川に生息するカワイルカ|その種類と不思議な生態を詳しく解説

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彼らの祖先が地理的に似たような場所にいたとは考えずらく、また近年の研究により彼らの祖先が海へ入っていった時期も異なることがわかっています。にも関わらず似たような体の進化を遂げたことはまさに収斂進化のいい例となっています。

視力が弱いカワイルカはどのように生きる?

確かに泥の中や河川の中は海とは違って濁っているのでさほど視力は必要ないのかもしれません。しかし見えない目でどうやって獲物を捕まえたり仲間とコミュニケーションをとったりしているのか気になりませんか?

ここではカワイルカたちの視力について少し詳しく説明しましょう。

超音波によるエコーロケーション

イルカが好きな方はもうお分かりだと思いますが、彼らも海のイルカたちと同じく超音波によるコミュニケーションやハンティングができます。

おでこのあたりにある器官から超音波を対象物に向けて発し、はね返ってくる超音波を読み取ってその物体との距離や場所、それがなんであるのかを判断していると考えられています。

また超音波の周波数を変えてまるで言葉の様に使い、コミュニケーションをとっていることも明らかとなっています。泥の中に潜む獲物もこのように超音波を使って探し当てているのです。

アマゾンカワイルカの視力は悪くない?

カワイルカたちは視力が悪く、インドカワイルカたちにおいてはほとんど盲目である一方で、アマゾンカワイルカたちに限っては視力はいいこともわかっています。

収斂進化を遂げたところもあれば、独自の進化を遂げた点もあるということがはっきりとうかがえる興味深い点といえるでしょう。

鋭い嗅覚で獲物を見つける

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アマゾンカワイルカを除いて視力を捨てたわけですが、その代わりに嗅覚は鋭くなりました。超音波を使ったエコロケーションと一緒にこの鋭い嗅覚を使ってさらに確実に獲物を捕獲することできます。

カワイルカは何を食べる?

環境に合わせて非常におもしろい進化を遂げてきた彼らですが、その生態は謎に包まれている部分が今なお多くあります。

ここでは彼らが何を食べて暮らしているのかを説明しながらその興味深い生態についても紐解いていきましょう。

小魚やエビが主食

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主食は川底に潜む小魚やエビなどです。超音波を使ったエコロケーションで獲物の場所を探し当て、その細長い口を泥の中に突っ込んで掻き分けるようにして捕獲します。閉じていても歯が見える構造を持つことで泥の中でも獲物が探しやすく、また捕まえやすくなっています。

カメやカニを砕きピラニアも食べるアマゾンカワイルカ

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生き物が豊富なアマゾンに暮らすアマゾンカワイルカはエビや小魚の他にもカメ・カニまでバリバリと砕いて食べてしまいます。獰猛で恐れられているピラニアまで食べてしまう食欲旺盛な一面があります。

口の先端部分の歯は小さくとげとげしていますが、奥歯は我々人間の臼歯のように平べったい構造をしており、この歯で噛み砕いています。

アマゾンカワイルカのオスはピンク色のイケメン?

アマゾンカワイルカには別名ピンクイルカという呼び名があるとお伝えしてきました。見るといかにも幸福が訪れそうなその名前の由来にも触れておきましょう。

カワイルカの体色は褐色系か灰色系が一般的

彼らの体色は濁った川の中で目立たないような褐色や灰色といったものが一般的です。しかしアマゾンで暮らす種に限ってピンク色をしたものが発見されることがあります。

ピンク色もいるアマゾンカワイルカのオス

なぜピンク色をしているかということですが、食欲旺盛で気性の荒いオスたちがメスや縄張りなどを巡って争った際に皮膚の表面が摩耗してしまった末にピンク色になるといった説や、白っぽい皮膚をしているためにその皮膚の下を巡っている血管が透けてピンクに見えているという説もあります。

性格は狂暴

オスは特に乱暴な性格をしており、お互いの体やひれに噛みつくことは珍しくありません。人間の鼻の穴に当たる噴気孔を引き裂いてしまうことすらあります。

オスはどこかしらケガをしているとも言えます。ピンク色の個体が目撃されても不思議ではありませんね。

求愛も情熱的

求愛のシーズンになるとオスたちは力を見せつけるために水面をヒレで激しくたたいてアピールしたり、水草を持って泳ぎ回ったりといった行動をとります。熱心な求愛行動も彼らの大きな特徴で、この時期のオス同士のケンカの頻度は普段の40倍にもなるといわれています。

イケメン男性に化けて娘を襲う伝説あり

戦いを勝ち抜いてきた強さの証明ともいえるピンク色をしたオスはそれだけでメスたちの人気を集めます。

さらに彼らのオスの生殖器は人間のものとも似ていることも手伝って、「人間に化けたオスが女性を妊娠させて川へ帰ってしまう」といった現地に伝わる伝説もあるほどです。

カワイルカは絶滅の危機!

中国の種に関しては2006年の本格的な調査で発見されず絶滅が指摘されています。他の科も同様に絶滅の危機に瀕しています。ここからは太古の昔から暮らしてきたカ彼らの今に迫ります。

ヨウスコウカワイルカは絶滅したのか?

2002年の目撃例を最後に途絶えてしまっていたこの種を探すために2006年に大規模な調査が行われました。この調査では研究員たちがなんと6週間もの間毎日揚子江を探し回りましたがただの1頭も見つけることができませんでした。

そのため、個体数の維持や自力での回復が不可能である「機能的絶滅」が宣言されてしまったのです。

2007年にはわずかながらに目撃例も挙げられていましたが残念ながらスナメリであったと言われています。大型水生哺乳類の絶滅は1950年以来初めてのことで衝撃が走りました。

おまけにこのスナメリも絶滅寸前

揚子江の目撃例がスナメリであったと落胆することはなく、なんとスナメリもレッドリストに登録される近絶滅種なのです。このままいくと2041年には絶滅してしまうと言われています。

減少が続くカワイルカ

絶滅の危機に瀕しているのは揚子江の種だけではありません。比較的保護されており、頭数も多いとされているアマゾンカワイルカでさえその数は河川の汚れや、人が乗る船との接触、そして現地住民による乱獲のせいでみるみる減少しています。

日本の水族館で見られるか?

実際に泳ぐ様子を自分の目で見てみたくなると思いますが、現在日本の水族館において飼育はされていません。1970年代には鴨川シーワールドにて飼育の記録が残っている程度です。

鹿児島の川でイルカが見られるという話もありますがこちらは鹿児島水族館で飼育しているイルカを海とつながっている部分を使用して飼育しているだけで実際のカワイルカではありません。

その他絶滅危惧種に指定されている動物に関してはこちらをご覧ください

新種発見!

個体数が減少を続けている彼らですが、2014年という比較的最近にまた新種が発見されたというハッピーなニュースもあります。

アマゾンカワイルカは2つの亜種に分かれるとされていましたが、そこに新たな新種が加わりました。学名はInia araguaiaensisでアラグアイアンボトと呼ばれています。人の手が及ばない場所を今なお数多く抱える大自然アマゾンの底力を感じる知らせでしょう。

カワイルカは生き残れるのか?

原始のクジラの姿を残しながら、各地で実に興味深い収斂進化を遂げてきた彼らの姿から私たちが学ぶものは何だと思いますか?学問的にもとても興味深いことをその姿を持って示してくれています。

進化の不思議や命の尊さをその身をもって伝えてくれている彼らを絶滅に危機に追いやってしまった私たちができることはなんでしょうか。

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