カジキの生態から料理までご紹介!アングラーの憧れ、カジキはどんな魚?

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カジキとは?

みなさん「カジキ」はご存じでしょうか?ある人にとっては「テレビ番組で南の島でよくトローリングされているあの魚?」という印象だったり、ある人にとっては「スーパーで売られているカジキマグロのこと?」という印象だったり人によってその印象は様々だと思います。今回は名前はよく聞くけど、実際のところそんなによくは知らない、そんな魚「カジキ」に焦点を当ててご紹介いたします。

「カジキマグロ」という魚はいない?

よくスーパーや料理店などで「カジキマグロ」という名前を耳にされることがあるのではないでしょうか。ただ、実際に「カジキマグロ」として売られているのは「メカジキ」か「マカジキ」で、「カジキマグロ」という名の魚は実はいないんです。「カジキ」はスズキ目カジキ亜目の魚で、マグロはサバ科の魚。どちらも外用を泳ぐ魚で、刺し身用の高級魚であり、身の質感や味が近いことからそう呼ばれてきています。

スポーツフィッシングとして人気

「カジキ」と言えば、トローリングを連想される方も多くいらっしゃられると思います。海外ではトローリング、つまりスポーツフィッシングの対象として人気で、メキシコのロスカボスでは年間約40,000匹もの「カジキ」をはじめとしたビッグフィッシュが釣り上げられています。この「ロスカボス」はマーリンキャピタル(カジキの聖地)として有名で、トローリングの世界選手権である「ビスビーズ」が毎年開催されています。

カジキの生態について詳しく見てみよう!

そんな「カジキ」ですが、実際はどんな魚なのでしょうか?南の島を荘厳に泳いでいる魚で、私たちの食卓にも馴染みの深い「カジキ」。ここでは、「カジキ」の特徴や分布と種類、そして釣れる時期などを通して、「カジキ」の生態に迫ります。

カジキの生態① 特徴

「カジキ」の特徴と言えば、なんといってもその長く伸びた「槍」のような鼻先。これは実は上顎が伸びてできているんです。「吻(ふん)」と呼ばれるこの部位は、よく「剣」に例えられます。英名「Swordfish(ソードフィッシュ)」、つまり剣(ソード)の魚(フィッシュ)とはよくいったものです。

「吻(ふん)」の役割

この口元から長くのびている剣のような「吻(ふん)」は、「カジキ」の武器となっています。エサとなる魚を捉える際に左右に激しくふりまわし、魚に打撃を加えることに用います。イワシやサバなどの大群のなかに入っていき、この「吻(ふん)」を振り回すと、打撃を加えられたイワシやサバは気絶したり、傷をを負ったりするのです。また、サメに襲われた際には威嚇して身を守ることにも使われます。

呼吸のしかた

「カジキ」は他の速いスピードで泳ぐ回遊魚のカツオやマグロと同様に、エラを閉じて泳ぎます。そして、口から海水を取り入れ、エラの部分に常に流し込んでいくことで呼吸をします。ですので、泳ぎをやめてしまうと呼吸ができなくなり、死んでしまいます。

カジキの生態② 分布と種類

「カジキ」は温暖な海を好み、世界中の広い場所でその姿を見ることができます。その分布は種類によって様々で、「カジキ」の種類によっては寒帯地域まで回遊する種も存在します。ここでは、「カジキ」について種類ごとにその生態や分布を見ていきます。

マカジキ

「マカジキ」は水色の横縞が特徴的です。日本近海を含んだ太平洋やインド洋の比較的暖かい水域に分布します。大きさは4m前後まで成長し、「吻」はとても長くなります。日本各地で見られることから、さまざまな名で呼ばれていて、食卓でも有名な「カジキマグロ」とは関東地方を中心にそう呼ばれていたのが、全国に広まりました。他、石川県金沢では「サワラ」、富山県氷見市藪田地方では「サス」などと呼ばれています。古くは赤身の刺身の代名詞でしたが、現在では漁獲量が減り、かなりの高級魚として取引されています。

メカジキ

「メカジキ」は「カジキ」の中でも最大級の大きさを持ちます。他の「カジキ」同様に世界中の熱帯、温帯水域で生息しており、最も生息に適している水温は18-22℃です。ただ、他の「カジキ」と比べ生存できる水温の幅が大きく、水温5℃の寒帯域でも生きていくことができます。「マカジキ」と並び食卓でよく見られる種で、「マカジキ」が別名「男カジキ(オカジキ)」というのに対し、体つきが女性的なことから「女カジキ(メカジキ)」と呼ばれます。

クロカジキ

インド太平洋で見られる「カジキ」で、標準な大きさは「メカジキ」より少し小ぶりな2.5mほど。稀に全長が4mを超える「メカジキ」に匹敵する大きさのものもいます。「クロカジキ」というのは和歌山県田辺地方や神奈川県三崎地方の呼び名で、それが和名としても一般化しました。価格が安いのでみりん干しなどの加工品が多く見られますが、年間通して漁獲量の多い沖縄などでは刺身での食べ方も一般的です。

