アナジャコはどんな生き物?
アナジャコノ殻は柔らかいのが特徴で干潟の穴の中に住んでいます。漢字では「穴蝦蛄」と書き穴を掘るシャコ、もしくは穴に棲んでいるシャコという由来があります。また釣り上げた時に「かんしゃくをおこす」という意味で「癇蝦」とも書かれたそうです。
アナジャコはシャコとは違うの?
結論から言うと違います。見た目も生態も似ているのにどこが違うんでしょうか。アナジャコは「節足動物門軟甲網十脚目アナジャコ科」に分類され、シャコは「節足動物門甲殻網シャコ科」に分類されます。シャコは独自のグループでシャコとされ、アナジャコはエビやカニに近い部類であり、それよりも近い甲殻類はヤドカリですのでアナジャコはヤドカリグループになるのでシャコとは別の生き物ということになります。
アナジャコは干潟には大切な生き物
アナジャコは干潟に穴を掘って生息しています。このアナジャコの穴を活用している生物がいるんです。それは小型のハゼ類やエビやカニ類、貝類など巣穴やアナジャコ自体に付いていたりして共生しています。
そしてこの巣穴の中にはバクテリアがたくさんいます。バクテリアが有機物を分解してくれ、アナジャコが食す事で濾過し水質を綺麗にしてくれる役割をしています。
アナジャコは食べられるの?
アナジャコは甲殻が柔らかくミソもとても美味しいです。このあとの記事でアナジャコの料理の紹介もしますので是非見てください。
アナジャコの生態を紹介
アナジャコはどのようにして暮らしているのでしょうか。アナジャコの事をもっと知っていただけるように詳しく説明していきます。
アナジャコの基礎知識
アナジャコは甲殻類の1種でエビ目(十脚目)エビ亜目アナジャコ下目アナジャコ科に分類されます。殻は柔らかく茹でると赤くなります。アナジャコは海岸の砂地や泥地に巣穴を掘って生息し、有機物質を濾して食事をしています。
全国で捕れますが、流通しているのは有明海や八代海周辺が主流として市場に出ています。干潟ではアジャコ釣りをすることも出来、筆を使用して釣るのが主流です。旬は春から夏にかけてになります。
アナジャコの生息地と分布
アナジャコは北は北海道から南は九州まで主に太平洋側の沿岸の干潟に生息しています。海外では台湾や朝鮮半島、黄島にも生息しています。海水や汽水域に生息しており、濁った水でも多く生息していることがあります。都市型の河口などにも生息していることがあります。
アナジャコの習性と食性
体長は10cmほどで繁殖期は春から夏にかけて雌がお腹に抱卵をします。孵化後、幼生になったアナジャコは着底すると穴を掘ります。成長と共に体の大きさに合わせて巣穴を大きく掘っていきます。
巣穴の入り口は小さいものですがその地底に続く穴はとても深く、50cmから1mほどのY字の巣を作ってそこに生息しているので干潟には多くの穴が出来ます。アナジャコはろ過摂食動物なので水中の有機物を濾して食事をしています。
アナジャコ料理を紹介
アナジャコは殻が硬くなく頭部のミソもとても濃厚で美味しいです。一般的な食材ではなくあまり流通していないですが季節の味として食べる事が出来ます。アナジャコの旨味を活かした料理をご紹介します。
塩ゆで
釣ってきたアナジャコを生きたまま塩茹でにします。シンプルに味わいたいならこの食べ方が一番です。
から揚げ
殻が柔らかいので殻ごと揚げることが出来ます。唐揚にすると殻のパリパリの感がたまらなくクセになる食べ方です。まるごとそのままいただけます。
味噌汁
アナジャコのダシが効いた一品です。旨味をギュッと凝縮した甲殻類ならではの旨味が詰まっています。
アナジャコの食べ方のポイント
美味しく食べるのにはどんな風に準備し、料理すれば良いのでしょうか。基本アナジャコは生きたままの状態で使用してください。黒くなってしまっているアナジャコは古いので避けるようにしましょう。
アナジャコの泥の処理の仕方
釣ってきたアナジャコの体には泥が付いているので泥を綺麗に水洗います。泥を飲んでいることもあるので丁寧にしましょう。あまり力を入れすぎると殻が柔らかいので潰れてしまうことがあるので注意してください。
アナジャコ食べられない部分
アナジャコの殻は柔らかいので、基本丸ごと食べられますが、爪と頭部の先端部分は硬いので、その部分は切除してください。
アナジャコに付く寄生虫に注意
アナジャコの体表に付いているのはアナジャコウロコムシと言い多毛類の寄生虫です。また、胸脚には二枚貝のマゴコロガイが付いています。腹部にぶら下がるように付いているのはシタゴコロガニです。
腹部に袋の様な形をして付いている寄生虫はフクロムシです。いずれも人間が食べても害はないですが、寄生虫が栄養を吸い取って生きているものもいるので、寄生されているものは小さく痩せているので美味しさも半減するかもしれません。
アナジャコを釣ってみよう
初めは少し難しいかもしれませんが、コツさえつかめばおもしろいほど捕れますので基本的な釣り方を覚えてください。詳細はこの後記述しますので最後まで読んでアナジャコ釣りの参考にしてください。
アナジャコ釣りってどんな釣り?
