民による建設差し止め仮処分申請に対して東京地裁がこれを却下、まもなく住居が完成したので訴訟内容を変更して裁判が行われることになりました。

まことちゃんハウス裁判①住民側の請求を棄却!

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法律上保護すべき景観ではない、と建設差し止め仮処分申請が却下された同じ年、住民は外壁の塗装の中止、外壁の撤去、物見塔に目隠しをしろ、など内容を変えて次々訴訟を行います。

しかし裁判所は、住民側の主張を全面的に退ける判断を出します。

まことちゃんハウス裁判②住民側は損害賠償請求に変更

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裁判が続いている間に建築が完了してしまったので、住民側は訴訟内容を変更します。建物の問題部分が撤去されるまで、損害賠償として毎月10万円の支払いを住民にするよう訴えたのです。

この損害賠償請求はワイドショーやネット上でも、批判の声が大きくなりました。

まことちゃんハウス裁判③請求棄却、楳図かずお勝訴へ

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ワイドショーで騒がれたまことちゃんハウス、裁判所はついに決定を下します。裁判所は原告の訴えている家は景観利益を損なうものではないと判断し、訴えを退けました。

住宅地は閑静な住宅地ではあるものの、奇抜なデザインの家を規制する法律はありませんし、この裁判所の判断は妥当です。

また、訴えを起こしていたのは大勢ではなく、近所に住んでいる数名の住民でした。

楳図かずお「まことちゃんハウス」ネットの反応は?

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裁判で勝利し、晴れて「まことちゃんハウス」で生活ができるようになった楳図かずお先生。裁判での完全勝利に、喜びを隠せませんでした。

住民の訴えが度を越したものであった為、最初から楳図かずお先生に対して同情する声や非常識な住民に怒りの声があがるなど、ネット上でも先生への応援が多く寄せられていました。

楳図かずおの家への反応①訴訟はいちゃもんのように思える

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購入した土地に、好きなデザインの建物を建てることは法律で禁止されていません。

訴えた住民は、「まことちゃんハウス」の存在が景観の破壊であると主張しましたが、実際出来上がった家はストライプこそ目立つものの、楳図かずおさんらしいお家としてネット上では受け入れられていました。

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