ウナギの生態を徹底解説!実は謎の多いその生態を様々な角度から解説!

卵は1日半ほどで孵化しますが、卵からかえったときはまるで透明な木の葉のような形です。この段階のものを「レプトセファルス」といい、比較的深い海の中で、泳ぐというよりは潮の流れに漂って暮らしています。

それが半年ほどたつと、透明ではありますが大人のウナギと同じような形になってきます。これは「シラスウナギ」と呼ばれていて、このころには日本の近海にたどり着いています。養殖のウナギはシラスウナギを捕まえて育てたものです。

海から川へ

シラスウナギはさらに成長すると体が黒くなってきて10cmほどになり、「クロコ」と呼ばれる状態になります。岩などの上を体をくねらせながら川を上り、数年~十数年かけて成長していきます。成長してくると体が黄色っぽいことから「黄ウナギ」と呼ばれるようになります。

大人のウナギに

ウナギは成熟して産卵できるようになると、エサを取らなくなり、産卵の準備を始めます。断食を始めると、胃や腸などの消化管が退化する代わりに生殖器が発達し、体に脂肪が蓄積され、体が銀色に変わります。この状態を「銀ウナギ」といいます。

そして川を下り海に出て、半年ほどはるばる旅をしてグアム沖の産卵場所まで行くのです。その頃の体の中には、オスは精巣、メスは卵しかないそうです。産卵を終えるとウナギは死ぬと言われています。

ウナギのヌルヌル粘液について

ウナギは体がヌルヌルしており、なかなかつかめません。その為つかみどころがないたとえに使われたり、難を逃れられるとして魔除けのシンボルとされたりすることもあります。このヌルヌルは納豆の粘りの成分と同じムチンという物質で、ウナギが生きる上で重要な様々な役割を持っています。

粘液は自分の身を守るバリア

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普通の魚は固いウロコによって体表を保護しています。しかしウナギはウロコが小さく埋もれているので、皮膚が弱く傷つきやすい生き物です。その為、粘液がウロコの代わりに体表を守る役割を担っています。

粘液のおかげで陸上移動が出来る?

ウナギはエラ呼吸のほかに皮膚呼吸もでき、呼吸の60%ほどを皮膚から行っています。これには体表がぬれている必要がありますが、粘液があることで水分を保つことができ、陸に上がってもすぐに死ぬことはありません。その為雨の日に体をくねらせて別の水場まで移動したり、切り立った岩場を登ったりする姿が目撃されることもあります。

川や海での環境変化に対応

魚は何気なく水の中を泳いでいるように見えますが、じつは体内の水分の塩分濃度と周りの水の濃度のバランスを絶えず調整しています。その為海水魚が淡水に入ったり、淡水魚が海水に入ったりすると、水分のバランスが崩れて死んでしまいます。

しかしウナギは川と海を行き来する生物なので、その調整に粘液が一役買っています。海水にいるときは皮膚から余分な塩分が体内に入ってこないようにし、淡水にいるときは体内の塩分の流出を防いでいるのです。

毒の成分で身を守る

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粘液にはじつは毒が含まれており、外敵から身を守っています。これは人間が食べる分には問題はない毒とされていますが、何らかの形で食中毒などが起きないとも限りません。念の為、ウナギをつかむ際には手に傷などがないか確認をし、つかんだ後はすぐにきれいに洗うようにしましょう。

あまり知られていないウナギの毒を紹介

毒のある魚といえばフグやエイの仲間などが有名ですが、じつはウナギも毒のある魚だということを知っていましたか?毒は血液と体表の粘液に含まれ、すぐに命にかかわるほどの強い毒ではありませんが、つかんだりさばいたりする際には注意が必要です。

血液に含まれる毒

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動物の血液には血清という液体成分が含まれますが、ウナギの場合その血清にイクチオヘモトキシンという有毒物質を含んでいます。ウナギの血1mlほどでマウスを100匹程度殺せるそうですが、人間は1000mlほど飲まない限りは死に至ることはありません。

ただし、目に入ると結膜炎を起こし、口に入ると粘膜がただれ、指先などに傷口があるとそこから入って炎症が起きてしまいます。ひどい場合は下痢、嘔吐、麻痺、呼吸困難、失明などのおそれもあります。ちなみに、同じウナギ目に属するアナゴやハモ、ウツボなどの血液にも毒があります。

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