幻の巨大ザメ「メガマウス」サイズ4m超え、重さ1t超えのサメの生態や特徴は?

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幻の巨大ザメ「メガマウス」

メガマウスとは

「幻の魚」と聞くととどんな魚が思い浮かんできますか?「シーラカンス」「リュウグウノツカイ」「ネッシー」(ネッシーは幻の魚というより「想像上」の生き物でしょうか。。。)。世間には様々な「幻の魚」が存在しますが、今回はその中から「メガマウス」を様々な画像とともにご紹介します。いったいどんな魚なんでしょう?

最近話題になったのは?

2017年5月千葉県館山市で発見され、メディアでも大きく取り上げられました。世界でもあまり発見数が多くなく、日本でも十数頭目の発見だったこと、その見た目が特徴的なこと、特に世間の目をひく「地震」との関連性があることなどから、報道系のメディアだけでなく芸能系の週刊誌にまで取り上げられ、ちょっとしたフィーバーとなりました。

メガマウスの分類

メガマウスは科学的には何類?

メガマウスザメ、通称「メガマウス」は、ネズミザメ目メガマウスザメ科に属する魚で「サメ」の仲間です。ただ、非常に特異なサメでメガマウスザメ科メガマウスザメ属は「メガマウス」のみで構成されています。

メガマウスの所属する「ネズミザメ目」って?

ネズミザメ目は世界中の熱帯から温帯に広く生息する海水魚です。有名なところでネズミザメや巨大なホホジロザメがいます。特に「ホホジロザメ」(よくホオジロザメと呼ばれますね)は人食いザメとして悪名高いですね。(ちなみに「メガマウス」は人を襲わないのであしからず。)

「ホホジロザメ」 メガマウスと同じく大きな身体が特徴的ですが、メガマウスと違い鋭いキバを持っています。映画「ジョーズ」に登場したことで一躍その名前が世に知れわたりました。100リットルの水にたった一滴、血が混じっただけでも獲物を見つけることができます。

メガマウスの特徴は?

「メガマウス」はまだ厳密に発見されてからそんなに日が長くありません。一番古く標本として捕獲された個体は1976年にアメリカのハワイ、オアフ島沖で発見された個体であり、その歴史はいまだ約40年程度。その存在自体は以前から知られてはいましたが、その実態が解明されてきたのは最近のことです。

メガマウスの特徴① 大きな形態

なんといっても「口がデカイ」

顔から口が飛び出すかのような、本当に大きな口をしています。サメというよりイメージはクジラのような口です。それもそのはず、「メガマウス」はクジラと同様にプランクトンを主食としているため、大量のプランクトンを海水とともに摂取しなければなりません。そういった主食を採り入れるのに適した口をしている、というわけです。ちなみに和名もそのまま「大口鮫」と昔から呼ばれています。同一種であるかは確定できませんが、日本ではずっと昔から「メガマウス」に親しんできたのかもしれません。

サイズも大きい!

今まで見つかった「メガマウス」の最大のものはなんと全長約7メートルもあります。多くの「メガマウス」もそのほとんどが4メートルを超えてきます。7メートルというとちょうどビルの2階の天井部分がその高さですので、いかに大きな身体をしているかがわかります。また、口だけでなく飛び出した頭も丸く大きなシルエットをしていることが特徴です。

重量なんと1t超え!

2017年5月に千葉県館山市の沖合で水揚げされた「メガマウス」は、重さが1tを超えるものでした。2016年4月に三重県尾鷲市の漁港に水揚げされた「メガマウス」も同様で、成熟したメガマウスはどれも1tを超えてくる巨体の持ち主。2014年4月に静岡県静岡市清水区の由比漁港に水揚げされたものは約700キログラムでしたが、この個体は東海大学海洋科学博物館で公開解剖されたところ、まだ妊娠経験のない未成熟な若い「メガマウス」であることがわかりました。まだ成熟しきっていない段階から大きな身体をもつことがわかります。

メガマウスの特徴② 胸びれ

ゆっくりと泳ぐ「メガマウス」

「メガマウス」は、ジンベエザメやウバザメを含めた数少ないプランクトンを主食とするサメです。ただ積極的に泳いでエサを吸引する「ジンベエザメ」とは違い、「メガマウス」はゆっくりと回遊しながらプランクトンを口に流しいれてろ過摂食しているのではないかと考えられています。

他のサメと違う特殊な胸びれ

沖縄美ら海財団と北海道大学、東海大学の共同研究グループの調査によると、「メガマウス」の胸びれは、他のサメと違う特殊な構造をしていることがわかりました。つまり、「メガマウス」の胸びれは他のサメと違い非常に高い可動域を持っているのです。通常魚の胸びれは、その魚の持つ遊泳スタイルに依存しますが、「メガマウス」はこの自由自在に動く胸びれを持つことで、遅い速度でも身体を安定化させることを可能にし、プランクトンを上手に摂食することを可能にしています。

メガマウスの生態って?

