トラバサミは、獲物に与える威力が強く、長時間苦痛を与える残酷な罠です。現在でも様々な国で利用され、日本国内でも違法な利用による被害が続いています。
トラバサミは「虎挟み」が由来
トラバサミを漢字で記すと「虎挟み」になります。大型動物の捕獲に利用されることが多かったため、「虎」の如く大きな動物を「挟む」という意味の名前になったと考えられています。
世界には避けられなかった獣害事件が数多くあります。様々な被害を乗り越えてトラバサミなどの罠が生み出されました。人食い虎や羆による『世界三大獣害事件』を詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
トラバサミは英語で「ベアートラップ」
日本語では「トラバサミ」と呼ばれていますが、英語では「ベアートラップ(Bear Trap)」や「レッグホールドトラップ(leg hold Trap)」と呼ばれています。
熊が多く生息する地域では、熊の捕獲に利用されることが多かったため、「ベアートラップ(Bear Trap)」という名前になったと考えられています。
日本にも熊が生息しています。中でも北海道に生息する羆は体が大きく、暴れる羆はトラバサミでも止められないかもしれません。人食い羆による『三毛別羆事件』を詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
トラバサミは第一次世界大戦で罠として使用された
第一次世界大戦では、対人用の罠としてトラバサミを利用した国があります。敵軍の突撃を防ぐため、落とし穴の穴底に無数のトラバサミを設置したのです。
第一次世界大戦では威力の強いトラバサミが使われたため、穴に落ちた上にトラバサミに掛かり、足に障害が残ってしまった兵士も多数いたと言われています。
トラバサミは狩猟や害獣用としても使用されてきた
罠を使った狩猟は「罠猟」と呼ばれ、銃を使う「銃猟」よりも入手や手続きが手軽なため、狩猟を始める場合は「罠猟」から始める人が多く、トラバサミも手軽な罠として狩猟に使われてきました。
自動で動物を捕らえるトラバサミは、狩猟だけではなく害獣用としても管理がしやすいため、害獣用の罠としても世界各国で使われ、人を守る反面、たくさんの動物の命を奪ってきました。
日本では2007年から狩猟でのトラバサミの使用が禁止に
80ヶ国以上の国が、トラバサミを危険で残酷な罠だと認識し、使用を禁止しました。日本も同様の認識をしたため、2007年(平成19年)には法律を改正し、トラバサミを使用した狩猟を禁止猟法としました。
環境大臣が許可したケースに限りトラバサミを利用できます。「緩衝材のついていないトラバサミ」では環境大臣の許可は下りません。環境大臣が許可したケースであっても、「標識のないトラバサミ」は違法になります。
農業従事者などの「事業の妨げとなる害獣の駆除」には、トラバサミに関する規制は適用されません。「事業の妨げとなる害獣の駆除」は、鼠やモグラなどの小型の動物のみが対象になります。
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トラバサミはダンボールで自作できる?
