アウシュビッツで最も多くの犠牲者を出したのがガス室です。到着時の選別で価値なしとされた人々はすぐにそこで殺されました。その他にも病気等で働けなくなった人や、働けても口封じとして送られた人もいました。
ガス室は7か所存在した
ガス室はクレマトリウム(火葬場)と呼ばれ、ナチス軍人は直接手をかけることなく、さらに効率的に殺せるシステムでした。第1収容所に1つ、第2収容所に6つ作られ、大量虐殺の舞台となりました。その後証拠隠滅等のために破壊されたため、現在あるのは復元したものです。
ガス室の広さとは
入口を入ると脱衣室があり、人々はシャワーだと告げられそこで衣服を全て脱ぎます。奥には約30m×7m程度の部屋があり、そこにぎゅうぎゅうに押し込められ、戸が閉められると天井の穴から毒ガスの入った缶が投げ込まれ、人々は死に至ります。
屍体からは髪の毛や貴金属等を取り外し、つながった焼却炉に入れて燃やします。しかし、焼却炉だけでは追いつかず、屍体を外に山積みにして燃やすこともあり、灰は川等に捨てられました。
使用したガスはチクロンB
チクロンBはシアン化合物等から作られる劇薬で、缶入りで開封すると酸素と反応して毒ガスを出します。元々はシラミ対策や穀物の害虫駆除等に使われていましたが、ナチスによってガス殺に利用されました。
吸い込むと血液の酸素運搬能力を停止させるほか、濃度が高くなると肺自体が機能しなくなり窒息してしまいます。5kgで最大1700人程度が約20分で死に至るという非常に「効率的な」方法でした。
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ガス室以外の殺害方法
被収容者の多くはガスによって殺されましたが、その他の方法で殺された人々も少なくありません。形式的な裁判が行われ、そこで死刑となった人等が刑罰に処されました。見せしめ等のため、むごたらしい方法が用いられました。
銃殺刑
主に死の壁と呼ばれる壁の前で行われました。囚人は壁の前に全裸で連れてこられ、銃で撃たれて殺されました。ここではポーランド人が多く処刑され、その数は数千人にのぼります。また、脱走や自殺を試みようとした人等も銃で撃たれて殺されました。
斬首刑・絞首刑
見せしめのために絞首刑や斬首刑もよく行われました。エホバの証人の信者、レジスタンス活動をした者等が斬首によって殺されています。また、終戦後には虐殺にかかわったナチスの幹部等も絞首刑に処されています。
懲罰での死亡
人々は仕事中に排泄をした、リンゴを拾った、能率が悪い等の理由で様々な懲罰を受けていました。むち打ちや過重労働、爪をはがされる等の拷問や、独居房に入れられて餓死させられたり、立ち牢という約90cm四方の穴に4人が入れられ立ったまま衰弱死させられたり等残虐極まりないものでした。
人体実験
ナチスは軍人のケガの治療や新兵器の開発のため被収容者を使った実験も行っていました。双子に対する遺伝的な実験、骨等の移植、伝染病の治験、海水の飲用等非人道的な実験が行われ、多くの人が命を落としました。