ペットとして人気の文鳥
文鳥という言葉はみなさんご存知でしょう。手のひらにすっぽり収まってしまうほどの小さなフワフワの体、かわいらしい黒目ときれいな赤色のクチバシのコントラストがとても美しい鳥です。この記事ではそんな文鳥についてご紹介します。
飼育しやすく人気
そんな文鳥は古くから日本人に親しまれ、各家庭でとても大切にされてきました。東海道五十三次で有名なあの歌川広重も「椿に文鳥」という作品を残しているほどです。
文鳥をペットとするよさの1つにその丈夫さがあげられます。環境を整え、清潔にしてあげればそれほど大きなトラブルもなく飼育することができます。
文鳥の生態・生息地
文鳥はスズメの仲間です。全長は頭から尾の先までで約15㎝~17㎝ほど。体重は20グラム前半から後半になります。大人の手の平にすっぽりと収まる大きさです。
原産地はインドネシアです。温暖な気候を好み、インドネシアの他にはフィリピンやスリランカなどで見ることができます。ハワイでは日本のスズメのように野生化した文鳥をたくさん見ることができます。日本での定着例はあるという説もありますがそれはペットとしての文鳥が逃げ出してしまったもので、野生化して定着することは日本の環境を考えても難しいでしょう。
知ったら虜になる文鳥の魅力
文鳥は「猫と犬の性格の両方がある」といわれることがあります。猫の様に気まぐれで気難しい一面と、犬の様に飼い主を一途に思ってくれる一面の両方があるのです。これが文鳥愛好家の心を離さない理由の大きな一つでしょう。まずはそんな文鳥の性格や魅力をお伝えしていきます。
文鳥の性格
飼う前にその生き物の性格を知っておくことで不必要なトラブルを避けることができます。性格や飼い方を知らずに、家で飼育を始めてから「こんなはずではなかった」といって最悪手放してしまうような悲劇は防ぐことができます。まずは文鳥の性格をしっかりつかんでいきましょう。
明るく活発
文鳥は太陽が昇れば起きて、沈むころには眠るという規則正しい生活を送ります。大好きな飼い主が「おはよう」といえば「ピッ!」と鳴き返してくれるような明るい性格をしています。
手乗り文鳥になっていれば、放鳥といって鳥かごの外に出すときも呼べばすぐに飛んできてくれるようになります。このあたりはまさに犬のような一面といえるでしょう。
賢く人に懐く
小さな体と頭ですが文鳥はとても賢いです。雛から育てると「手のり文鳥」にすることも簡単にできます。成鳥で購入すると少し時間はかかり、雛からの飼育と比べると人への慣れ度合いは下がりますがじっくり信頼関係を築いていけば人の手や肩に遊びに来てくれるようになることもあります。
飼い主の行動をよく観察しており、飼い主が食事をとり始めると一緒に自分たちも鳥かごの中で餌をついばみだす、インターホンがなると鳴いて教えてくれる、声をかけると鳴いて返事をするなど賢さも備わっています。
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文鳥の最大の魅力!パートナーを愛し続ける
文鳥はパートナーを生涯をほぼ変えることなく寄り添いあって暮らします。その愛情の対象が飼い主になることも十分にあり得るんです。ここではそんな文鳥の愛情深い一面をご紹介しましょう。
飼い主だけに見せる甘えるしぐさ
「握り文鳥」なんて言葉をご存知でしょうか?飼い主をパートナーと決めるとまさに身も心もゆだねてくれます。自分の何倍もの大きさのある人間の手のひらに自ら飛び込んできて、手の中から飼い主のことを愛情たっぷりに見上げてくれます。さらにはその中で丸まってウトウトしてくれることも珍しくありません。
他にもベタベタに人に懐いた文鳥を「べた慣れ文鳥」と呼んだり、握り文鳥のあと眠りこけてしまって手のひらからおろしてもコロンと寝転がったままになる「ニギコロ文鳥」なんて言葉もあるほどです。フワフワの羽毛に包まれた暖かい文鳥をそっと手のひらで包み込むなんていう最高の瞬間もパートナーだからこそできることです。
ヤキモチも焼く
飼い主をパートナーと認めているときは飼い主に近づく他の人や生き物にヤキモチを焼くこともあります。飼い主が持っているスマートフォンに向かってと威嚇することもあるほどです。
少し悲しい話になりますが、文鳥がその生涯を閉じるときもパートナーの手のひらに入りたがり、愛する人の手のひらの中でそっと目を閉じ、虹の橋を渡ることもあるほどです。
どうすればパートナーになれる?
