人間とチンパンジーの中間種「オリバー君」とは?その奇妙な運命と取り巻く人間ドラマ

その姿の異様さから始まり、行動・嗜好においても、ただのチンパンジーとするには謎の多いオリバー君に、遂に科学的な調査が実施されます。染色体を解析する事で、彼がヒト・サル・はたまた中間種であるのか検証されることになったのです。

人間の染色体の数

染色体とは、大まかに常染色体と男女を決定するXとYの性染色体からなり、長いものから順に1番2番と名前が付けられています。通常人間の場合、この常染色体と性染色体が23組からなる計46本で構成されています。

チンパンジーの染色体の数

GerMai / Pixabay

一方チンパンジーの染色体は、人間の2番染色体が12番と13番とに分断されており、常染色体23組と性染色体1組の計48本の染色体構造になっているのです。構成の違いからしても、人間とチンパンジーの染色体の数は異なるというわけです。

オリバー君の染色体の数

geralt / Pixabay

人間が23組の46本チンパンジーが24組の48本という、科学的に決定的な違いがある染色体の数。では彼の染色体の数はどうだったのか、なんと両者どちらでもない47本という検査結果が出たのです。人間とチンパンジー両方の外的特徴と、どちらでもない染色体構造をもつ彼はやはりヒューマンジーだったのです。

ヒューマンジーのオリバー君が一躍有名になった経緯

12019 / Pixabay

これまでに示した、オリバー君の有する様々な中間種・混血とされる特徴。ただの芸達者では済まされないオリバー君が、いかにして一躍時の人となったのか、その経緯について本項から順を追って解説していきます。

オリバー君コンゴからサーカスへ

12019 / Pixabay

コンゴ湾の上流地域され、アメリカへと連れて来られた彼は、ニュージャージー州のサーカスで、そこのトレーナー夫婦に飼われることになりました。そして、アフリカの森からアメリカのサーカスという全く違う環境で、オリバー君が普通とは違う様子を見せ始めることとなります。

チンパンジーにのけ者にされトレーナーに懐くオリバー君

KELLEPICS / Pixabay

サーカス内で暮らし始めたオリバー君でしたが、他のチンパンジーたちと生活の折り合いが悪く、のけ者にされるようになります。その反面トレーナーによく懐き、他の動物の餌やりを手伝うなど、人と共に生活する事を好む傾向にありました。

チンパンジーらしくない行動に脚光が集まる

Alexas_Fotos / Pixabay

この頃からサーカス内では、他のチンパンジーと異なる仕草や外見で注目されるようになります。そんな「変わったチンパンジー」のオリバー君に、興行的関心を示した弁護士のマイケル・ミラーが、8000ドル(現在の日本円で約88万円)で彼を購入します。

興行主がオリバー君を連れて各地で興行を行う

ErikaWittlieb / Pixabay

オリバー君の新たなる飼い主となったマイケル・ミラーは、彼を「未知の生物オリバー」と名売って合衆国各地を興行します。そんなオリバー君の名は日本のTV関係者にも知られ、アメリカから遥か遠くの日本で一躍ブームを巻き起こすことになりました。

ここから興行のメインが日本へと移るのですが、アメリカ本土ではまだ「珍しいチンパンジー」「人のようなチンパンジー」という、あくまで動物として興行されていました。日本のメディアが絡むことで、オリバー君の環境は急速に変化していきます。

日本テレビ「謎の怪奇人間オリバー!」

Engin_Akyurt / Pixabay

今から43年前の、1976年7月22日に放送されたこの番組で、オリバー君は日本でその名が知れ渡ることになる。「怪奇人間」と名打たれた事で、オリバー君は猿ではなく限りなく人間に近い何者かであると、当時の日本のお茶の間を騒がせることになりました。

この時期日本は空前のオカルトブームの真っただ中で、ネッシー・ビッグフット・ツチノコ等々。現在でも世界各地で目撃情報が寄せられており、オリバー君のような未知の類人猿も各国に存在しています。

NEXT テレビ出演でオリバー君一躍時の人に!