ハクレンとはどんな魚?外来種?
そもそも、ハクレンという魚自体、ご存じない方もいらっしゃるのではないでしょうか。ハクレンがどんな魚なのか、まずはハクレンの特徴を解説していきます。
ハクレンは鯉の仲間
ハクレンはコイ科ハクレン属の魚で、錦鯉などと同様、鯉に分類されます。凹凸のないのっぺりとした顔の魚なので、どこかおっとりした大人しそうな魚に思えます。ところが、顔に似合わずとんでもないジャンプ力を持っており、かなりの高さまで飛び跳ねる変わった性質を持っています。
集団で行動しており、一匹が行った行動を真似ていく性質があります。有名なジャンプなどは、一匹が跳ねると続けざまに何匹も跳ねだす為、ハクレンの性質がしっかりと現れた行動と言えます。
ハクレンは中国が原産
ハクレンは元々中国に生息している淡水魚で、1m以上の大型サイズにまで成長する個体も少なくありません。食べられる部分も多いので、中国では古くから貴重なたんぱく源として食されてきました。
日本には明治以降にたんぱく源にしようと持ち込まれましたが、ハクレンが生息するのに適した土地は多くはなく、最終的に利根川などの限られた河川にのみ定着することができました。
ハクレンは四大家魚の一つ
「四大家魚」という言葉をご存知でしょうか?この言葉は、中国の歴史から生まれた言葉です。唐の時代の皇帝が自分の名前と同音異字だった鯉の食用を法律で禁じたことから、民達が鯉に変わる美味しい魚を探し求めた結果、辿り着いた4種類の魚が居ました。それが「四大家魚」、つまりは中華料理においてとても美味な4種類の魚の一つに分類されるのが、このハクレンなのです。
ハクレンはダイナミックなジャンプが有名
大型の鯉のようなサイズで、のっぺりとした顔をしているハクレン。とてもおっとりとしてどんくさい魚のように思えてしまいますが、見た目からは想像のつかないすごい特技を持っているんです。
ハクレンは大きな魚だけどジャンプが得意
ハクレンは大きな体を活かした大ジャンプができる魚としても有名です。ジャンプをする理由は解明されておらず、一説では物音に驚いて飛び上がっているだとか、ハクレン同士でぶつかった反動で飛び上がってる等様々な憶測が飛び交っています。
一匹がジャンプをすると後に続くように他のハクレンたちも次々に飛び始めるので、中々迫力のある光景を見ることが出来ます。
ハクレンのジャンプは埼玉で見ることができる
ハクレンのジャンプはハクレンの産卵の時期によくみられる行動です。日本国内でハクレンが産卵できる場所で有名なのは、埼玉県の利根川です。5月~7月ぐらいの初夏の時期が産卵に適しており、日に一度か数回程一匹が飛んだのを皮切りにハクレンのジャンプを見ることが出来ます。
ハクレンのジャンプを動画でご紹介!
実際にハクレンのジャンプの様子をご覧ください。遠目で見てもなかなかなりかダイナミックな大ジャンプに驚かされますが、近くで見るとさらに凄まじいまでの迫力がありますね。
ハクレンの食べ方
食卓ではまず見ることのない、珍しい魚のハクレン。日本では鯉を日常の食材としてみる人はなかなか居ませんが、中国では現代でも家庭料理などで食されるポピュラーな魚です。ハクレンの食べ方や美味しいおすすめ料理をご紹介しましょう。
ハクレンは食べることができる魚
中国原産のハクレンは、日本では限られた地域でのみ釣ることが出来る中々レアな魚です。市場に流通しているわけではない為、食べられる魚なの?と思う人も居ますが、もちろん食べることが出来ます。むしろ、釣りあげた者のみが食べられる特別な魚とも言えます。一匹のサイズが大きいので、一匹釣るだけでも様々な料理の食材にすることが出来ます。
ハクレンの味はおいしくて人気
ハクレンの見た目からは中々想像し辛いですが、ハクレンは非常に味の良いおいしい魚で、食べるのが楽しみでハクレン釣りにハマる人も少なくありません。ハクレンの味によく似ているといわれるのはブリです。甘味のある脂がしっかりとのり、弾力のあるプリプリとした噛み応えがあります。ハクレンの皮にはたっぷりのゼラチン質が含まれているので、スープや煮込み料理の出汁に使用してもとても上質でコクのある味になります。
