ロケットストーブってどんなもの?
1.燃料室、2.効率的に燃料を高温で燃焼させるヒートライザー、3.煙突の3つのパーツからなるストーブのことを指します。ヒートライザーによって空気の流れが発生し、強烈な上昇気流が起こり、煙突の先からまるでロケットのように揺らめく炎が見えます。
キャンプに適した暖房器具
ロケットストーブは着火も簡単にできて、燃焼効率がいいので煙も少なく、粉塵や火の粉が飛び散ることもあまりありません。加えて灰の処理も簡単にでき、道具の組み合わせ次第では調理スペースも十分にできますのでキャンプにも適した暖房器具です。
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シンプルでエコロジーなストーブ
構造は実にシンプルです。大きく分けると3パーツしかありません。燃焼効率がよく、燃料を完全燃焼させますので排気ガスもクリーンで、さらには余った割りばしなども燃料にできるため燃料代がかからず非常に省エネなストーブです。
簡単に作れる
このストーブの大きな魅力が誰でも簡単に作成できる点です。完成された形で一般販売されているものもありますが、用意する道具もさほど高価なものはなく、必要なパーツ数も少ないことから自作する人が増えてきている人気のストーブです。
ロケットストーブを自作するなら小型サイズが便利
自作に挑戦したくなってきましたか?自作するのにおすすめなのが小型サイズのタイプです。ここからは携帯面や材料にポイントを絞って小型タイプロケットストーブならでは利点を詳しくご紹介していきます。
持ち運びに便利
まずは携帯に便利であるという点が大きな利点です。小型であれば持ち運びに便利ですのでキャンプやアウトドアの準備の際も車に積み込みやすく、現地でも少し移動させたいな、なんていうときもさっと簡単に移動させることができます。
小型の方が材料が豊富
小型タイプ自作の際によく使用されるのが一斗缶、ペール缶、空き缶などといった豊富な缶類です。いずれの缶も大人なら楽々持ち運べるサイズです。そして廃材が利用しやすく手に入りやすいのも大きなメリットです。今回はこちらの小型タイプに焦点を当てて自分で作る方法をご紹介します。
ロケットストーブを自作する前に構造を知ろう
さあ!早速自作に挑戦してみましょう。シンプルでありながらも実に効率的な燃焼を可能にしているこのストーブの構造を事前に少しでも知っておくとちょっとしたトラブルの際に対応しやすくなりますし応用したストーブの自作もできるようになります。
ロケットストーブの基本用語
このストーブは、焚き口から燃料を入れて燃やす燃焼室と、ヒートライザー(断熱加工された煙突構造)と排気ガスを排出する煙突の3パーツから構成されています。ヒートライザー部分にはパーライトなどといった断熱材を用いて燃焼効率を上げています。
ロケットストーブのメカニズム
ここからはメカニズムについてご説明します。このストーブのメカニズムを理解するのに重要なポイントは上昇気流をどのように効率よく作るかとその力を利用していかに安定した空気の流れを作れるかです。
燃料は薪はもちろん公園に落ちている細い枝から使い終わった割りばしまで実に様々な種類のものを使用することができます。ざっくりとした値ですが、乾燥した木材3kgを完全燃焼させた際に生じる灰の量は200g以下と非常に少ないのもロケットストーブの特徴です。
1.着火
焚き口に燃料である枝や割りばし、新聞紙などをいれて着火します。ここでついた炎によって枝などの燃料が燃やされるとメタンガスなどといった可燃性のガスが出ます。煙は着火してすぐの間は出ますが安定した燃焼になってくるとやがてほとんど出なくなります。
2.上昇気流とそれによる吸引力が生まれる
可燃性ガスの下には炎があるので暖められた可燃性ガスは上へ上へと昇っていきます。ヒートライザーから温められて膨張した空気(可燃性ガス)が上昇気流となって煙突へと押し出されると内部の気圧が下がるため、この力によって焚き口から新たな空気が外から吸気されます。
3.ドラフト現象が加速する
メタンガスなどの可燃性ガスも煙突内で最終的に二次燃焼という形で燃えてしまうので、それによって得た熱がさらに内部を温め、ヒートライザー内および煙突内の温度はどんどん上がります(出口付近は600~800℃)。
そうすると焚き口付近と煙突の出口の温度差はさらに大きなものとなり、空気は冷たいところから暖かいところへと流れます。燃焼によって生じたガスを勢いよく煙突から排出し、下から新しい空気を吸気するドラフト現象が次々と起こります。