文鳥の愛情深い一面を知ると、ぜひ文鳥のパートナーに選ばれたい!と思いませんか?ここでは文鳥のパートナーになり、その愛を独り占めするにはどうすればよいのかお話しします。
雛から飼うのがおすすめ
春か秋ごろになるとペットショップに文鳥の雛が出回ります。雛には挿絵(さしえ)と呼ばれる親が雛に本来してやることを飼い主がする必要がありますが、そのお世話の分、雛はとびっきり飼い主に懐いてくれます。
最初は親と認識しているかもしれませんが、やがて成鳥になるにつれ、そのまま飼い主をパートナーとして愛してくれることもよくあります。
どんなにお世話しても飼い主をパートナーとして認めないこともある
これが文鳥のある意味大きな魅力でもあり、まさに「猫らしい」一面なのですが、そこまでお世話をして、たとえ雛から育ててももパートナーに別の人を選ぶこともあります。人間の家族の中で一番世話をしていなかった人をパートナーとし、お世話を一番頑張った人に懐かないこともあるのです。フィーリングでパートナーを決めてしまう文鳥。これも文鳥の賢さゆえの大きな魅力でしょう。
もう一つの文鳥の魅力、豊富なカラーバリエーション
文鳥のイメージは真っ白なものや白と黒の2色のものが有名でしょう。近年ではその他にも魅力たっぷりな様々なカラーバリエーションの文鳥が誕生しています。
並文鳥(ノーマル文鳥)
まずは歌川広重の浮世絵にも描かれた文鳥です。もっともポピュラーなタイプとなります。性格は比較的優しくおっとりした個体が多い印象です。
桜文鳥
並文鳥と次にご紹介する白文鳥が交配することで誕生するのが桜文鳥です。胸にある白い斑点が桜の花びらに見えることからこのように呼ばれます。年に1、2回ある羽の生え変わりの時期ごとに模様が変わるのでそれを楽しむ愛鳥家も多いです。
白文鳥
真っ白な体に黒い目と赤いクチバシが実に美しいのがこちらの白文鳥です。実は白文鳥だけは日本で誕生した種で、愛知県弥富市が発祥の地です。
シナモン文鳥
白色とシナモン色のコントラストが美しいのがこちらのシナモン文鳥です。遺伝学的に色素が薄い個体なので目が赤いものもいます。比較的最近誕生した種で都会的なカラーが人気です。配色のニュアンスによってはクリーム文鳥と呼ばれる文鳥もいます。
シルバー文鳥
白と薄いグレーのコントラストが美しいのがシルバー文鳥です。シナモン文鳥同様、比較的最近固定された種でこちらも色素が弱い傾向にあります。こちらも配色のニュアンスによりライトシルバーやダークシルバーなどと呼ばれることもあります。
文鳥の鳴き声は?
文鳥の魅力をたっぷりとご紹介してきましたが、デメリットになりえてしまう鳴き声の面もしっかりお伝えしておきましょう。文鳥はインコのようにおしゃべりすることはできませんが実に多彩な鳴き声を持っています。
鳴き声で気持ちを伝えようとする
短く返事をするように「ピッ!」「チッ!」と鳴いたり、威嚇するときは「キャルルルル!」と鳴いたり、気持ちを鳴き声で上手に伝えてきます。一緒に暮らしていると何が言いたいのか鳴き声としぐさでわかるようになるでしょう。
オスの文鳥は歌も得意
文鳥は求愛するときにオスがメスに歌いかけます。頭を下げて歌いながらぴょこんぴょこんとダンスを繰り返し、それにメスが応じれば晴れてカップル成立です。飼い主をパートナーとしているときはパートナーに向かって手のひらの上で歌やダンスを披露してくれることも珍しくありません。
オスの歌は一子相伝
オスの求愛ソングはそれぞれのオリジナルソングになります。何世代と続けて文鳥を飼っていると先代のオスの求愛ソングを見た次の世代のオスがその歌を覚え、歌い継がれていきます。全部同じなのではなく、一部の節だけコピーして残りはオリジナルだったりと、楽しませてくれます。
騒音が気になる場合も
一方でかなり大きな声で鳴くこともできます。特に飼い主をパートナーとしているときはパートナーに構ってもらいたい一心で鳥かごからひたすら「キャン!キャン!」と甲高い声で鳴き続けることもあります。大型のオウムほどのボリュームではないですが窓を閉めるなどの対策が必要になることもあります。
でもそれもパートナーと寄り添いたいがための呼び鳴きでることがほとんどです。毎日触れ合う時間を作り、ストレスのない環境を作ってあげることで騒音になるほどの鳴き声の問題は減らすことができます。
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文鳥の平均寿命は?