ハクレンの主な料理
ハクレンは小骨が多く、そのままでは中々食べづらい魚です。人気の料理としては、小骨ごと食べられる唐揚げや、骨が柔らかくなるまで煮込みスープのように食べる鯉こく、ブリのような腹身の洗いや、魚の身を丸ごと入れて炊いたいばら飯などが挙げられます。
ハクレンの食べ方|捌き方
大物サイズだと1mを軽々超えてしまうほどに成長するハクレン。大きい魚だと捌くのに少しためらってしまう部分があります。しかし、コツさえ掴めば素人でも十分太刀打ちできる魚です。一つづつ捌き方を見ていきましょう。
ハクレンの捌き方を知ろう
ハクレンの身体の作りは鯉と酷似しています。大きさは変わっても基本的な構造は変わりません。ハクレンも鯉同様に、死ぬと強い臭みが出てきてしまいます。腹身の洗いなど生で食べたい場合は出来るだけ手早く捌くことが大切です。かなりの大型サイズの魚になるので、捌く時はブリなどの大型の魚の捌き方を参考にすると捌きやすいです。
ハクレンを捌く手順
まず、エラを開いて包丁を入れていき、頭を切り落とします。次に尾の方から頭の方へと包丁を入れていき、内臓を取り出していきます。内臓を取り出します。この時、魚の身に苦みや毒素が付着してしまう為、胆嚢を傷つけないようにしっかりと注意を払って取り出してください。
ヒレを切り落としていき、短時間で捌ききる為にも、うろこは剥がさずに捌いていきます。その後中骨に沿って包丁を入れていき、身を切り離していけば、ハクレンを3枚におろすことが出来ます。
捌き方を丁寧にレクチャーしている動画もあるので、こちらも是非参考にしてみて下さい。(動画はブリですが、基本は同じです。)
ハクレンのおすすめ料理その①|ハクレンの腹身の洗い
鯉の料理としても有名な腹身の洗いですが、ハクレンで作ってもとても美味しいです。濃厚な脂の旨味と食べ応えのある弾力には、ハクレン料理の中で最もおいしい食べ方と言う人も多い特におすすめのメニューです。
ハクレンの腹身の洗い特徴
肉厚なハクレンのしっかりとした弾力と、ブリに近い濃厚で甘味のある油をたっぷりと味わえる腹身の洗い。そのままはもちろんですが、酢味噌を付けて食べるのもツンとした酸味と味噌の甘さも加わり、よりハクレンの旨味を味わえるのでおすすめです。ハクレンの味を楽しみたい人はまず腹身の洗いから食べてみて下さい!
ハクレンのおすすめ料理その②|ハクレンの鯉こく
鯉料理の代表格ともいえる鯉こく。濃厚なゼラチン質をたっぷりと含むハクレンで作ると、よりコクのあるしっかりとしたスープを抽出することが出来ます。お肌にもいいので、特に女性におすすめのメニューです。
ハクレンの鯉こくの特徴
濃厚な魚の出汁のコクと、味噌の味わいがたっぷり楽しめる鯉こく。川魚特有の生臭さも、日本酒と味噌の風味でカバーできるので泥臭い、生臭いと川魚を敬遠していた人にも是非味わってほしいです。
プルプルとしたハクレンはゼラチン質も豊富。特に浮袋はサイズも大きくプルプルとして歯ごたえもある食感は堪りません。どうしても川魚の匂いが気になってしまう人は、ゼラチン質は少し減ってしまいますが、ハクレンの皮と血合い部分を剥いで調理することで匂いをほぼ軽減出来ます。
ハクレンのおすすめ料理その③|ハクレンのいばら飯(鯉飯)
いばら飯とは、ぶつ切りにした鯉を煮込んだものをお米と一緒に炊き上げた炊き込みご飯のような料理です。岐阜県の郷土料理の鯉飯の別名で、小骨が多く混ぜ込んであるので「いばら飯」という名前が着きました。小骨が多いが味のいいハクレンもいばら飯にはぴったりの食材です。
ハクレンのいばら飯|特徴
ハクレンの骨や身から染み出す出汁と主に皮の部分に含まれる豊富なゼラチン質がたっぷりと溶け込んだご飯はもっちりとした食感とふんわりと香る出汁の風味がしっかりと活きていてとても美味しいです。