カジキの生態③ 性質

「カジキ」という和名の由来は「梶木」から来ているのですが、それは船底の木(梶木)にその「吻」で突進し、攻撃してくる様から付けられました。つまり、「カジキ」はそれほど気性の荒い魚で、同じくらいの大きさのサメであれば対等に闘えるほどのポテンシャルを秘めています。トローリングにおいてもヒットしてからも激しく抵抗することが、スポーツフィッシングとしての競技性を高めている要因です。ただし、大ケガを負う危険性もあることを忘れてはいけません。

カジキの釣れる時期

「カジキ」は暖かい水域を好む魚であることから、日本海沿岸では黒潮と沿岸水の境界の近くを回遊しています。その釣れる時期は5月~11月にかけてで、特にシーズンとなるのは6月~8月の初夏~初秋にかけてです。梅雨の間は雨の影響で黒潮が南下する傾向にありますが、黒潮が陸近くまで迫る時期は、陸岸から2~3海里ほどの距離まで「カジキ」が近づいてくるため、「カジキ」を狙う絶好のシーズンとなります。

カジキの釣り方

「カジキ」は沿岸まではあまり近寄ってはこないため、トローリングで狙うのが一般的です。剣のような鋭利な「吻」、そしてボディも引き締まった風貌を持ち、その獰猛な性質からヒットした後に暴れまわり、引き上げる側のファイトを求める「カジキ」のトローリングは、最高のスポーツフィッシングとしてアングラーたちの憧れの的です。ロッドも30~130ポンドまでの大型のロッドを使い、GPSや魚群探知機を用いた船長の腕も必要となります。

カジキの料理

「カジキ」はカジキマグロという俗称があるほど赤身が特徴ですが、時期や種類によって様々な調理法があります。DHA、EPAが豊富でカリウムやビタミンEも含む栄養満点な魚です。ここでは、主な調理法から珍しい調理法まで、様々な料理をご紹介します。

カジキの主な調理法

刺身

なんといっても新鮮な「カジキ」は刺身にするのが極上の味わい。「マカジキ」は色合いから見た目からマグロに近いです。写真の「メカジキ」は、見た目も美しく、色合いは白身のキハダに似ていますが、酸味は薄くコクのある味わいが特徴的です。

カジキのグリル

シンプルにグリルして、焼き目と付け合わせを添えるだけでもとても豪華に見えます。グリルパンで焼き目をストライプ状につけてソースをかけるだけでも絶品!

カジキの煮付け

身がしっとりとしていて旨味が強い「カジキ」は、強い味付けにも負けないので煮付けにも最適です。脂っこさがないのでとてもヘルシーな点も見逃せません。見ているだけでご飯が進みそう。。

カジキのムニエル

小麦粉をまぶしてバターで表面をこんがりとソテーして。。ただ少し手を加えただけでも、「カジキ」はさらに一層輝きます。中心部分がとてもジューシーで旨味に溢れています。

カジキのフライ

「カジキ」の中でも「メカジキ」はその白身が特徴的。生の切り身をそのまま塩コショウして、小麦粉をまぶし、卵を絡めて、パン粉をつけてこんがりと揚げます。外側のパリパリした食感と内側のジューシーな対比がもうたまらない!「メカジキ」の白身魚としてのパワーを目の当たりにする一品です。

カジキの珍しい料理

その旨味の強さと意外なあっさり感から、素材重視の簡潔な調理法でも十分美味しさを実感させてくれる「カジキ」ですが、日本各地で獲れることから、他にもいろいろなかたちで食べられ、みなさんに愛されています。ここからは、あまり耳にしないが絶品の料理をご紹介します。

カジキのハーモニカ

「カジキ」の背ビレの部分は一頭から少ししかとれない稀少部位。骨と身が交互に並び、食べる様子がハーモニカを吹いているように見えることからこの背ビレ部分はハーモニカと呼ばれます。「カジキ」のハーモニカは隙間部分の身は締まっていますが、骨の付け根部分は柔らかく、まるでサシの入った牛肉のよう。その部分は煮付けにされることも多いですが、写真のようにバターでソテーしても大変美味しいです。

カジキの塩辛

主に千葉県などで作られている「カジキ」の塩辛。「マカジキ」や「メカジキ」などの内蔵部分を塩漬けにして作られています。見た目通りクセのあるものから、意外とあっさりしていて食べやすいものまでその味はさまざま。共通しているのはその旨味から、日本酒や焼酎などのツマミには最適だということです。

カジキの生態から料理までのまとめ

見た目は精悍で性質も獰猛であり、アングラーからは憧れの的である「カジキ」。海外ではスポーツフィッシングの王道として世界大会も催されるほどの人気のトローリングの対象です。そんな精悍な体つきの印象から対比するように、身はどちらかというと脂っこくなく、かつ旨味がある味をもちます。日本近海でも昔から獲れるため、多くの料理法で親しまれてきました。動的なスポーツの対象として、あるいは静的な食べ物の対象として、いろんな楽しみを持つ「カジキ」について、みなさんも親しんでみませんか?

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