翼竜とは
太古の生物といえば恐竜が人気ですが、よくそれと一緒に紹介される生物がこの翼竜という生き物です。生物の中で初めて空を飛び空を制していたというだけあって、それに見合った大きな翼のある体の造りをしています。大昔に絶滅してしまっているため、現代では化石としてみることしかできませんが、魅力の多い生き物なので詳しく見ていきましょう。
爬虫類に分類される
発見された当初は哺乳類などとも考えられましたが、後にフランスの学者によって爬虫類とされました。翼があり飛行するにも関わらず鳥類に分類されていないのは、鳥類の祖先が恐竜だからです。見た目や移動方法が似ているだけで全く別の種類の生き物に分類されています。
恐竜と祖先は同じ
翼竜はラゴスクスという爬虫類を祖先に持っていて、この生き物は恐竜の祖先でもあります。どちらも同じ祖先から発生しているため、別の生き物ですがとても近縁な関係と言うことができます。
最初に発見されたのは1784年
コジモ・アレッサンドロ・コリーニ、という名前のイタリア人が発見したのが最初となっています。この学者はイタリアの貴族出身で、ドイツで秘書として働いた後に、同じくドイツの別の都市で博物学者として活動しています。発見し初めての著述をしたのはこの学者ですが、その化石を爬虫類だとしたのは別の学者です。
翼竜の特徴
現代では化石としてしか見ることのできない生き物ですが、どれほどのサイズだったのか、またどんな体のつくりをしていたのかなどが解明されているのでご紹介します。現代でも似た構造をもつ生き物は存在していますが、詳しく見ると全然異なった特徴があります。それでは見ていきましょう。
大きさは種類によって様々
恐竜と一緒に紹介される際は、それに負けないほどの大きな姿が紹介されていることが多いですが、実際は種類によって大きく差があります。大きいのは翼を広げた状態で10mをも超える大きさですが、小さいのは手のひらに乗るような大きさをしています。大きな頭部も持っていて、頭部と翼の大きさに対して体の部分が小さいのが特徴です。
翼は膜のような構造
脚と手の間に張られた薄い膜が翼として使われていました。手には4本の指があり、そのうちの一番外側にあたる指と翼の膜が一体化していて、それが脚との間に張られた形になります。この膜には筋肉や神経があったと考えられる痕跡も見つかっており、膜の形を変えることで飛ぶ際の制御などを行っていたという考えもあります。
翼には指もあった
4本あるうちの1本の指で支えていたため、飛行の自由度は低かったようですが、他の3本の指を使って何かを掴むことができたとされています。この構造と似た翼をもつのが、現代でも生きているコウモリです。コウモリの場合は親指を除く全ての指で翼を支えているため自由に飛ぶことができますが、その代わり何かを掴んだりすることはできません。
翼竜の飛行能力について
古代の空を制していた生き物は一体どれほどの飛行能力を持っていたのか、またどのような活動を行っていたのかを見ていきましょう。またその他にも起源についてのご紹介もしていきます。
実はあまり飛べなかった?
膜でできた翼は嵐などの強風には耐えられなかったという考えや、羽ばたくための十分な筋力がなかったのではないかという考えがありました。しかし研究が進むにつれ、体の構造が飛行することに特化されていたことが解り、多少の羽ばたきは可能だったと考えられるようになりました。
滑空がメインの飛行だった考えられていて、翼で風をとらえながら羽ばたきと筋力を休めるための滑空を交互に行うことで長い距離の飛行も可能だったそうです。
陸上ではあまり活動できなかった
空を飛ぶことに特化されている代償として陸上での活動はあまり得意ではなかったようです。二足歩行すら不可能で両手も使っての四足歩行をしていた可能性が研究を進めるにつれ強くなっています。
翼竜の起源には謎も多い
恐竜と同一の祖先だとされていますが、そこから進化した途中の過程の化石は見つかっていません。最も古い化石でも既に進化が進んでしまっているため、どういった理由で進化したのかなどは予想のみで解明することができないのです。
翼竜の卵と幼年期
どんな生き物にも幼年期というものは存在しますが、古代の生物の場合は現代との違いはあったのでしょうか。また繁殖行動はどのように行われていたのか、などを詳しくご紹介していきます。
卵生だった
ほとんどの爬虫類が卵生であるように、翼竜も同様であったことが、卵の化石の発見により解っています。最大で全長1.5mにもなる品種の卵が見つかっており、大きさは鶏のものとほぼ同じほどです。また卵と一緒に成体の化石も見つかっていることから、卵を産んだ後も何度も巣に戻っていたとされています。
幼年期の特徴
生まれてすぐに飛ぶことができたと考えられていましたが、研究が進むにつれ生まれてすぐは飛ぶほどの筋力がなかったことが解っており、飛ぶことができなかった可能性が高いとされています。また、親から何かしらの保護を必要としていた可能性も高いとされています。
翼竜の種類:プテロダクティルス
ここからは50種類以上いる中から、有名だったり特徴のあるものを詳しくご紹介していきます。まずはこの種類ですが、世界で初めて発見され始めて命名されたことで知られている種類です。大きさは大小様々で、小さいものは数十センチなのに対し、大きいものは2m以上と個体によって差がありました。
翼指竜亜目に分類される
さらに細かく分類したときに、大きく二つのまとまりに分けることができ、その一方がこの名称になります。もう一方と比べたときに、様々な特徴の違いはありますが、全体的に進化が進んでいるということが解っています。
主な特徴の違いとしては体のサイズと尻尾の長さにあり、大きくて短い方が今回のものになります。体が大きいから尻尾も長いというわけではないので注意しましょう。逆に体のサイズが小さく尻尾が長く伸びている方がもう一方のグループになります。
初めて発見された
ドイツで発見されたとされていますが、正確な発掘された日時などは不明となっています。掘られたのち、コレクションとして管理を任されていた博物学者が、他の生物との明らかな違いに気づき報告をしたのが世界で初となっています。それから約20年後の1801年にフランスの学者によって命名されました。