4.安定した空気の流れが生まれる
その結果、人が焚き口で空気を送ったりしなくても焚き口から煙突出口まで安定した空気の流れが実現され、高温燃焼が起こるようになります。ヒートライザーを断熱材で覆うことで熱が下がりにくくなり、燃焼効率を上げるのに大きなポイントとなります。
ロケットストーブを自作するために必要なもの
実際に自作するにあたり、必要なものをこちらで詳しくご紹介します。どの材料をどのように作っていくにしても安全を確保するため作業用手袋は用意し、広い場所を確保して作業に当たりましょう。
ペール缶
ペール缶とは18~20ℓ程度の容量の大きめの金属缶(プラスチックなどもあります)のことです。ペンキや塗料などの液体を入れて使用されています。ホームセンターで1000円前後で手に入れることができます。
一斗缶
ペール缶は円柱の形をした金属缶ですが,一斗缶は立方体の形をした金属缶です。一斗缶はホームセンターなどでは手に入りにくくなっていますので通販サイトなどで入手するのが簡単です。こちらも1000円前後で購入可能です。
空き缶
この後の項目で詳しく説明しますが写真の様に3つの空き缶を組み合わせて作成していきます。一つは本体になるため他のものより大きな空き缶を準備しましょう。粉ミルクの空き缶や果物の空き缶など家にあるものを使用できるのでコストは低く済みます。
レンガ
レンガを積み上げていくことで作ることもできます。モルタルブロックは安価ですが高熱に晒されると割れてしまうことがあるので、耐火レンガ(200円前後/個)を用意しましょう。レンガは一つ一つが重いので作成後移動させることは困難であることを想定して場所を決めましょう。
煙突
ペール缶、一斗缶のどちらかを使用して自作しようと考えている方は煙突も用意しましょう。用意するのはT字、L型、直線型の3つのステンレス煙突です。これらの直径は同じものにし、つなぎ合わせるためのパイプバンドも必要数用意しましょう。ホームセンターなどで一つ当たり2000円前後で手に入ります。
パーライト(断熱材)
ヒートライザーの断熱に用いるのがパーライトです。土壌改良剤として売られているもので、自然の岩を粉砕して、加熱、膨張させて作られる軽い砂状の素材です。ヒートライザー部分に限定して充填しますので流動性のある砂状のほうが扱いがいいです。こちらもホームセンターなどで50リットル1000円前後で購入可能です。
必要な工具
作成に当たり必要な道具は、金切りばさみ、ニッパー、ベンチ、缶切り、ハンマー、ドリルなどです。金切りバサミは缶を切る際に便利ですのでぜひ用意しましょう。金物を切り取ったりしますのでヤスリもあると便利です。
ペール缶で作るロケット―ストーブの自作方法
ここからはペール缶を使用した自作方法をご紹介します。必要な材料はペール缶2個、ステンレス製煙突L字型、L型、直線型の3種類で直径は106~120㎜が一般的です。そしてヒートライザー部分に充填するパーライト、重ねたペール缶をつなぐためのネジです。道具は先ほどご紹介したものがあるといいです。
ペール缶製ロケットストーブ作成の流れ1
ペール缶にT字とL型のステンレス煙突を取り付けます。まず煙突の口を型にしてペール缶に印をつけ、その線に従って金切りばさみなどで切り取って穴をあけます。焚き口の取り付けとしてT字煙突を、ペール缶内にL型がくるように取り付けます。このT字が焚き口になります。
ペール缶内部に取り付けたL型のステンレス煙突の先にさらに直線型の煙突を重ねて接続していきます。この直線型煙突部分の長さの決定は次の項目でつける2つ目のペール缶の高さの兼ね合いをみながら調整するようにします。
ペール缶製ロケットストーブ作成の流れ2
もう一つのペール缶の底を缶切りなどで切り取ります。煙突の出口が5センチ程度ペール缶上部より出るように調整しながら先ほど作成したペール缶にかぶせてネジで止めます。このペール缶が本体部分となりますのでしっかりと固定しましょう。
2つのペール缶がしっかりと連結できたことを確認したら断熱材でを充填していきます。パーライトは軽くて舞いやすいのでマスクなどをしながら行うとストレスも少なくすみます。最後に3で切り取ったペール缶の底部分に煙突が通るようにドーナツ型にくりぬいて蓋にするとパーライトが舞うこともありません。
動画で作り方を確認
一斗缶で作るロケットストーブの自作方法
次に一斗缶を使用した自作方法をご紹介します。作り方はペール缶とほとんど同じ作り方になります。一斗缶はペール缶と違って切る面が平面ですので穴が開けやすく、初心者には取り組みやすくなります。