邪淫とは?
「邪淫」とは、ここ数年インターネットで人気となった言葉です。いろいろな使い方ができるこの「邪淫」という言葉は、YouTubeやTwitterなどで引っ張りだことなりました。
邪淫の意味と元ネタは?
そもそも「邪淫」とは本来どういう意味でどのような由来を持つ言葉なのでしょうか。ここでは人気となった「邪淫」の本来の意味や元ネタについてご紹介します。
邪淫とは本来「仏教用語」
邪淫とは、もともとは仏教の五戒の一つ「不邪淫の戒」に由来する言葉で、「配偶者ではないものとの性行為」または「してはならない行為」という意味があります。
また、同じ仏教用語としては十悪というものもあり「殺生」や「偸盗」などとともに「邪淫」も入っています。こちらは「よこしまな男女の交わり」という意味を持っています。
ちなみに、仏教の五戒とは、不殺生の戒、不偸盗の戒、不邪淫の戒、不妄語の戒、不飲酒の戒のことを言います。
邪淫は不倫の隠語でもある
邪淫は「配偶者ではないものとの性行為」や「よこしまな男女の交わり」という意味を持っています。そのことから不倫の隠語として使われることがあります。
元ネタとなった邪淫は子どもの自慰行為防止の説法
さて、邪淫という言葉が世間に広く知られるようになった元ネタは、オウム真理教の教祖・麻原彰晃の説法動画からきています。この動画の中で麻原彰晃は子どもたちに自慰行為はしないようにと説いています。
つまり、オウム真理教と麻原彰晃は自慰行為を「してはいけない行為」(邪淫)としてとらえていたのです。
邪淫が広まったのは動画の影響!
邪淫が広まったのはYouTubeやニコニコ動画などの動画の影響がとても大きいのですが、その動画とはどういうものなのでしょうか。
ここでは、オウム真理教が子どもたち向けに制作した自慰行為をやめさせる(又はさせない)ために作った説法動画と「ammy兄貴」の朗読動画の2つを紹介します。
「邪淫について、お話しします」がネットで公開
邪淫の元ネタとなった「邪淫について、お話しします」という動画は、オウム真理教の教祖・麻原彰晃が信者の子どもたちに対して自慰行為をしないようにと説いた説法を収めたものです。
この中で麻原彰晃は、自慰行為を邪淫のひとつとしてとらえ、独特な口調と間の取り方、表現で、子どもたちに自慰行為(「邪淫」)をしないようにと説いています。
この動画は、2007年に「【某宗教集団が使用】子どもにオ〇ニーをさせないための説法」というタイトルでニコニコ動画にアップされ、その内容と独特な口調、間の取り方、字幕などがウケてネット上で流行しました。
「ammy兄貴」の朗読動画で「邪淫」がさらに有名に
2011年には「変態糞親父による邪淫について」と題する動画を「ammy兄貴」さんが投稿します。
その内容は、麻原彰晃の「邪淫について、お話しします」の文章を朗読するもので、この動画により邪淫という言葉は元ネタを離れさらに広がりを見せるようになります。
邪淫の説法がネタと化した理由
なぜ、もともとは麻原彰晃の自慰行為を禁止する説法の中の言葉であった「邪淫」がネタとして流行するようになったのでしょうか。ここでは、ネタと化した要素について考えていきます。
邪淫のネタ要素①独特の間と字幕
一つ目には、麻原彰晃の独特の語り口調と間の取り方、そしてその間に合わせて一語一語出てくる字幕が面白く興味を引いたためという点があげられます。
邪淫のネタ要素②トイレ掃除を連想させるフレーズ
二つ目には、麻原彰晃の自慰行為を防止するための説法には「おしっこをする所」、「こすりつける」というフレーズが出てきますが、このフレーズがトイレ掃除を連想させるためという点があげられます。
邪淫のネタ要素③内容の汎用性が高い
三つ目には、説法に出てくる〇〇するのは「やめようね!」とか〇〇のために「生きようね!」などというフレーズは、汎用性が高く、いろいろな場面で応用できるという点があげられます。
「邪淫」人気はネットでさらに広がる
「邪淫」の人気はネットを通してさらに広がりを見せます。ここでは「邪淫」が元ネタを離れネット上でいろいろなものに派生していった様子をまとめてみます。
「邪淫について、歌います」が登場
