海女の魔除け「ドーマンセーマン」は陰陽師と関係がある?不思議な成り立ちに迫る

セーマンは安倍晴明の清明桔梗と呼ばれる紋であり、清明が使う陰陽道の魔法陣でもあります。五芒星とも呼ばれています。日本ではすでに室町時代には存在していました。完璧なデザインといわれています。

一筆書きで書く

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セーマンは星形の一筆書きです。一筆書きで書く星型は世界の多くのところで用いられています。英語ではペンタグラムです。2700年以上前に古代イスラエルから渡ったという説もあります。また上下逆さまに描かれているものは黒魔術の領域です。

元の場所に無事に戻れるようにとの意味をもつ

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海女たちに伝わっているセーマンは、一筆書きで、元の場所に無事に戻れるようにという意味合いを込めたおまじないで魔除けです。どこからも入れますが、出口がないと説明されています。陰陽道との関連は伝わっていないのです。

格子状の印(ドーマン)の特徴

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ドーマンは蘆屋道満のことで、安倍清明と同じ時代を生きていました。清明と敵対する人物として語られています。道満が用いたのが六芒星であり、格子を描いた図柄がドーマンです。臨.兵.闘.者.皆.陣.烈.在.前の九字の呪文と共に印を結ぶ九字護身法を使いました。

たくさんの目をかたどる

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九字紋とも言います。籠目で通る地方もあります。セーマンより古い紋で、蘆屋道満が使っていたとされている紋です。たくさんの目で魔物を見張る意味があるのだとは、海女たちの口伝です。九字は密教において今も使われています。様々な逸話が日本各地にあります。

目で魔物を見張るという意味

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九字紋は格子になっています。竹格子ではないかと伝わっています。隙間のように開いたたくさんの目から相手を見張ります。日本では、奈良時代から、竹を使った編み物が発達してきました。籠目や網代編みなど美しい細工がされた衝立で、外からの目を遮断していました。また格子柄は出口がわかりにくいという理由があるようです。

安倍晴明と蘆屋道満の関わり

安倍晴明は室町時代の朝廷に属した陰陽師として名を馳せました。安倍晴明は陰陽道に用いる五行の象徴として五芒星を用いたと伝えられています。清明に敵対する人物として名があがる蘆屋道満は官職に属さない陰陽師で六芒星を目印とし、安倍晴明と対決したと伝えられています。

陰陽師の印と類似

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陰陽師の印とドーマンセーマンが酷似しているのは、偶然の訳はありません。海女の歴史は古く、奈良時代の万葉集の中にはあまという言葉が出てきます。平安時代の延喜式に志摩には30人のかずきがいると記されています。かずきは海女のことです。ドーマンは蘆屋道満を指しセーマンは安倍晴明を指すとされています。

ドーマンセーマンは「セーメー」と呼ばれる

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ドーマンセーマンを伊勢志摩の海女は合わせてセーメーと呼びます。死と隣り合わせの海の仕事は昔も今も変わりません。護符は命を守る大事な物です。何かが起こり、誰かが護符を授けたとしたら、それは朝廷直々だったのかも知れないと読み解く人もいます。いづれにしろ陰陽道にかかわる印なのです。

ドーマンセーマンの使い方

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海の底の竜宮に引き込まれてしまわないように身を守る護符です。海には多くの魔物がひそみ、ひとり暗い海の底に潜る海女は命と引き換えに糧を得ていたのです。厳しい環境のなかで呪術の加護にすがったということです。

磯てぬぐいや襦袢に縫付ける

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磯手ぬぐいや白襦袢に、セーマンドーマンを貝紫と呼ぶ染料で描きます。貝紫は古代紫に染め抜かれます。黒い糸で縫いつけていることもあります。道具である磯ノミや磯メガネ、磯ジャツ、海女の道具にはおおよそ付けられています。海の妖怪と自分を見分ける目印でもあります。

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