日本人の不倫に対する考え方は、時代とともに変化してきています。ここではその変化について解説します。
江戸時代以前
江戸時代以前の日本では、現在に比べて性に関する考え方は大らかで、寛容なものでした。
不倫に関しても同様で、一夫多妻制が認められていたこともあり、(当然個々の事情にもよりますが)、不倫をしても許されるという風潮がありました。
江戸時代には、「不義密通罪」という不倫した者を罰する法がありましたが実際にはあまり厳しく適用されてはいませんでした。
明治時代以後
明治時代になると様相が一変します。欧米の思想を取り入れた民法が制定され、一夫一婦制が導入されたのです。
また、刑法には「姦通罪」が設けられました。日本人の間に「不倫=悪」という考え方が根付いたのもこの頃です。
そして、この考え方が現在まで受け継がれて「不倫は悪いこと」というイメージが定着し、不倫や浮気をした人に対して、厳しい批判の目が向けられるようになったのです。
邪淫(不倫)に関する小説
邪淫(=不倫)は小説の題材としてもよく取り上げられています。ここでは邪淫すなわち不倫や浮気を題材として書かれた小説について、いくつか紹介します。
邪淫に関する小説①:.椿山課長の七日間
著者は浅田次郎で、舞台化、映画化、テレビドラマ化された作品です。
この作品は、過労死した百貨店の課長・椿山和昭が、正体を明かさないことを条件に初七日が終わるまでの間だけ美女の姿で現世に戻されて、生前には知らなかった過酷な現実を知るというストーリーになっています。
その中でもとりわけ、妻の由紀が部下の嶋田と椿山の生前から愛人関係にあること、そして、息子の陽介が母の不倫に傷ついていることを知り打ちのめされることになります。
邪淫に関する小説②:失楽園
渡辺淳一が、有島武郎の心中事件をモチーフに書いた恋愛小説で、映画化、テレビドラマ化された作品です。
この作品は、妻子ある出版社の編集者久木祥一郎が、カルチャーセンターで書道の講師をしている松原凛子という美しい人妻と出会って恋に落ち、最後はすべてを捨てて心中するというストーリーになっています。
この作品は、過激な性描写が話題となり、特にラストの心中シーンは衝撃的なものとなっています。「失楽園」というタイトルは映画公開当時流行語にもなりました。