「メガマウス」は世界的にみてもまだ60例ほどしか発見されていないため、その生態はまだ謎につつまれています。「幻の魚」と言われる由縁ですね。しかしこれまでの研究から、その実態が少しずつ明るみに出てきています。また、日本では十数件の比較的多い発見例から、多くの知見が発表されています。

メガマウスの生態① 生活形態

主食はプランクトン

「メガマウス」はプランクトンを主食としていて、その特徴的な大きな口を前方に突き出して開き、海水とともにプランクトンを飲み込んでろ過摂取します。歯は海水からプランクトンをろ過するためにとても小さく、ヤスリのように列になっています。口内が銀色の輝くような色をしており、これがプランクトンをおびき寄せる役割を果たしていろのではないか、という推論もなされています。

昼は深海、夜は浅いところ

1990年カリフォルニアのデイナポイントの沖合で見つかった「メガマウス」は、発見当初まだ生きていたため、タグを着けて海に帰されたことで1日の生活形態を把握することができました。その結果、昼間は約200メートルの深海で身体を休めており、日が落ちると水深20メートルの浅いところまで上がってきてエサのプランクトンを食べることがわかっています。つまり「メガマウス」は「夜行性」ではないかと推測されています。

メガマウスの生態② 生息地域

太平洋およびインド洋などの熱帯から温帯に住んでいると考えられています。また、熱帯域でのみ小型の個体が発見されることから、産卵は熱帯域で行われ、その後温帯域へと移動するのではないかと推測されています。日本や台湾での発見が多いですが、これは「メガマウス」が生息する水域、水深での漁業が両国で盛んであるという文化的要因があるためで、両国海域が主たる生息域と同義ではありません。

メガマウスの生態③ 生息数

「メガマウス」の生息数については、その発見例自体があまりないことから詳細なことはわかっていません。これまで合計60件ほどの報告例がありますが、深海性の魚であることから死亡してみつかることも多く、生きていてもその自重から水揚げされると潰れてしまうため、生きたまま水族館等に引き渡されることも困難です。現在日本で展示されているのは全て生体標本となります。

メガマウス発見の歴史

初めはハワイから

「メガマウス」が初めて発見されたのは、何と観光地で有名なハワイオアフ島沖です。1976年ハワイオアフ島沖で米海軍の海洋調査船がシーアンカーのテストを行っている最中に発見しました。こうしてたまたま発見されたサメが専門家に調査され、新種の「メガマウス」として知られるようになったのです。

ついにインド洋でも発見される

次に発見されたのは、同じアメリカのカリフォルニア州サンタカタリーナ島沖合。そして、3匹目はついに太平洋を飛び越え、オーストラリアのパースにある川の河口近くのインド洋に至ります。それが1988年8月。3匹目の発見にいたるまで何と12年もかかってしまいました。

オスだけではなくメスまでも

これまで見つかってきた「メガマウス」は、偶然か全ての個体が「オス」でした。最初の「メガマウス」のメスの個体が見つかったのは、日本の博多湾です。1994年11月にこの初めての「メス」の個体は博多湾に流れ着いたところで発見されました。貴重な世界初のこの個体が海外の研究者も加わって解剖され、その後、海の中道マリンワールドに納められています。

現在では60を超える発見数

そんなホントの意味で幻の魚だった「メガマウス」ですが、現在では60件を越える報告数、未報告分まで含めると100件に迫るまでに増加してきました。どうして急激にこれまで増加してきたのかは、未だ不明ですが、日本でも増えてきているので、これからの生態解明が楽しみです。

メガマウスと地震の関係

メガマウスの発見と地震の発生が合致?

深海に生息する「メガマウス」が浅瀬で発見されるとマグニチュード5.0以上の地震が起こる。。。「幻の魚」という神秘性は、そんな「ナマズと地震」のような噂話まで誘い込みます。結論からいうと答えは「ノー」。研究者や識者の意見を総合すると、そもそも「メガマウス」は生体の追跡調査すら満足に行えていなく、そういった仮説を検証すること自体が難しいようです。さらに、もともと「メガマウス」は深海といっても水深200メートルまでが精一杯で、何より夜間は浅い水層に上がってきて食事をするので、そういった意味でのこの仮説には無理があります。

メガマウスの生態や特徴のまとめ

幻の巨大ザメである「メガマウス」はその希少さからくる神秘性が人々を惹き付けていて、その謎多き生態は現在でも不可思議な存在です。また、大きな口と大きな身体というユニークな形態も、どこか滑稽で親しみを感じさせます。現在では発見数も増え、解明を進んできているのですが、そのことがさらに「メガマウス」の魅力を増しています。今後の「メガマウス」の展開が楽しみですね!

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