以前は、イシガキダイはイシダイに劣る魚として釣りの対象になりませんでした。しかし、高知県で80センチ以上の大物が釣れて、その大きさが日本記録のイシダイより大きかったので、底物師と呼ばれているイシダイを狙う釣り師の間で衝撃が走ったのです。このときからイシガキダイはイシダイに匹敵する怪物の魚として底物師の間でターゲットとなりました。サイズは最大で体長79センチ、重さは10.8キログラムです。体形は左右から押しつぶされたように平たいさまをした丸い形で、マダイと比較すると角ばっていてずんどうに見えます。マダイと違うところは尾びれですが、尻びれが明らかに大きくて、口が異常に発達するところが違います。年老いた魚になると固いものを砕くごとに成長するので、オウムの様に立派な口になります。模様については若い魚は豹柄なのに対し、年老いた魚は頭部が白くなり、模様も消えて「クチジロ」と呼ばれるようになります。
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イシガキダイの毒素
イシガキダイはどのような毒があるのでしょうか?
イシガキダイ本来は、無毒な魚です。ですが、シガテラ毒という毒を持った藻を取り込んだ、小魚や貝などを食べてしまった個体が、シガテラ毒を持つようになってしまうのです。シガテラ毒は、末梢神経に以上をきたします。「ドライアイス・センセーション」といわれる冷たいものに触れると電気刺激のような痛みを感じたり、冷たい水を口に含んだ時にサイダーを飲んだ時のような「ピリピリ感」を感じたりする状態に加えて、全身にかゆみやだるさを引き起こしたり、周囲がオレンジに見えるなどの症状を引き起こします。特に大型の個体(60センチを超えるような個体)には、シガテラ毒を持っている場合があるようなので注意が必要なのです。さばく時は、内臓を破らないように取り出して、しっかりと腹の中を水で洗ってください。
イシガキダイの美味しい料理
イシガキダイのお刺身
マダイなどに比べてイシガキダイの身は硬くて引き締まっています。締めてからすぐのものは刺身にした場合、硬すぎると感じるほど歯ごたえがあります。また、白身魚ですが成熟しているものは脂がのっていて旨みも強いのです。脂は皮と身の間に多くあります。磯臭さについてですが、イシガキダイは独特の磯の香りがあります。鮮度がよい場合これがいい香りとして感じますが、鮮度が落ちているものは磯臭さと感じてしまうのです。それ以外には、60センチを超える大型のイシガキダイは皮や身が硬くて、お刺し身にはむいていません。ワサビ醤油でいただくのも良いですが、脂がのっている場合は、カボスと塩で食べるのも美味しいですよ。
イシガキダイのカルパッチョ
カルパッチョ風に塩コショウを振ってごま油を落とし、全体になじませてシブレットなどを散らすのがお勧めですが、もちろんオリーブ油とビネガー、それに加えてスダチやカボスなどの柑橘類をしぼるのもいいです。
イシガキダイの握り寿司
握りのネタにしてもイシガキダイは美味しいです。新鮮なものは切り付けるとき、厚みに注意しなければなりません。厚すぎると弾力があるので噛み切れないからです。その時の身の状態を確かめて切ってください。
イシガキダイの煮物
イシガキダイを煮付けにする場合は、生姜を効かせるることが大切です。これで磯臭さが消えるからです。ほかには、ローズマリー、ニンニクを効かせてアクアパッツアにしても美味しいです。いずれにせよ、イシガキダイの皮は硬いので、味が染み込みやすいように飾り包丁を入れることがポイントです。イシガキダイのアラを煮付けにするのもおすすめです。イシガキダイのアラは身がたくさんついています。
イシガキダイのしゃぶしゃぶ、ちり鍋
イシガキダイの新鮮なもののアラはとてもいいだしがとれます。とくに大きなイシガキダイを釣り上げたら、このアラと昆布でとったおだしでちり鍋にすると美味しいです。イシガキダイの身もポン酢であっさりと食べられますよ。
イシガキダイの揚げ物
イシガキダイの小さめのものなどは唐揚げにしても美味しいです。背骨から背鰭基部にかけて垂直に伸びているは骨は固くて、揚げたとしても食べられないので三枚におろした、身だけを揚げる方がいいです。
イシガキダイの皮の湯引き
生だと皮は硬くでたべられませんが、少し火を通すとちょうどよい食感となって、身と皮の間に含まれているうまみが口に広がります。ゆですぎた場合、柔らかくなってしまって食感が楽しめないので、沸騰しているお湯に浸けてくるっと丸くなったら引き上げて氷水に落とします。その後冷やして水気を切って完成です。