2017年には、「しゅがー」さんが、元ネタである麻原彰晃の「邪淫についてお話します」に曲をつけた「邪淫について、歌います」を投稿し、評判となりました。
アニメボイス朗読や「粉雪」に乗せた邪淫も登場
2015年には「邪淫について」というアニメボイス朗読が、2018年にはレミオロメンの名曲「粉雪」にのせた「邪淫について」という動画が投稿されています。
ゆゆうたの「邪淫について、お話しします」
YouTuberの「ゆゆうた」さんは、2017年に元ネタと同じ「邪淫について、お話しします」と題した弾き語りを投稿したのをはじめ、「邪淫」に関する投稿を何度もしています。
また、前述のレミオロメンの「粉雪」にのせた「邪淫について」という動画を投稿したのもこの「ゆゆうた」さんです。
邪淫元ネタ動画のコメント増量版も登場
「邪淫」という言葉が流行し、投稿する人もコメントする人も増えたため、2017年には邪淫元ネタ動画のコメント増量版も登場するようになりました。
「蛇陰」というフリーホラーゲームも登場
さらに、2017年にはYouTubeに「邪淫」を元ネタとしたと思われる「蛇陰」というフリーホラーゲームが投稿されています。
「粉粉粉粉粉さん」が制作したこのゲームの中でも元ネタである麻原彰晃の自慰行為をさせないための説法が使われています。
邪淫の説法はネタとしてツイートされることも
Twitterでは、「〇〇しようね!」とか「〇〇はやめようね!」など、麻原彰晃の「邪淫についてお話します」を元ネタとしたと思われるツイートが見られます。
中には「邪淫」を単なる「淫夢ネタ」だと思って使用している人もいますが、今まで説明してきたとおりそれは間違いです。
邪淫についての診断メーカーまで登場!
また、ネット上には邪淫についての診断メーカーまで登場しますが、ここでも麻原彰晃の自慰行為を防止するための説法が元ネタとして扱われています。
さて、「邪淫」はネットによって人気となり次々と派生していった言葉ですが、ネットによって人気が出て派生した言葉に「ヨシ猫」があります。「ヨシ猫」に興味があるかたはこちらをご覧ください。
「邪淫」説法を発信したオウム真理教と麻原彰晃
「邪淫」説法を発信したオウム真理教と麻原彰晃ですが、彼らは、地下鉄サリン事件や松本サリン事件、坂本弁護士一家殺害事件など数々の凶悪犯罪を引き起こしました。
また、独自の教義で殺人(ポア)を正当化し、教祖・麻原彰晃を頂点とする国家を模した組織を作り、武装化計画まで推し進めていました。
ここでは、この凶悪なテロ組織とも言えるオウム真理教の邪淫に関する教えやこの教えに反する麻原彰晃のハーレムについて説明していきます。
オウム真理教の十戒
オウム真理教には信者が守るべき戒律として、「不殺生の戒」や「不偸盗の戒」、「不妄語の戒」、「不悪口の戒」など10の戒律(十戒)がありました。
そして、この十戒を破った信者は破門になったり、首輪の刑や残飯の刑といった罰が科されたりしました。
オウム真理教には「不邪淫の戒」がある
仏教の五戒になぞらえて作られたオウム真理教の十戒の一つには、仏教の五戒と同様に「不邪淫の戒」がありました。
この「不邪淫の戒」に基づき、信者たちは自分の配偶者や恋人以外との性行為や自慰行為を固く禁止され、たとえ夫婦であっても出家したら別々に住むことを強制されていました。
オウム真理教では、配偶者以外との性行為(不倫・浮気)たけではなく、自慰行為まで禁じられていたのが特徴的です。
一般人は業が深いために不邪淫を貫くべきとの教え
この「不邪淫の戒」は、一般の人たちは最終解脱者である麻原彰晃とは違い、業が深く未熟なため不邪淫を貫くべきであるという教えに基づいています。
しかし、この教えには、最終解脱者である麻原彰晃が抱える身体的なコンプレックスが根底にあったともいわれています。
麻原彰晃自身は「ダーキニー」を侍らせていた
一方、教祖の麻原彰晃自身は、自らを最終解脱者と称し、「不邪淫の戒」を含む全ての戒律を超えた、戒律に縛られない存在として位置付け、自分が気に入った女性信者を集めハーレムを作っていました
このハーレムに集められた女性信者たちのことを「ダーキニー」と呼んでいましたが、その数は30人を超えていたと言われています。