三毛別羆事件|ホラー映画を超える日本史上最悪の恐怖の実話【閲覧注意!】

今でこそ羆の習性は広く認知されていますが、当時はそうではありませんでした。火を強く焚いて熊避けするくらいが精一杯の環境だったのです。むしろこの事件から明らかになった羆の習性は、現代にも伝えられ役立てられています。

結果論だけ言えば、村民の対策が不十分だった、考えが甘かったとなるでしょう。しかし情報や環境が整った今でも、熊を仕留め損ねることは多々あります。知識があれば村民だけで羆を撃退出来たなどと思えませんし、逆に被害は更に拡大したかもしれません。

三毛別羆事件を題材にした映画

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ここからは少し視点を変えて、三毛別で起きた獣害事件を基に作られた作品について紹介していきたいと思います。完全な史実再現というものでもなく、一本の映画として脚色をまみえながら事件に触れる良い機会かも知れません。

リメインズ 美しき勇者たち

映画パンフレットレット「リメインズ 美しき勇者たち」監督千葉真一 出演真田広之、村松美香

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1990年に、ジャパンアクションクラブ(JAC)設立20周年を記念して製作された本映画は、主演含む多数の役者がJACから起用されています。そういった製作経緯もあって、作中でのアクションシーンは吹き替え無しで大変見ものとなっています。

史実とファンタジーが美しく混ざり合う

出典:PhotoAC

元になっているのは三毛別羆事件ですが、娯楽映画としても楽しめるように全体的にファンタジー的な要素が盛り込まれています。起用したJACの俳優たちが見せるナマのアクションシーンは圧巻で、1990年の作品ながらバブル景気全盛期で資金振りの良さを感じる映像レベルの高さです。

あらすじ

大正時代の北国を舞台に、主人公のマタギ鋭治はマタギ村の若者で、女のみを食う恐ろしい巨大熊アカマダラを仲間たちと追っています。一方、両親をアカマダラに殺され復讐のために生きる一匹狼の女マタギはなんと鋭治の幼馴染ユキでした。復讐の為に自身を囮にするユキ、二人は遂にアカマダラと一騎打ちを迎えることになるのです。

キャスト

  • 鋭治:真田広之
  • ユキ:村松美香
  • 嘉助:菅原文太

三毛別羆事件を題材にした小説

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三毛別の事件を基にした、もしくは調査した結果や考察などの猟奇事件本などは多数出版されています。この小説は、現地で生存者やその関係者に直接聞き取り調査を行った生々しいデータをもとにして執筆されたものです。

羆嵐

羆嵐 (新潮文庫)

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歴史文学長編小説で有名な吉村昭さんによって著された本作は、「慟哭の谷」と呼ばれる関係者に取材した詳細な資料を基に、脚色を加えながら書かれている半フィクション作品です。その衝撃の内容は資料よりも生々しく背筋が凍るとはまさにです。1980年にラジオドラマとして放送もされています。

怖いけど読まずにいられない

出典:PhotoAC

三毛別事件の関係者に直接取材した木村さんの資料を下地にして構成されているので、兎に角生々しいです。夜に一人で読むと物音にビクリとしてしまうほど、迫力のドキュメンタリー小説になっています。恐ろしいけど次はどうなる?次は、とぐいぐい惹き込まれてしまうこと間違いなしです。

あらすじ

大正4年12月、北海道は天塩山の麓の開拓村で冬籠りに失敗した「穴持たず」の羆が民家を襲撃します。わずか二日間で犠牲者は6名、中には身重の母親も含まれています。恐怖と絶望に成す術のない村にやって来たのは一人の老齢猟師、狂暴な羆との一騎打ちに村の命運が託されます。

ラジオドラマのキャスト

  • 山岡銀四郎:高倉健
  • 六線沢の住人:倍賞千恵子
  • 区長:宮口精二

獣害事件とは違いますが、実際の事件がモデルになった作品の中でも特に有名な「八つ墓村」、オカルト好きな方ならご存知の方も多いのではないでしょうか、参考までにこちらの記事など如何でしょうか。