ダンボールや紙コップを使って玩具を自作し、その動画を公開している海外の投稿者「Mr. HotGlue’s Family」が、ダンボールでトラバサミを自作している工程を公開しています。
トラバサミは簡単な仕組みなので、玩具の制作工程も複雑ではありません。必要な材料や道具も、グルーガン以外は一般家庭にあるもので作ることができます。グルーガンは100円均一でも購入可能です。
鉄の本体部分をダンボールや木材で作り、駆動部分のバネを輪ゴムで代用しています。ダンボールで作られた刃でも威力はあるので、作った後は管理や怪我に注意が必要です。
トラバサミはゲームや映画にも登場している
「獲物に刺さるギザギザの鋸歯形の刃をしたトラバサミ」は、威力も強く見た目も痛そうです。トラバサミは見る者に痛さや威力が伝わりやすいため、ゲームや映画にも定番の罠として登場しています。
トラバサミが登場する作品①デッドバイデイライト(DBD)
デッドバイデイライト(DBD)はオンラインのアクションゲームです。キラー(殺人鬼)とサバイバー(生存者)に分かれて対戦し、サバイバルを行います。ホラーゲームなので心臓の弱い方には向かないゲームです。
キラー(殺人鬼)とサバイバー(生存者)には様々なキャラクターがいるので、その中からキャラクターを選ぶことができます。キラー(殺人鬼)の中に「トラバサミ」を使う『トラッパー』というキャラクターがいます。
キラー(殺人鬼)には映画「SAW」に登場する『ピッグ』というキャラクターもいます。「SAW」の代表的な拷問装置「逆トラバサミ」を使います。「トラバサミ」は捕獲用ですが「逆トラバサミ」は殺人用です。
トラバサミが登場する作品②ARK
ARKはオープンワールドのアクションゲームです。恐竜や古代生物がいる島で、「ライフラインを自分で確保する」「物を作る」「恐竜と戦い手懐ける」など、サバイバル生活を送りながら島の謎を解いていきます。
ARKでは作業台でトラバサミを作ることができ、恐竜の足止めに役立ちます。サイズが2種類あり、恐竜の大きさによって使い分けます。足止めできる時間が短いため、他の道具と合わせて効果的に使いましょう。
トラバサミが登場する作品③風来のシレン
人気シリーズ「不思議のダンジョン」の2作目となる「風来のシレン」は、探索しながらダンジョンの奥へと進んでいくタイプのRPGです。「風来のシレン」もシリーズ化しています。
「不思議のダンジョン」ではトラバサミは定番の罠です。罠に掛かると一定のターン徒歩での移動ができなくなります。罠からのダメージはなく、アイテムの使用や戦闘が可能な上、ワープなどを使った移動はできます。
危険度の低い罠として扱われていますが、強い敵から逃げている時などにトラバサミに掛かると全滅する危険があります。近年では「影縫いのワナ」が代わりに登場し、トラバサミは登場しなくなりました。
トラバサミが登場する作品④SAW
「SAW」は連続殺人犯ジグソウやジグソウの後継者などが、被験者に生命をかけたゲームを強制するサイコスリラー映画の人気シリーズです。シリーズ(全7作品)全てに「逆トラバサミ」は登場しています。
「逆トラバサミ」は人間の頭や口に装置を取り付け、開く方(トラバサミとは逆)に向けて装置を動かし、人間の顎を引き裂く仕組みの拷問装置です。「逆トラバサミ」は、鍵を手に入れて外すのが正しい外し方です。
トラバサミが登場する作品①でご紹介したデッドバイデイライト(DBD)に登場する『ピッグ』というキャラクターと「逆トラバサミ」は、この映画が基になっています。ゲームでは鍵を使う外し方以外では外せません。
「トラバサミ」は使用禁止「くくり罠」は規制が強化された
トラバサミ利用が禁止されたのと同じ時期に、規制が強化された猟具があります。くくり罠というワイヤーとバネを組み合わせた猟具です。規制が強化される前は、人間や動物に大きな被害を及ぼす可能性のある罠でした。
くくり罠はワイヤーの輪の中に仕掛けがあり、仕掛けを踏むとストッパーが外れ、ワイヤーの輪が締まる仕組みになっています。仕組みにはバネが使われているため、ワイヤーの輪は素早く締まり獲物を捕らえます。