筆を使って釣る「筆釣り」と釣ったアナジャコをおとりにして釣る「友釣り」があります。どちらの釣り方もコツがあるのでこのあと詳細を記述します。
アナジャコは何処で釣れる?
アナジャコを釣るには干潟の泥地を訪ねましょう。干潟に広がる無数の穴がアナジャコの巣穴なのでそこを狙って釣りましょう。
アナジャコ釣りの時期と時間
アナジャコ釣りに行ったけれど大してとれなかった…。何てことにならないためにはベストな時期とタイミングを合わせて行ってください。アナジャコ釣りは春から夏の終わり頃まで釣ることが出来ます。
繁殖期の5月頃から8月頃までがおススメです。潮が引いた干潮時を狙って釣りをします。潮汐表で釣り場の干潮の時間を調べて行くと良いですね。
アナジャコの釣り方①|筆釣り
アナジャコの習性を活かした基本となる漁法なので是非覚えてコツを掴んでください。
筆釣りの釣り方
- 泥の表面に穴が空いている箇所が巣穴です。アナジャコノ巣穴を見つけ、表面の泥を数センチ削ります。
- 穴に筆を入れます。
- アナジャコは敵を追い出し縄張りを守る習性があるので、巣穴を追い出そうとして筆が持ち上がります。
- 筆を押し出すスピードに合わせて筆を持ち上げていきます。この時敵と格闘しているように筆の頭を軽く押してあげましょう。
- 筆からアナジャコノ手が見えたら人差し指、中指を使って穴に指を突っ込み穴を押し広げながらアナジャコノ両方の爪を指で挟みます。頭部まで掴んでも大丈夫ですが、力が入りすぎると潰れてしまうので注意です。
- 両手でアナジャコの爪を掴んでそのままアナジャコを引き抜きましょう。
アナジャコ筆釣りの道具
泥を削るのに鍬かスコップ、ジョレンが必要です。メインの道具は筆です。習字用の毛筆を使用します。太さは細すぎず、太すぎず。「太」くらいが丁度良いです。100円ショップなどでも売られていますので、複数購入して使用する方が効率が良いです。持ち帰り用のバケツや網なども用意していくと便利です。
あかしや 書道筆 太筆 桂林 3号 楷書・行書用 AL-150
丁度良い太さで毛が抜けにくい。適度な筆の硬さがアナジャコを刺激してくれるかもしれません。
パワフルジョレン 13002
柄の長さが持ち運ぶには少し不便ですが、巣穴の泥を一掃して掻き出すには最適なジョレンです。
アナジャコ筆釣りのコツと注意点
動画を見ている分には簡単そうに見えるアナジャコ釣りですが、一番難しいのが「引き抜く時のコツ」です。力任せに引き抜こうとすればアナジャコは自身で爪切りをして逃げてしまいます。
また力みすぎても殻の柔らかいアナジャコは潰れてしまうことも…。気持ちが先走ってガサツに扱うと驚いて逃げてしまいます。あくまで慎重に、優しく、タイミングよく釣ってください。
アナジャコの釣り方②|友釣り
筆釣りで捕ったアナジャコを囮に使って友釣りをします。筆のかわりに本物を入れるということです。
アナジャコ友釣りの釣り方
- 捕まえたアナジャコノ尻尾に洗濯バサミを挟みます。
- 洗濯バサミで挟んだアナジャコを穴に入るよう仕向けます。
- 侵入していった囮は巣穴にいるアナジャコが縄張りを守ろうと喧嘩を仕掛けてきます。そして囮を巣穴の外に押し出そうとします。
- 囮と共に巣穴の入り口付近まででてきたアナジャコを捕まえ両方の爪を持って引き抜きます。
アナジャコ友釣りの道具
筆釣りと同じく泥を削る鍬かスコップが必要です。友釣りにはアナジャコの尻尾を挟むために洗濯ばさみやクリップが必要になります。引き出しやすいように洗濯ばさみにヒモなどを付けておくと良いでしょう。またおとり一匹づつに道具が必要になるのでセットで売っているものなどを購入すればローコストで沢山仕掛けれます。