三毛別羆事件をまとめた有名な資料

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元林務官である筆者の木村さんが、直接取材した事で得られた事件の全容がまとめられた有名な一冊です。この書籍以外にも木村さん著の「エゾヒグマ百科」や「ヒグマそこが知りたい」でも三毛別羆事件について触れられているので、併せて読むとより深く羆について知ることができます。

慟哭の谷

慟哭の谷 北海道三毛別・史上最悪のヒグマ襲撃事件 (文春文庫)

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著者の木村さんは、林務官の傍ら現地へ赴き取材されています。取材中は「人の気持ちになってみろ!」と怒鳴られ門前払いを受けることも少なくありませんでしたが、決して冷やかしや興味本位ではなく、「事件を風化させない事・二度とこの様な事件を起さない為」と誠実に取材されたすべてが記録されています。

文章から伝わる臨場感

実際に現地で取材をしているのでリアリティーがあるのは当然なんですが、羆の襲撃シーンではその息遣いを間近に感じ、捕食シーンではまるで自分が食べられていると錯覚しそうなほど繊細な描写になっています。野生動物の恐ろしさを知るには十分すぎる内容です。

あらすじと構成

慟哭の谷は「資料」と呼ばれるところからも、物語的な読み物とは違うノンフィクションな内容であり、先の映画や小説のような柔和な表現はありません。生存者から調査した生々しい食害の実態がストレートに記されています。その他の熊害事件や体験談を交えたボリュームのある一冊です。

  • 調査開始の切欠は筆者が当地区の担当になった事
  • 三毛別事件の生存者と関係者を訪ねる
  • 協力を得るべく筆者が根気強く対面した経緯
  • 福岡大学生や写真家が獣害された事件
  • 筆者自身の羆遭遇体験談
  • 本書が伝えたいこと

テレビではアンビリバボーが有名

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フジテレビの「奇跡体験!アンビリバボー」という番組は、奇跡感動物語から怪奇ホラーや実際に遭った事件事故など、独自に製作された再現映像とそこから検証が行われるドキュメンタリー番組です。そこで今回の獣害事件が取り扱われた事があります。

「最新!超スゴい(秘)動物スペシャル」にて取り上げられる

出典:PhotoAC

2011年8月18日に放送された「奇跡体験!アンビリバボー」で、本当は恐ろしい野生動物と、実際に起こった日本史上最悪の熊害事件として紹介されました。資料に基づいた再現映像と、明景家で無傷生還した少年が聞いた妊婦が絶命する間際の叫びなどが、淡々とナレーションされています。

再現ドラマのクオリティが半端じゃなかった

出典:PhotoAC

まず、登場する村人の臨場感ある叫びやリアクションに惹き込まれ、襲撃時と食害シーンの効果音の迫力と生々しさが印象的です。阿部マユさんの遺体の表現も、資料に忠実に描写されている為、心の準備が無いとショックが大きい内容でもありました。

30分弱の短い再現映像ですが、多くの村人が惨たらしく命を落とし、村で対策に当たった警察隊や町のマタギまでも戦慄させる様子は、もはや一本の映画ではないのかと思わせるものがあります。再現だと侮ることが出来ない衝撃映像となっています。

ペットからの獣害事件

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獣害事件と聞こえは物々しいですが、実際は年に何度もそれこそ毎年こういった事件は起きています。海外の変わったペットや日本の動物園、身近なところだと飼い犬による食害も発生しています。生まれた時から飼っているから大丈夫、という人もいますが、ペット=安全はあり得ません。

ここでは、ペットとして飼育していた動物によって飼い主が被害に遭ったケースをご紹介します。愛情をかけていたつもりでも、相手は自分とは違う生き物であるという事を忘れれずにいて欲しいものです。

飼っていたのは恐竜「ヒクイドリ」

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事件が起きたのは2019年4月、フロリダ州に住む75歳の男性がペットとして飼育していたヒクイドリに襲われ死亡しています。「鳥に殺されたの?」と思うかもしれませんが、ヒクイドリは人に危害を加える恐れのある”危険動物”として、ワニやヒョウと同じランク2に分類されている動物です。

以前日本のバラエティー番組で取り上げられた事もありますが、ヘルメットとプロテクター、分厚いアクリル板のシールドが用意されたというだけでも、その殺人キックがどれほどの威力なのか想像に難くありません。「恐竜の生き残り」と言われるのも納得です。

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