トラバサミは使用禁止の危険な罠!問題点や発見した時の対応をご紹介

アメリカでは毛皮の需要が少ないため、捕らえられた動物の毛皮は大半が輸出されています。年間で5万匹を超える動物達が命を奪われ、その毛皮はトラバサミの利用が禁止されている欧州などの高級店へ送られています。

トラバサミの違法利用で動物にも深刻な被害が

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トラバサミは「環境大臣が許可したケース」や「事業の妨げとなる害獣の駆除」以外の目的で使用すると違法になります。トラバサミを違法に利用した場合は刑罰が科せられます。

「害獣の駆除」は、鼠などの小さな動物に使う場合のみが対象となります。小さな動物用のサイズではなく、猫くらいの大きさの動物にも使用できるサイズを設置してしまうと、違法になる場合が多いです。

私有地に設置された罠は撤去されることが少なく、強制的な撤去も難しいという現状から、違法利用された罠が放置され、近隣に住む人や動物に被害を与えています。

トラバサミで猫が負傷

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現在の日本では、庭や家庭菜園を野良猫に荒らされないように、トラバサミを設置する一般の民家が増えています。一般の民家なので、「事業の妨げとなる害獣(鼠などの小型の動物)の駆除」が目的ではありません。

一般の民家では「野良猫の侵入を防止すること」を目的として設置するケースが多く、小型用ではなく中型のものを利用しています。「緩衝材がついていないトラバサミ」を違法に設置している民家もあります。

許可を得ている場合でも、標識をつけずに罠を設置すると違法になりますが、一般の民家では「トラバサミが設置してある」と表示するのみで、設置位置を明確にする標識をつけていない違法利用が多く見うけられます。

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「野良猫の侵入を防止すること」を目的として設置するケースが多いため猫への被害が多く、そのまま死亡してしまうケースもあります。標識のない罠の違法な設置は、子どもが挟まれる危険もあります。

東京都の公園に設置されたトラバサミに猫が挟まれ、そのまま死亡している姿が発見されたケースや、飼い猫が罠に掛かり、挟まれた際に負った怪我が原因で、数時間後に死亡したケースも報告されています。

トラバサミを違法に販売している業者もいる

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使用・販売が規制される前は、ホームセンターなどの小売店でトラバサミが店頭販売されていました。現在はトラバサミを扱う小売店が少なくなり、誰もが容易く店頭で購入できる状況は改善されました。

現在でも、違法な販売を続けている業者も存在します。通信販売のサイトでは千円台のトラバサミが違法に販売されており、求めやすい価格なため、通信販売に抵抗がなければ容易く入手できてしまいます。

トラバサミを使用することの問題点

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トラバサミは、選び方や使い方次第で非常に残酷な罠となり、動物や人間に大きな被害を及ぼす可能性があるため、各国で使用に対する批判の声があがり、80ヶ国以上の国が使用を禁止しました。

トラバサミの問題点①無差別に被害が及ぶ

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トラバサミは、罠についた板を踏むと自動で獲物を捕らえる仕組みになっているため、獲物の選別ができません。板を踏むのが人間や絶滅危惧種であっても罠は作動するのです。

罠は獲物に気づかれない場所に設置するケースが多いため、人間が掛かってしまう可能性もあります。「ギザギザの刃がついたトラバサミ」や「大型動物用のトラバサミ」に掛かってしまうと酷い怪我を負うでしょう。

「大型動物用のトラバサミに掛かった猪の肘関節が、腱と皮のみで繋がっている状態だった」という害獣駆除業者の話もあります。大型動物用の刃は、人間の足の骨も粉々にしてしまうほどの威力があります。

トラバサミの問題点②掛かった生物に苦痛を与える

トラバサミは、自動で獲物を捕らえる仕組みの猟具であり、罠の外し方を知らないものは安全に逃げることができません。誰かが気づいて助けてくれるか、足を切断して逃げ出すまで苦痛が続く罠なのです。

「学術研究」などの目的で設置した罠なら、頻繁に人が確認に訪れるため苦痛な時間は短くて済むでしょう。しかし、一般の人が設置した罠の場合、数日間確認に来ないことも考えられます。

設置した本人が忘れてしまった場合、誰かが気づいて撤去しない限り罠は放置されたままになります。そんな罠に捕らえられた獲物は、足を切断して逃げ出すか、死ぬまで苦しむことになります。

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