牙が顔面に突き刺さる!?死を見つめる動物バビルサの生態と噂の真相

Array

不幸にも自分の牙が刺さってしまった証拠ともいえる標本が世界には2つ残されています。1つはインドネシアのスラバヤ動物園に展示されており、実際にこの動物園で飼育されていた個体になります。

ヨーテボリの自然史博物館の標本

もう一つの標本はスウェーデンのヨーテボリ自然史博物館に展示されています。18世紀初頭に探検家カウダーンが世界中から持ち帰った標本のうちの1つがこのバビルサの標本でした。

実際に突き刺さる可能性はごくわずか

今のところ、標本として残っているたった2つの個体のみが自身の牙によって命を落としてしまったということですが不幸にも牙が正常に伸びない可能性はごくわずかといえるでしょう。

バビルサには解毒能力がある!

特徴的な牙にスポットを当ててきましたが、ここからはまさに特殊能力ともいえる解毒能力にも触れていきましょう。数多くの生き物が暮らし、生存競争の真っただ中におかれた彼らが身に着けたその能力にご注目です。

食事で中和

ジャングルに生えているパンギノキなどの新芽や歯には有毒物質が含まれています。彼らはそういった植物を好んで食べる習性を持ちます。この毒によって健康を害さないように、そのあとには温泉水でできている水を飲んだり泥を食べることで毒を中和することができるのです。

歩き回って解毒

さらにはせっせとジャングルの中を歩き回って少しずつ消化し、有毒物質を解毒してしまうことがわかっています。なぜそうまでして毒のあるものを好んで食べるのでしょうか?

猛毒を持つ植物「ギンピーギンピー」に関する記事はこちらから

毒のあるものが食べれるということ

バビルサだけでなく、世界には通常の生き物にとっては有害で食べることができないものを食べることができるように進化した生き物がたくさんいます。

毒があるということはそれだけその植物(動物)を狙うライバルがいないということです。熾烈な争いに参加することなく食べ物を常に得ることができるのです。

バビルサとパンギノキ

つまりバビルサたちはほかの動物に食べられてしまうことのないパンギノキを食べれる能力を身に着けることで一つ生存競争に有利なわけですが、さらにはパンギノキは有毒ながら栄養が豊富なこともわかっています。

コアラとユーカリ

skeeze / Pixabay

ユーカリにも有毒成分は多く含まれています。コアラはどんなユーカリでも食べるわけではなく有毒成分が少ないユーカリを自分で選んで食べることが近年明らかとなりました。

コアラは一日中寝ているイメージがあるでしょうが、それもユーカリを消化するための時間が必要だからでしょう。さらにはユーカリにはカロリーがとても少ないため省エネで活動しなければエネルギーが足りないのです。

さらにコアラの赤ちゃんは直接ユーカリを食べると危険なため母親が消化して排出した糞を食べることも分かっています。

バビルサは絶滅の危機にある

こんな魅力的な彼らも絶滅に危機に瀕している動物の1つなのです。なぜそんな危機に陥ってしまったのかご紹介していきましょう。

森林伐採や密猟が原因

Picography / Pixabay

インドネシアの熱帯雨林に暮らしていることからも彼らは豊かな森でしか暮らしていけないことは想像に難くないでしょう。人の生活が近代化されることで熱帯雨林の伐採は進み、その一方で牙を狙った密猟はなくならず、少しずつ数を減らしてしまっているのです。

1回の出産で1,2頭しか産まれない

日本でなじみのあるイノシシのあかちゃんウリボウは一度の出産で4~5頭生まれるのに対し、バビルサたちは1回の出産でわずかに1,2頭しか産まれません。厳しい自然の生存競争と人からの侵略に挟まれ数が増えないのです。

現在は約4000頭と言われている

現在約4000頭ほどいると言われていますがその数は減少の一途をたどり、バビルサの中にも亜種が3種いますが、いずれも現在は絶滅危惧種のリスト入りまでしています。

バビルサが送っている生活とは?

少し話を変えて、ここからは彼らがどんな暮らしを送っているのかお話ししましょう。熱帯雨林の中でどんな風に暮らしているのでしょうか?

 早朝に木の枝や果物を食べる

suju / Pixabay

意外に彼らは早起きです。早朝に起きて木の枝や果物を食べています。雑食なのでジャングルの中の色々なものを探し当てては食べているのでしょう。

泥を浴びる習性がある

水辺に暮らす理由としては、泥の中に寝転んで体につく寄生虫を落とす習性を持っていることがあります。映画「もののけ姫」でもイノシシたちが泥で化粧をするシーンがありますね。この辺りも日本で見かけるイノシシと似た習性を持っていると言えるでしょう。

バビルサの繁殖と成長期間について!

数が減少し続けてしまっている彼らは1度の出産で生まれてくる数は少ないとお伝えしましたが、ほかにもどんな繁殖形式をとり、どのくらいで大人になるのでしょうか?

妊娠期間は約半年

Free-Photos / Pixabay

オスが大きな牙を誇示してアピールすることからも想像できますが一夫多妻性です。立派な牙を持つオスが多くの子孫を後世に残すことができます。

イノシシの妊娠期間は120日ほどですがなんとバビルサたちはそれよりさらに長く約半年ほどの妊娠期間があります。

8ヶ月しか母親と暮らさない

28703 / Pixabay

半年もの妊娠期間を経て生まれてきた子供はたった8か月しか暮らさないということもわかっています。その後は独立し、別々の生活を送ります。

バビルサは日本の動物園で見学できるの?

Alexas_Fotos / Pixabay

特徴的な牙を一目見てみたくなりませんか?ここからは彼らを実際に見るにはどうしたらよいのか簡単にご紹介していきましょう。

日本の動物園には存在しない

3dman_eu / Pixabay

ワシントン条約並びにインドネシアの法律により保護されているため、彼らを日本国内で見ることは不可能です。残り少ない個体を保護するため必要なことでしょう。

シンガポールとイギリスの動物園にはいる

ただし、例外としてシンガポールとイギリスの動物園には飼育されています。旅行などで訪れた際には立ち寄ってみるのもいいでしょう。

シンガポールは「シンガポール動物園」に飼育されており国立公園並の広い敷地と素晴らしい環境で暮らす様々な動物を見ることができます。

イギリスは「チェスター動物園」にて飼育されており、こちらも織のない動物園として大人気の動物園です。

もちろんインドネシア動物園にも

インドネシアで保護されているバビルサですからももちろんインドネシア動物園でも会うことができます。同じアジア圏で比較的訪れやすい国ですから一度はお目にかかりたいものです。

バビルサは一度は見てみたい動物!

一度見たら忘れられないような牙を持ち、ジャングルの中では毒のある植物を食べ、ひっそりと数を減らし続けているバビルサ。イノシシとも豚とも違うその魅力的な姿を一度は見てみたいですね。これから数が増えていくことを願いながら、その面白い生態に思いを馳せてみませんか?

ギンピーギンピーに関する記事はこちら

サーベルタイガーに関する記事はこちら