くくり罠はトラバサミと同様に、「狩猟者登録証」または「捕獲許可証」を取得する必要があり、標識をつけずに設置した場合は違法になります。輪の大きさやワイヤーの太さ、罠につける装置に規制があります。
「くくり罠」はトラバサミと同様に危険な罠
くくり罠はトラバサミと同様に、自動で獲物を捕らえる仕組みになっているため、獲物の選別ができません。罠の外し方を知らないものは、誰かが気づいて助けてくれるか、足を切断して逃げ出すまで拘束され続けます。
くくり罠はトラバサミほどの威力はありませんが、「締め付けを防止する装置がついていない違法のくくり罠」は、無理に抜けようとして引っ張ると、ワイヤーが際限なく締まるため、足が切断される危険があります。
人間や熊が誤って罠に掛かってしまわないために、輪の大きさは直径12cmまでと規制されていますが、鹿や猪を捕らえたい場合は12cmでは小さいという理由で、規制を緩和している自治体もあります。
「くくり罠」に掛かってしまったら正しい外し方を
自分やペットが、くくり罠に掛かってしまった場合、正しい外し方を知らずに無理に引っ張ると大変危険です。くくり罠のワイヤーは丈夫で切るのが困難なため、罠の仕組みを知り、正しい外し方で安全に解除しましょう。
くくり罠の外し方は、一般的な形であればワイヤーの途中に筒状の調節装置があり、調節装置のネジを緩めるだけです。緩み防止金具がついている場合は、怪我に注意しつつ、金具部分のワイヤーを手で緩めます。
くくり罠は自作する人もいるため様々なタイプがありますが、基本の外し方は同じです。ワイヤーを締め付けているバネを緩めるとワイヤーも緩む仕組みなため、バネの調節が出来る部品(ネジなど)を見つけましょう。
動物を傷つけにくい「箱罠」と「囲い罠」
「箱罠」や「囲い罠」は、「トラバサミ」や「くくり罠」とは違い動物を傷つけにくい罠です。捕獲したい獲物を餌付けし、警戒心が薄れた頃に誘引して捕獲します。他の動物が掛かった場合も傷つけずに逃がせます。
「箱罠」や「囲い罠」は、獲物が餌を求めて罠の中に入ると仕掛けが作動し、出入り口の扉が閉まる仕組みになっています。人間が掛かる可能性は低いですが、ペットが掛かってしまうことはあります。
「箱罠」や「囲い罠」は、「トラバサミ」や「くくり罠」と比べると高価で設置に手間がかかります。餌付けによって、他の害獣を引き寄せる危険があるため、餌の種類や量、設置場所を考慮して運用する必要があります。
様々なタイプの「箱罠」がある
箱罠は板や金網などでできた箱型の罠です。「鼠用の小さい箱罠」や「熊用の大きな箱罠」など、獲物に合ったサイズを使います。大きな箱罠には、キャスターやタイヤがついたタイプもあります。
基本的には1つの箱罠で1頭しか捕獲できませんが、複数頭の捕獲ができる箱罠も存在します。箱罠の設置は「狩猟者登録証」または「捕獲許可証」を取得する必要があり、標識をつけずに設置した場合は違法になります。
「囲い罠」は条件を満たせば狩猟免許が不要
囲い罠は柵や杭などで周りを囲った罠です。天井の半分以上を塞いでしまうと「箱罠」になります。箱罠よりも囲い罠の方が高価で設置に手間がかかりますが、使い方次第で多くの獲物を1度に捕獲できます。
囲い罠は条件を満たせば狩猟免許がなくても設置・運用できる特例があります。囲い罠の設置・運用を検討している方は、自治体に確認してから設置しましょう。標識は全ての罠に必要なので必ずつけましょう。
トラバサミは動物愛護に反する危険な罠
トラバサミは、罠の外し方を知らない子どもや動物が掛かってしまった場合、誰かが気づいて助けてくれるか、足が切断されるまで苦痛が続く非常に残酷な仕組みの罠です。
違法なトラバサミは動物や人間に大きな被害を及ぼす可能性があります。都会の公園や団地の中、森林や山の中で、罠に掛かったまま死亡してしまう動物もいます。手足が千切れてしまった動物もいます。
トラバサミは動物の愛護に反する上、人間にとっても非常に危険な罠です。そのため、世界各国で禁止・規制されています。日本国内でもトラバサミの利用は原則禁止になっているため、使わないようにしましょう。
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