人間に似た味覚や嗜好
外見的だけでも十分に人間くさいオリバー君ですが、その味覚や嗜好も当時の人々を驚かせました。「風呂上がりの一杯」ではないですがビールやアルコールを嗜み、煙草も口に銜えるだけでなく、煙をふかし喫煙していたのです。
驚愕!47本の染色体をもつオリバー君
その姿の異様さから始まり、行動・嗜好においても、ただのチンパンジーとするには謎の多いオリバー君に、遂に科学的な調査が実施されます。染色体を解析する事で、彼がヒト・サル・はたまた中間種であるのか検証されることになったのです。
人間の染色体の数
染色体とは、大まかに常染色体と男女を決定するXとYの性染色体からなり、長いものから順に1番2番と名前が付けられています。通常人間の場合、この常染色体と性染色体が23組からなる計46本で構成されています。
チンパンジーの染色体の数
一方チンパンジーの染色体は、人間の2番染色体が12番と13番とに分断されており、常染色体23組と性染色体1組の計48本の染色体構造になっているのです。構成の違いからしても、人間とチンパンジーの染色体の数は異なるというわけです。
オリバー君の染色体の数
人間が23組の46本チンパンジーが24組の48本という、科学的に決定的な違いがある染色体の数。では彼の染色体の数はどうだったのか、なんと両者どちらでもない47本という検査結果が出たのです。人間とチンパンジー両方の外的特徴と、どちらでもない染色体構造をもつ彼はやはりヒューマンジーだったのです。
ヒューマンジーのオリバー君が一躍有名になった経緯
これまでに示した、オリバー君の有する様々な中間種・混血とされる特徴。ただの芸達者では済まされないオリバー君が、いかにして一躍時の人となったのか、その経緯について本項から順を追って解説していきます。
オリバー君コンゴからサーカスへ
コンゴ湾の上流地域され、アメリカへと連れて来られた彼は、ニュージャージー州のサーカスで、そこのトレーナー夫婦に飼われることになりました。そして、アフリカの森からアメリカのサーカスという全く違う環境で、オリバー君が普通とは違う様子を見せ始めることとなります。
チンパンジーにのけ者にされトレーナーに懐くオリバー君
サーカス内で暮らし始めたオリバー君でしたが、他のチンパンジーたちと生活の折り合いが悪く、のけ者にされるようになります。その反面トレーナーによく懐き、他の動物の餌やりを手伝うなど、人と共に生活する事を好む傾向にありました。