文鳥の魅力も短所もたっぷりお伝えしてきたところで、ペットとして飼う際に気になるのがやはりその寿命でしょう。手のひらに収まるほど小さく、鶏の卵一個分の重さもない小さな命を持つ文鳥ですが、その平均寿命はどのくらいだと思いますか?
平均寿命は7~8年
平均寿命はどの種類でも大体7、8年です。ここまで生きると人間でいうところの80歳くらいに相当します。この時間を長いととらえるか短いととらえるかはもちろん人それぞれですが、自分に愛情をたっぷり向けてくれる存在が7年も8年もそばにいてくれるのは幸せであり、そして責任ある時間といえるでしょう。
同じように小動物のペットで人気のあるハムスターの寿命が2,3年であるということを考えても小さなペットとしては長生きしてくれると言えるでしょう。
10年以上生きるものも
環境を整え、十分な運動をし、栄養バランスの良い暮らしをすれば人間と一緒で文鳥もさらに長生きします。中には10年以上生きた文鳥もいるほどです。文鳥は長く飼えば飼うほど思慮深く、賢くなっていきます。飼い主との阿吽の呼吸や2人だけが通じ合う遊びなども出てきます。大切に育ててできるだけ長く一緒に暮らしたいものです。
初めて買うには並文鳥、白文鳥、桜文鳥がおすすめ
シナモン文鳥やシルバー文鳥は色遺伝子の発現が弱い傾向にあり(そのためとても美しい色をしているのですが)中には体が弱く生まれる個体もいるのは事実です。もちろん丁寧に大切に世話してあげれば並文鳥たちと同じように生涯を全うしてくれるでしょう。
しかし初めての飼育で戸惑うことも多いでしょうから、全く他の生き物も飼育したことがないような方は比較的この中でも体が丈夫な並文鳥、白文鳥、桜文鳥などがおすすめです。
文鳥の値段は?どこで買えるの?
いざペットとして文鳥を飼おうと思ったときに、一体どこで出会えるのか気になるでしょう。こちらでは文鳥をお迎えするのにはどこに行けばいいのか、1羽あたりの値段などをお伝えします。
1000円~1万円前後
並文鳥、白文鳥、桜文鳥などは成鳥であれば1羽1000円から2000円で購入が可能です。シナモン、シルバーなど少し変わった色のタイプは1万円程することもあります。
ペットショップで購入可能
文鳥はネットショッピングで買うことはできません。ペットショップに行くのが一番確実な方法でしょう。最近ではホームセンターなどで見かけることもあります。
文鳥のエサは何がいい?
文鳥のいいところも悪いところも含めたうえでそれでも一緒に暮らしたい!となったときは飼う準備が必要です。しっかりと環境が整えられるようご説明していきます。まずはエサから。
専用フードを与える
文鳥用のフードがたくさん販売されているのでまずはそれから選ぶのがよいでしょう。いくつかのタイプに分けられるのでそれぞれご紹介します。
殻付きブレンド
文鳥の好む数種類の穀物をブレンドしたものです。こちらは殻付きのタイプです。殻付きのメリットは殻と実の間に含まれる微量な栄養素もとれる点、殻をとるためにもぐもぐくちばしを動かすので文鳥にとっていい刺激になる点でしょう。反対にデメリットはむいた殻は食べずに下に落とすのでどうしてもこまめな掃除が必要になります。